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その後、春夏は学校生活を楽しみながら、すぐに周りの生徒たちの憧れの的となった。どこへ行っても彼女の姿は人々を引き寄せ、彼女の笑顔一つで、その場の雰囲気が明るくなるのが感じられた。それに対して、颯汰はどこか影をひそめた存在だった。
彼は、春夏が楽しそうに他の男子と話しているのを、遠くから眺めることが多かった。そのたびに、胸の奥で何かが痛むのを感じていた。だが、彼の心の中には、どうしても諦めきれない気持ちがあった。それは、春夏に対する想いがただの憧れに留まらず、日に日に強くなる愛情に変わっていったからだった。
春夏の周りには常に人気者の男子が集まり、彼女と笑い合う姿がよく見られた。しかし、春夏はいつも自然体で接しており、彼女が誰とでも親しくなるその様子は、颯汰にとっては少しだけ切なさを感じさせるものだった。
そんなある日、颯汰は放課後、図書室で本を読んでいるときに、春夏が入ってきたのを目にした。彼女は、周りに誰もいないことを確認するかのように、静かに席を選び、背中を丸めて本を開いた。
颯汰はその瞬間、心臓がドキドキと速くなった。彼女と同じ空間にいることがただただ幸せだった。しかし、いつものように、声をかけることはできなかった。
春夏が本を読んでいる間、颯汰はじっと彼女を見つめていた。彼女の髪がふわりと揺れるたびに、颯汰はその美しさに引き寄せられていた。
そのとき、春夏が突然、顔を上げて颯汰と目が合った。驚いたような表情を浮かべた彼女は、少し照れくさそうに言った。
「北村くん、こんなところで何してるの?」
颯汰は一瞬、言葉を失ったが、すぐに彼女の質問に答えた。
「ただ、読書していただけです…」
春夏は微笑みながら、少し間を置いてから言った。
「私も本が好きなんです。今度、一緒に本を選びに行こうか?」
颯汰は思わず目を見開き、心の中で大きな驚きと喜びが広がった。
「ほんとうですか? ぜひ、一緒に行きたいです!」
春夏はその反応を見て微笑み、頷いた。
「うん、約束ね。」
その瞬間、颯汰の胸に新たな希望の光が差し込んだ。自分の気持ちが少しずつ春夏に届いていることを感じ、心の中で強く誓った。
「必ず、この想いを叶えてみせる。」