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『こ の 距 離 に 愛 を』#1 🐯×🐶(チャンベク)

雲ひとつない青空、陽が燦々と降り注いでいるのを、俺は宿舎のリビングのソファに寝転がりながら眺められる景色で確認した。

宿舎の窓は大きくて、外の景色がよおく見える。

cbx(チベクシ)としての日本でのツアーを終えて、韓国に帰国し久し振りにゆっくりな時間を過ごしていた時だった。

「お前俺の顔好きだろ?」

チャニョルが急にそういったのだ。

「ぶはっ、なんだよ急に」

俺は思わず吹いて笑った。

チャニョルの声がする方を振り返れば、コーヒーが入ってあろうマグカップを片手に、休日にしては珍しく整ったセンター分けの髪型で、そしていつも通り嫌味なほど整ったその顔面で俺を見下ろしてきた。

「さっきツイッター見てたらさ、こんなの見つけたから」

チャニョルがずいっと俺の方に差し出してきたスマホの画面には、俺がチャニョルのことを見ている画像が4枚、並べられていた。

「なに?これ?」

「お前が俺の顔見過ぎってペンたちが騒いでる画像」

「ふぅん」

ペン達に俺がチャニョルのことを好きだとからチャニョルが俺のことを好きだとか、チャンベクはリアルだとかそんなことを言われるのはもう慣れている。

デビュー当時こそそれで色々悩まされたけど、今更べつに動じることもない。

「やっぱ俺らの人気ってすごいんだな〜」

「まぁ、そうなんじゃねーの?」

「何がいいんだろうな」

「俺らにはわかんないだろ」

「日本語で検索してもめっちゃヒットするんだから、ほんとすげーよな」

「日本でも?」

「うん、流石に日本のペンピクはまだ読めねーけどな」

「お前、まだそんなの読んでの?」

「うん、だっておもしれーんだもん」

ペンピク、所謂俺らのペンによる二次創作の小説だけど、チャニョルは昔から面白がってそれを読む。

そして、読んだ感想を俺に伝えてくるという謎の行動をする。本当に理解ができない。

「んで?顔が好きとかいう話はそのペンピクから得た知識なのか?」

「うん、そうそう。ペンピク読んで、検索したらさっきみたいな画像めっちゃ出てきたんだよね」

「ふぅん」

「で?」

「で、とは?」

「だーかーらー!俺の顔好きなの?」

「…まあ、」

「かっこいい??」

「そりゃあまあ、俺ら天下のSM様のアイドルだからな。」

「じゃあさ、俺の画面で色々言われたらドキドキしたりすんの?」

「は?色々って何?」

「んー、好きとか?」

「それはねーだろ。それは愛があってこその話だろ。」

「えー!面白くない!ちょっと、やってみよ?」

「は?え、ちょっ、なんだよ」

チャニョルは突然、寝転んでいた俺に覆いかぶさるようにして、俺の顔の横に手をついた。

もう片方の手は、ゆっくり、優しく、頬を撫でた。チャニョルの髪が、垂れてきてその綺麗な顔に影を作る。

彼がひとつ瞬きをすれば、まつ毛の長さが強調されて、瞳の大きさを感じさせる。

「べっきょに、好きだよ。」

喉を上下に動かすことだって、許されないような空気を放たれて、本気の好きに聞こえた。これは、まずい。

「べっきょに、愛してる」

二言目はトドメを刺すかのように俺の心に突き刺さって、息を止める。

かすかに感じるチャニョル自身の香りに、このまま身を委ねてしまいたいだなんて考える。

それほどにチャニョルの男としての色気、魅力に俺は飲み込まれそうになったのだ。

「お、れ、」

「ただいまー…、?二人とも、何してんの?」

「え?なに〜?」

ギョンスとセフンがリビングの入り口で立ち止まって俺たちを見ている。

俺は開いた唇とを閉じた。一体なにを言おうとしていたのだ。

「お〜お帰り〜!ナニって、いつものやつ!」

「いつものって、」

「ペンピクの真似〜〜」

「お前ほんとそれやめろよ、べっきょにが被害を被ってるだろ」

「ぇえ〜〜べっきょにごめんね 」 

「べつに、いいけど…」

「よしよし」

「やめろよ」

「怒んないでよ?ね?」

「べつに、おこってねーよ」

「実際はニョルドイズリアルだもんね〜」

「はいはい」

そうだよ、俺とチャニョルがどんなにファンの間で騒がれようと、それは所詮ファンの妄想に過ぎない。

実際は、ギョンスとチャニョルが付き合ってるんだから。俺は、蚊帳の外なんだから。

「ギョンス〜早く出掛けよ〜よ!」

「セフニの昼メシ作ってからって言ったよね?」

「うん…大人しくしてます」

「大人しく待ってて」

「べっきょに〜ゲームしよ〜」

「…むり、俺、寝るから」

「なんでー」

「なんでも。おやすみ。」

チャニョルがギョンスと二人で出掛けようが、俺には関係のないことで、それが日常だった。

それなのに、俺は今、パンドラの箱を開けようとしている。

開けてはならない、パンドラの箱。

重りをくくりつけて落として。

二度と開けられないように。

そう誓ったのはいつだったか。

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