No.21 ジャッカニン
魔獣類トビウサギ科
・体長60〜90cm
・体重約4キロ
・生息地はカムラ地方、ドロップ地方。その中でも樹木の多い場所を好む。
・マンドラゴラ集めの最中に発見。というかしょっちゅう見かける。
皆さんはヴォルパーティンガー、もしくはジャッカロープという名のウサギの未確認生物をご存知だろうか?
知らない人のためにざっくり説明しておくと、ジャッカロープは鹿の角のようなものが頭部に生えているウサギの事で、ヴォルパーティンガーはそれに加えて翼まで生えているのだそうだ。
うん。実にワクワクするな。やっぱりどこの世界にも想像力豊かな人間は存在するのだろう。
……失礼。ジャッカニンの解説に戻ろう。
おっと、その前になぜ先ほどの説明を入れたかという事についてだが、それはコイツが前述した二匹の中間のような生物だからだ。
なぜならジャッカニンが有しているのは翼だけ……いや、翼だけでも充分凄いか。それ以外では普通のウサギとの違いはほぼ無いといえるだろう。
ちなみに俺が元いた世界のウサギ科最大種であるヤブノウサギとコイツを比較すると、体重は同等であるが体長はそれよりも大きい、という事が分かるが、これは翼も含めた数値であり、並べて見ればジャッカニンの方が小柄である。
体色は主に緑がかった色をしているものが多いが、腹と羽の裏側だけは白、もしくはグレーである。
体毛は周囲の草木に紛れる緑、腹部と羽は雲と同化する白色系。保護色としては完璧だ。これならば厳しい自然界でも悠々自適に生活している事だろう。
……と、いいたい所だが、そうでもない。
むしろジャッカニンの置かれている環境は苦を極める。餌となる地上の植物にはマンドラゴラが紛れ込んでおり、上空ではマンドラゴライーター等の鳥類に高度でも飛行速度でも負けてしまうので出逢う事それ自体が一巻の終わりとなってしまうのだから。
どこの世界でも生態ピラミッドの中位にいる生物は大変だな。俺も昔は〝そこにいた〟からよく分かる。
ん?そんなワケないだろって?まあ確かに弱肉強食の世界と俺のいた世界の過酷さが同レベルだとはいわないが、中間管理職も結構大変だったぞ?
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