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前の前の席の笹田。ノベルバージョン

4 - 第4話 あたしのことを嫌いなアイツ

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2025年06月27日

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「ねー!転校生だって!イケメンだって!」友達


の真部夏菜子がわたしの元へやってきて言った。


夏菜子は入学して初めてできた友達。身長は165センチくらいで、細身。


切れ長の一重で、ほっぺたにはそばかすが何個もあり、少しだけ染めた茶髪を高い位置でポニーテールにしている。


運動神経抜群の元気ハツラツ女子で、野球部のマネージャーをしている。


夏菜子とは性格が真逆だったのだが、それにも関わらずあっという間に仲良くなった。それはきっと、お互いにないものを持っていた


からだと思う。夏菜子は明るく元気でわたしの事を照らしてくれる。わたしはわたしで夏菜子にない落ち着いた部分がある。


だからこそ、一緒にいて楽しいし、居心地がいいと思っているのかもしれない。


「みんな、おはよう!!」


担任がいつも通り、威勢の良い声とともに、教室に入って来た。


よく見ると、確かに転校生らしき男子がついてきている。髪の毛は茶髪で伸び放題な感じ。前髪が長すぎて、表情は少ししか見えない。


制服はあまりサイズが合ってないように見えるし、上履きも綺麗すぎてなんだか違和感がある。身長は180センチくらいで、シュッとした体型をしている。


部活のせいなのか分からないが、半袖のシャツから出ている細い腕が、うっすら日焼けをしている。一体何部だったんだろう?という疑問が自然と湧いてくる。外の部活だとすると、野球部か、サッカー部か。その辺のはずだ。


その時、わたしはあまり関心がないふりをした。気づかれないように、チラッとだけ彼を覗き見る。 なんだか、緊張してしまい、一種のスリルのような物を味わってしまう。


なぜだか知らないが、呼吸ができないほどにドキドキするし、身体にはやけどしそうなほどの熱気が、どこからともなく吸い寄せられてくる。


「おーい!ホームルーム始めるぞー席に着けー」担任が大きく息を吸ったあとに、はりさけんばかりの声で吠えた。どうしてそんなに、大きな声が出せるのか、わたしは謎で仕方なった。


生徒たちがガヤガヤと騒ぎながら席につく。みんな彼への好奇心で一杯で、ドキドキワクワクがまとわりつき、目を輝かせている。


「転校生を紹介します。笹田蓮君です。自己紹介して」


ん?

笹田??


「初めまして、笹田蓮です。北海道から来ました。よろしくお願いします」


え、笹田蓮?って、

中学の時、引っ越してったアイツじゃん。

ザリガニの……。


「じゃー、笹田はあそこの席な」

笹田の席はわたしの前の前の席に決定した。


そう、

ザリガニを入れられた時と同じ。


「なー!北海道から、来たの?」

「まぁー。引っ越しただけだけど」

「すげーなー!北海道ってどんなとこ?おいしいもん、たくさんあるんだろ?」


笹田はビックリするほどあっという間に人気者になった。


そうだ、あのころ……。

ザリガニを入れられたころも、笹田の周りにはたくさんの友達がいて、いつも楽しそうにはしゃぎまわっていた。


人懐こくて、みんなを楽しませられる、いうならば、太陽のような男。


わたしにはないものを持っている男子。


苦手なはずなのに、輝かしく見えて仕方のなかった相手。


どうしてあの時、わたしのことだけ、

嫌いだったんだろう?成績が良かったってだけなのに。

わたしは、隅々まで考えてみたが、

どうしても、答えが見つからなかった。

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