これ、誕生日に相応しいの…?なネタ
元貴さん生誕祭と世界線は別
先に言っておきます
いつもの事ですが長いです。
※完全コメディのつもり
※なんでも許せる方向け
「ちょ…っあ、涼ちゃん…っ!?」
すっごく情けない、ひっくり返った声が出た。
慌てふためいてて自分の声じゃないみたいだ。
そりゃあ慌てもする。
覚醒して、急にバーンと視界に入ったのが、目の前で涼ちゃんが俺の足の間に顔を寄せて口淫している光景。
これで目が覚めない奴いる?
少しぼやっとしていた脳内の霧が晴れたような、強制的に晴れるしか無かったかのような、そんな感覚。
そして、急激に背筋を駆け上がったザワザワとした快感。
ちょっと待って、と。何やってんの、と。
慌てて涼ちゃんの頭を掴んで引き離そうとして、腕が手が動かなくて、そこで漸く自分がどんな体勢になっているのかを初めて自覚した。
薄いカッターシャツ一枚羽織っただけの体、脇をぴたりと閉じて二の腕が動かせないよう胸の辺りとまとめて縄で三重くらいに括られている。その肘から下、両手が後ろに回って縛られていた。
なに、これ。
どこの拉致現場?え、俺誰かに拉致された?事件に巻き込まれたの??
いや違う。だって、ここは毎日のように彼と寝起きを共にしてる涼ちゃんの寝室だ。見覚えがあるどころの騒ぎじゃない。
頭の中パニックだ。
え、え??一体何があったの?
寝てる間に涼ちゃんが縛ったの?縛って、身動きできなくして…あー違う。先に脱がして?シャツ一枚にして、縛って…ちょっと待って?結構な重労働だと思うんだけど。
ていうか、後ろ手に縛るって、俺も結構動かさないと無理だけど。
なんで全く記憶がないわけ?普通、途中で目を覚ましそうなものじゃない?
…ていうか、よくよく見ると、縄も本格的なそういう本物志向な感じで、視界の端に映る結び目もすごい外れそうにないくらいきっちり結ばれてて、玄人感半端ないんだけど。
「っう、ん、んッ」
超絶パニック状態の俺の脳内と裏腹に、浅ましく硬さを持った熱が涼ちゃんの口と舌と指に刺激されて、確実に硬度を増していく。
経緯も不明だし状況も異常なんだけど、こればっかりは仕方ない。
置かれている状況は置いてといて、滅多に口でしてくれない涼ちゃんが、自ら進んで銜えてくれてるってだけで爆ぜそうだ。
「っりょう…ちゃん」
声が上擦る。
先走って溢れた粘液を丁寧に舐めとって先端をくるりと円を描くように舐る舌の動きに、体が跳ねた。
跳ねた反動で胸と二の腕に食い込む縄がずり、と擦れて痛い。
背中が痛くないようにという配慮か、ベッドのヘッドボードに寄りかかるように少し上体を起こしている俺の体の背後には、優しさのクッションが挟まれている。
いや、だから。この体勢まで取らされて、なんで俺は全く気付かず眠りこけていたのか理解できない。
じゅる、と唾液と熱がこすれる音がする。
「ぅ、ぅぐ…う゛ぅ」
涼ちゃんが懸命に頭と口と指を動かしていて、鼻にかかった声が小さく何度も漏れて空気に熔けた。
涼ちゃんが従順な様子で自らこういうことをしてくれている、のが新鮮で、目の毒で。
だって、口でするの苦手だって言ってたじゃない?上手くできないから、滉斗を気持ちよくできなかったら嫌だから怖い、って。
だから無理強いはしたこともなかった。
改めて、これは視覚的にも気持ち的にも、やばい。
確かに、すごく稚拙な口淫ではあるけど、涼ちゃんが口に熱を含んでくれてるって言うだけで、こんなに気持ちいい。
涼ちゃんの表情が少し苦しそうなのが、長めの前髪が揺れる度に垣間見える。
あー、その前髪かきあげて、必死で咥えてんのめちゃくちゃ見たい。きっと、やってる事は大胆なのに恥ずかしさで顔は真っ赤なんだろうな。
解けそうにない腕と手を何とか動かそうとするけれど、無駄な抵抗に終わる。
縛られる趣味なんて無いのに、ずりずりと縄が擦れて、不快感ともどかしさしかない。
舌を這わせながらゆっくりと喉の奥まで熱を迎え入れて、窄まって狭くなっている器官の壁を熱の先端が突く。
「りょ…っ、ちょっ、と!」
奥まで、入れすぎじゃない?
と言いたいところだけど言葉にならない。
「ぅ、え…ぐッ」
色気のない苦しげな声が涼ちゃんの口から漏れて、根元近くまで深く飲み込んで、一旦奥に熱を留めて動きが止まった。
太腿に添えられている涼ちゃんの指がカタカタと震えている。
なんでこうなっているのか、聞きたいことが沢山あるけど、とにかく今は触りたい。
触りたいのに、触れない。もどかしい。
いつの間にか俺の息も切迫して上がっていて、涼ちゃんが少し動くだけで、う、と声を漏らしてしまう。
俺が漏らした声が聞こえたのか、ちらりとこちらを見上げた涼ちゃんと目が合う。
なに、その、苦しそうなのに、情欲にまみれて蕩けきった、水分で溺れた眸。
こっちは縛られてて腕も手も動かせなくてされるがままで、起きた瞬間からもう熱は既に弄られてたのに、まるでこっちから、銜えることを指示されたかのような、そんな表情。
すごい、髪に指絡めて、触れたくて堪らない。
顔にかかる髪の束を耳にかけた涼ちゃんの仕草が扇情的だ。
恥ずかしげに目を伏せ、ん、と声を漏らし、喉の奥を自分で突くように顔を上下させて短く速い動きを繰り返す。
「ぅぐ、っんん゛…っ」
「う、ぁ…、やっばい」
涼ちゃんのくぐもった声と、俺の上がった呼吸と情けないくらい感じてる声が部屋に響く。
先程まで卑猥すぎる粘着質な音が聞こえていた筈なのに、喉の奥深くで繰り返される抽挿ではあまり音が響かなくて、それが逆にまたすごく秘めたことをしているような感覚をもたらす。
なんだよこの状況。全然意味が分かんない。
なんで俺が縛られてて、涼ちゃんが滅多にしないフェラしてて、いやしてくれるのは嬉しいし、全然毎日だって涼ちゃんとこういうことしたいけど、流石にわけがわからなさ過ぎる。
だけど莫迦みたいに正直な俺の体は、大好きな涼ちゃんにそうされたらひとたまりもなくて、呆気なく熱の密度が高まっていって、膨張するのを感じる。
「っ、出る、から…涼ちゃんっ」
離して、と。
一応言ってはみたものの、予想通り涼ちゃんの動きは止まることはなくて。
それどころか熱を口腔内で締め上げる動きが激しくなって、何度か先端が喉奥を突いたその後に、一層狭くなっている器官にギュッと入り込むような感覚。
「…ッ、ぅ、…ぇッ」
喉輪でぎゅっと締め上げられ、熱が爆ぜた。唇を噛んで声を堪え、どろっとした粘液を喉の奥に流し込む。
達した刺激にびく、と俺の腰が何度か跳ねたけれど、それよりも。喉の奥で俺の熱を締め上げた涼ちゃんの体の方が、がくがくと激しく痙攣した。
隙間なんてないほど俺のを銜えて、更に喉の奥で飛び出した精を受け止めたら、息できてないんじゃ?
俺の太腿に、がりっと爪が食い込んだ。
「ちょ、だい、っ…大丈夫!?」
自分が置かれている状況も忘れて、慌てて声をかける。
頭を引き剝がしたいところだけど、なんせ両手が動かない。動かないもどかしさに縄が擦れてびりっと痛みを感じ、舌打ちが出る。
何とか腰を少し引く。一旦絶頂を迎えて硬さを失った熱のおかげもあり、ずるりと熱が口腔から滑るように抜けた。
涼ちゃんの唇から覗く舌先と熱とが、零れた精で繋がるように細く糸を引いて、ぷつりと切れて垂れる。
溺れかけた人のように激しく咽ながら顔を上げた。
「ぅえ…ッ、げほッ…は、ふ…っ」
咽込む合間に、ひゅ、ひゅと喉が鳴っていて、真っ赤になっている頬に幾筋も涙が跡を作る。唇の端からは唾液か俺の出したものかわからないものが零れていて。
なんだろう、ものすごい罪悪感に襲われた。襲われたけど…、これ、俺に非があるの?
「…涼ちゃん」
そっと呼びかける。
まだぜろぜろと咽ながらも息を整えようと肩を揺らし、今にも大声で泣き出しそうな程にくしゃりと表情を歪めて、俺を見る。
「うっ…、ひろ、と」
うーーー、とぼろぼろ泣きながら涼ちゃんが倒れ込んできて、シャツに縋り着いて俺の胸に額を擦り付けた。
頭を撫でたい。ものすごく。
さっきから何度も何度も思うし、すごくもどかしいんだけど…腕がね、手がね、縛られてるんだよ。
ねえ、涼ちゃんでしょ?若しくは、協力者がいるでしょ?
熱を放出したせいか、少し頭の中がスッキリしてきた。
言いたいことがありすぎて、どの言葉から投げようかと考えていると
「…ぎもち、よがった?」
せっかく呼吸が整ったのに、鼻水をずびずび啜りながら言うから、濁点が多い。
なんでそんな苦しい思いまでして、こんなことしようと思ったのか。
そう問いたいのをグッと堪えて
「気持ちよかったよ、すっごく」
正直に答える。
つっこみたいことも言いたいことも、聞きたいこともたくさんあるけれど、気持ちよかったのは事実。
それを聞いて、涼ちゃんが微かに笑った気配。
よが、よかったぁ…。
と心底ホッとしたような声が小さく聞こえた。
はあ、と大きく溜息をつく。
「涼ちゃん、顔上げて」
俺を見て。
こっちを向かせることが出来ないから、そう言えば、素直に顔を上げる。
胸の辺りから掬い上げるように見上げてくる、恋人の顔。
真っ赤に泣き腫らした眸で、涙や唾液のあとなんかも残る、なんだか情けないんだけど、いつもの情事の時の俺の好きな顔。
頭を擡げそうな熱の気配を感じつつ、いやいやそうじゃなくて。
そうなんだけど、それより先に問い詰めたいことを問い詰めないと。
徐々に、意識が覚醒する前の…というか、眠りに落ちる前のことを朧気ながら思い出してきて、もう嫌な予感しかしないんだけども。
「ねえ、一体どういうこと…?」
明日は若井の誕生日だから、涼ちゃんの家でカウントダウンパーティーしよ。と元貴が思いついたように言った。
ほぼ涼ちゃんの家に転がり込んでいるような状態の俺だったし、俺たちふたりの関係もよくよく知っている元貴だったから、きっとお酒も入るし涼ちゃんの家がいいだろう、と元貴は思ったんだと推測する。
たぶん、それは大正解なんだけど。
普段見ないような高そうなウイスキーで、バーテンダーを気取った元貴が、オシャレにハイボールを作ったりして。
あーだこーだ、ここ最近のことからちょっと前のこと、子供の頃のことなんかをダラダラと喋っていたらものすごく楽しくなってきて。
「飲みすぎちゃダメだよ」
心配する涼ちゃんを他所に、飲むペースが上がってしまっていた。
あーふわふわしてきた。
そんなことを思ったタイミングで、
「誕生日プレゼント、楽しみにしといてね」
元貴がすごく美しい笑顔でそう言った。
多分、これは酔い潰れる直前の記憶だ。
わー、うれしー。なんだろうなー。と普段は言わないような言葉が、酔っ払って回らない口から出たか出ないか、の辺りで記憶が飛んでる。
今からわかる。
あの元貴の笑顔は何かよからぬ事を企んでいる顔だ。お酒のせいで、その判別機能がばかになってた。
お酒には弱いしすぐ酔っ払っちゃうけど、意外と記憶はちゃんとしてるから、飛んでるってことはそのまま潰れたってことだ。
…で、起きたらコレ。
「あのさ、すごく嫌なこと聞くけど」
「…」
俺の言葉の先を読んだのかどうなのか、目の前の涼ちゃんの顔が強張る。
「元貴の誕プレって、これのことじゃないよね?」
まさかね、と。思い過ごしであってくれ、と思いながら言えば、涼ちゃんの視線がふわあと明後日を向いて宙をさ迷った。
えええぇ、もろ図星じゃん。
まじで?あいつばかだろ。なに考えてんの。
元貴が、楽しみにしてて。とにっこり笑った誕生日プレゼント。
それが、俺を縄で縛って身動きできなくして、涼ちゃんがフェラするっていう、この変態チック極まりないプレイ。
…そんな、馬鹿みたいな話ある?
今だって、すごく滑稽な図だよ?
お互いにぐしゃぐしゃになったシャツ一枚だけ身につけただけの格好で、ヘッドボードにもたれかかってる俺は二の腕と胸をギチギチに縛られて後ろ手に拘束されてて。
その胸辺りに体を寄せている涼ちゃんは手足も自由なのに、泣き出しそうな(既に泣いたあとだけど)顔してて。
「なんで、涼ちゃん止めないの!」
「だっ、だって…、元貴が、」
強めに咎めるようにいえば、おろおろした涼ちゃんの子どものような、だって。が出てくる。
涼ちゃん、いつも若井に甘やかされてアレもコレもしてもらってばっかりなんじゃない?たまには積極的になって、悦ばせてあげるのもいいと思うんだけど。
俺、そんな涼ちゃんを若井にプレゼントしたいな?
あー、元貴の声でそれ余裕で再生できる。
涼ちゃん、どこまで赤裸々に俺とのセックス元貴に報告?してんの?聞かれたら素直に答える、じゃないのよ。そんな義務はないの。
恋人同士の秘め事だから秘密だよって躱してもいいんだよ、そういうの。
元貴も元貴で、余計なお世話だってわかってわざと進んでやってるから、タチが悪い。
元貴が俺たちの関係を、ふたりが仲良くしてくれて嬉しい、ってすごく喜んで理解してくれているのはわかるけど、これは、ちょっと。
いや、積極的な涼ちゃん、すごく良かったけどね?
俺を縛る必要、なくない?
…なるほどね。
通りで、スムーズに俺を起こすことなく縛ることが出来たわけだ。
俺が目を覚ましたら、突拍子もない光景に慌てて涼ちゃんを引き剥がして行為止めちゃうもんな。そうならないよう、縛ったんだろうけど…この縛り方、ちょっとした意地悪で悪趣味なものを感じざるを得ない。
っていうか、泥酔して意識のない俺を脱がせて縛って、っていう場面に元貴もいたんだと思うと、恥ずかしいようななんとも言えない複雑な気持ちになってくる。
色々な思考が入り乱れて、すごい難しい顔をしているだろう俺の顔を見て、涼ちゃんは眉を下げる。
「…ご、めん…」
ぽつりと涼ちゃんが謝った。
いつも僕ばっかり滉斗に気持ちよくしてもらってて、僕何も返せてないな、って思ってたし…元貴の提案に乗るのもいいかも、と思って。
「そしたら、悦ばせて、あげられるかなって…」
すぅっと息を吸って、吐き出せなくて息をとめた。
ものすごく大きな声で、バカ!と言いたいのを堪える。
この人はいつも、何を見てるんだろう。
俺は自分がしたいから、涼ちゃんをぐずぐずに溶けそうなくらい甘やかして、キスして、全身くまなく弄り倒して、抱いてるのに。
喜んでないわけないし、悦んでないわけないじゃん。
触れば艶っぽい声で啼く。涼ちゃんが俺で感じるよう染めたのは俺だし、これ以上ないくらいの優越感と涼ちゃんが俺の恋人なんだっていう事実だけでも、充分気持ちが良いのに。
あー、うん。
これはまんまと元貴に乗せられたね。
涼ちゃんの、愛されてることに自信が無いところ、を上手く突かれたね。
「ばかだなあ…涼ちゃんは」
やっぱりバカって言っちゃった。
だって、バカすぎるんだもん。
どこまでも自己肯定感が低くて、愛されてることをこれっぽっちも信じれてない涼ちゃんも。
それを覆すくらいに、ちょっと彼を苦手だって思ってた過去の自分をぶん殴りたいくらいの気持ちなんだって、大好きなんだって愛を伝えきれてない自分も。
バカだなあ。
「うぅ、ごめぇん…」
消え入りそうな声で言葉を零して涼ちゃんが謝る。
呆れたような笑いと共にため息を吐く。
「俺がさ、涼ちゃんに色々したいのは、すごく好きだからで、ぐしゃぐしゃになって、ひろとすきって言ってる涼ちゃんを見るだけでも、俺はちゃんと気持ちいいんだよ」
涼ちゃんも、わかってるでしょ。ほんとは。
わかってるけど、信じきれない。そうだよね?
今までも何度もそういうことを伝えてきたつもりだけど、それでもすぐに自信を無くすなら、何回でも言うから。
そう言えば、しばらくの沈黙の後、さわさわと胸に触れる髪が揺れて、頷いたのが分かった。
俺を気持ちよくしたい、って涼ちゃんから想ってくれたのはすごく嬉しいことだし、別に目くじら立てて怒ることでもない。
それより、俺の肩口にすりすりと頭をこすり付ける涼ちゃんを、ギュッと抱き締めたい。
頭を撫でて、額や頬、唇にキスをして、改めて、仕切り直して涼ちゃんをしっかりと抱きたい。
「じゃあ、涼ちゃん、これ解いてくれる?」
いい加減、俺も涼ちゃんをぎゅっとしたいんだけど。
そう告げると、涼ちゃんがそっと俺を見上げて
「…それは、やだ」
とものすごく困った顔で言った。
え?どういうこと?
今そういう流れだったよね?
なんでこういう状況になったか、っていうのを確認して、ちゃんと気持ちいいし好きなんだよって伝えて、俺は晴れて自由になって、それでお互いしっかりと愛を確認し合う、そういう場面に移るところだったよね?
やだ?やだっていうのは、縄を解きたくないってこと?
驚きと困惑で言葉を紡げない俺を見て、涼ちゃんが一度言いよどむように唇を噛んだ後、
「元貴が、最後まで頑張ってって言ってたし…」
滉斗への、元貴からの誕生日プレゼントだから。
…と、言葉を紡いだ。
律儀かよ…。謎に律儀すぎる。
『積極的に自分から動く涼ちゃん』が元貴から俺への誕生日プレゼントだから、縄は解けない。やめられない。と。
「だって、腕が自由になったら、滉斗は、その…僕を触るでしょ?」
そりゃ、触るよ。触りまくるよ。
だから、さあ!
そもそもが勘違いというか、元貴がいいように涼ちゃんに言っただけで、俺はちゃんと気持ちいいんだって。涼ちゃんが俺に何もしてないとして、ただ揺らされるだけ揺らされて抱かれてるだけだとして、それで俺は十分満たされてるんだって言ってんの!
コレ、どうやったら伝わるの?全然伝わる気がしない。
「っ、だ、から…!」
「わかってるよ、わかってるんだけど…」
何とか伝えようとした俺の言葉を遮るように涼ちゃんが言葉をかぶせてきた。
思いのほか強い声に、ぐっと押し黙る。
涼ちゃんの視線がふとそらされて、俺のシャツを縋るように掴んでいた指先がするりと肌を撫ぜ滑り落ちる。
思わず、ぴく、と体が揺れてしまった。
「それ、でも…今日は、僕が上に、の、乗って…ひろ、とを気持ちよく、したい…」
涼ちゃんの、ただでさえ薄ら赤くなっていた頬が、更に、みるみると真っ赤に染まっていく。
視線は外れているけれど、それがまた、とんでもなく恥ずかしそうな空気を生み出していて、飛び火したみたいに、俺の頬まで熱が上がった。
だめ、かな?
そう、小さく、けれど少し上擦ったような声で言われてしまったら、もう俺に拒否権なんかない。
どうしてくれんだよ、元貴。
今すぐこの可愛い生き物を組み敷いて抱き潰したいんだけど、それが叶わないだなんて。
頭を抱えたい。抱えることも出来ないけれど。
これが本当にプレゼント?最高で最低な拷問の間違いだろ。
そこからは、もう、本当に拷問かと思った。
あれだけ、上に乗るって頑なに縄は解かないって言ったくせに、えっと…どうしたらいいの?から始まって、とりあえずローション出して、と指示して。
隠してあったローションの場所を教えて、それをどばーっと手に出して、冷たい!と涼ちゃんがびっくりして、出しすぎ。それ手で温めて、となるべく冷静を装って言う。
いつも俺がこう、涼ちゃんにばれないようにさりげなくやっている事を、なんでここで自白していかなきゃいけないんだ。完全に拷問だ。
そういう俺の気遣い?いつもやってる、自分の知らなかったことに気付いて、涼ちゃんが絶句して、唇を引き結んで、眉を下げて、真っ赤な顔で、何とも言えない表情をしてて。
なんでそういうところだけ察しがいいの。気付かなくていいのに。
「…涼ちゃん、できんの?」
とっくに人肌に馴染んだ多めのローションを手に纏わせたまま、俺の肩に額を乗せて、膝立ちのまま…一向に動こうとしない涼ちゃんにため息をつく。
自分で、中に指入れるって。口でするのもほぼ経験ない涼ちゃんにはなかなかハードル高いと思うんだけど。
返ってくる言葉はなくて、戸惑うような空気だけを感じ取る。
「無理しなくてもいいじゃん。俺するよ?」
だから、縄、解いてよ。
言えば、ふるふると首が横に振られる。相変わらず言葉は返ってこないけど、落ち着かせるようにか、呼吸を整えるような息遣いが聞こえた。
「あ!…っ、うぅ」
にちゃ、とローションの音が小さく鳴った。
多分、意を決して指を入れたのかな?と思うんだけど。見えないからわからない。すごく歯痒い。
涼ちゃんの声が耳元で鳴る。
気持ちいいとは違う、驚きというか…若干の不快さを滲ませていた。
「ぁ、あ、なん、でぇ…?」
気持ちよく無い、いつもと違うっ、と困惑しきった掠れた声。
は、は、と短く息が弾んでいる。
うん、あの。やめて。耳元でその台詞と、吐息と。なんか色々とやばい。
えーと、これはここからどうしたらいいんだろうか。
俺としては、腕を自由にしてくれれば涼ちゃんを色々自由にしてあげられると思うんだけど。縄を解いてくれたら俺も自由にできるし、涼ちゃんも、そんな自分で慣れないことしなくても良くなるんだし、WIN―WINだと思うんだけど。
ねえ、縄…と言いかけただけで、やだ。と言い、更に指を奥に入れるように動いて、涼ちゃんの体がびくりと震える。
…これ、どんなプレイ?
にちにちと粘ついた音がする。
う、あ、と小さく生理的に漏れ出る声。喘ぎに似ているけれど、少し違う。
指を出し入れしてるの?何本入れてるの?ねえ、すごく見たいんだけど。
左の肩に額をこすり付けられて、右手が後ろに回ってて、自由な左手が俺の右肩を掴んでいて。肩を掴むその指の力が強い。
「涼ちゃん、力抜いて」
俺にできることと言えば、そう言葉をかけるだけなんだけど。
このよくわからない状況と謎の構図に、不謹慎ながらも一度達した熱が再燃してるし、声が上擦ってしまっていた。
「あっ、あ、や、やだ、どう、っちから…うっ」
うぅぅ…、と涼ちゃんの声がぐずぐずにほどけて涙声になっている。
それでも、変わらずにちにち音が聞こえるから指は懸命に動かしているようで、けれど、うまく気持ち良さを感じ取れない様子。
なんだか、熱は上がっているけれど、これじゃうまく気持ち良くなれない。俺も涼ちゃんも。
「涼ちゃん、わかったから、もういいから」
俺を気持ちよくしたい、自分が色々したいのは、もう十分わかったから。
元貴からの誕生日プレゼントとか、もういいから。
色々辿り着く前に、夜が明けちゃうよ。
そんなことをゆっくりと囁く。
ここで頭を撫ぜるなり、背を撫でるなりすれば、涼ちゃんの気持ちもすぐこっちに傾くんだろうけど、それができないもどかしさ。
指を動かす音が聞こえなくなって、固まってしまった涼ちゃんは、しっかりと俺の言葉を聞いている。
肩に、はぁっと深い息がかかって、肌がほんのり熱くなった。
「…元貴が、わかる、からね、って」
「え?」
なにを?
涼ちゃんの絞り出したような言葉の意味が分からなくて、聞き返す。
ここにきてまで、元貴の名前が出てくる。
元貴が、何を、わかるって?
少し言い淀んだ後、諦めたように涼ちゃんから言葉が小さく零れた。
「途中で、縄、はずしたら、わかるからね、って」
…ちょっと、色々言いたい言葉が一気に脳内に押し寄せてきた。
元貴なら、正直、やりそう。盗聴器とか?隠しカメラとか?普通に仕掛けそうだけどさ。いくらなんでも、ここ、涼ちゃん、あなたのおうちですよ?しかも寝室。
いつ仕掛ける暇があったんだよ。
ちょっと、涼ちゃん。涼ちゃんが元貴をすごく信頼してるのはすごくよくわかるけど、さすがに信じすぎじゃない?
元貴も、涼ちゃんが自分から動くように気持ちを乗せたり、涼ちゃんなら信じそう、とか思って、適当なこと言いすぎじゃない?
そんなわけないじゃん。
「涼ちゃん、それ…本気で信じてんの?」
「えっ!?嘘なの?」
心底驚いたような表情をしているけれど、心底驚くのはこっちの方です。マジで信じてたのかと。
「流石に、元貴もそこまではしないよ」
驚いて顔を上げ、至近距離で俺を見た涼ちゃんに、呆れ果てた溜息が漏れる。
だって、何の得があるんだよって話だ。
元貴が涼ちゃんを、そういう意味で好きなら別だけど…そうだったとして、自分じゃない誰かとのセックス見たり聞いたりしたいもの?逆に嫉妬で狂うでしょ、そんなの。
そもそも、そういうふうに匂わせて言うところが、まんま嘘。元貴が本気でこの部屋のどこかにそういった情事を覗くようなものを仕掛けたとしたら、絶対に言わない。
そこは徹底してると思う。
俺の目をしばらくじぃっと見て、涼ちゃんの表情が呆気にとられたものから徐々にくしゃりと歪んでいく。
「ご…っごめん、僕、真に受け、」
「うん、とりあえず、縄解いてくれる?」
慌てふためいた涼ちゃんの言葉を遮って告げた。
色々ね、目が覚めて置かれてる状況を理解してから、怒涛のように衝撃的なことがありすぎて、涼ちゃんが思った以上に抜けすぎて純粋すぎて、かわいいだろ、と思いすぎて、俺も限界だ。
あ、あ、と俺の開いた足の間に座り込んで、わたわたし出し、そうだよねっ。とすんなりと縄を解く。
そんなすぐに解けるものかと思ったけれど、結び方や解けないようにするコツもあるなら、すぐに解くようなコツもあるのか、呆気なく俺の両腕は自由になった。
肌がぎゅっと縛られて窮屈になっていた感覚から解放される。
体の周りにはらりと縄が落ちて、改めてまじまじとその縄を見た。
何が怖いって、抜け出そうと何度も体を動かして縄が擦れて痛みを感じたはずなのに、手首に薄っすらとした縄の痕しかなく、傷があるわけでもなかった。結構縄が擦れた感覚はあったし、傷ができているかと思ったんだけど、なるほど、縄の表面にロウ付けで加工してあって、傷ができにくいようになってる。
本格的なそういうプレイ用の縄すぎて、ぞっとした。
「赤く、なっちゃった…」
ごめんね、ひろと。
言いながら、頑なに解くのは嫌だと言っていた張本人は、泣きそうな表情で俺の胸に残っている縄の痕を指先で撫でる。
涼ちゃん、すっかり忘れてるでしょ?
フェラしたことも、俺の出したやつ飲んだことも、自分で自分の中を慣らそうとしたことも。
元貴が見てるから、縄は解かないで自分が気持ちよくしなきゃ。だって、元貴の誕生日プレゼントなんだし。みたいな気持ちでいて、多分、気持ちの比重が俺とのセックスとは別のところにいってるんだろうな。
縄の痕を指先でそっと…なんて、それすらも、劣情を揺さぶるんだよ、散々焦らされた俺からしたら。
ようやく、触りたい、と思っていた涼ちゃんに触れた。
ゆったりとした余裕のある気持ちではなくて、ぎゅうっと強く掻き抱くように抱き締める。
「ぅわ、ぷ」
色気のない声を出した涼ちゃんに構わず、その体を抱いたままベッドに倒れ込む。
傷はないにしても、やっぱりしばらくは縛られてた腕と手首に違和感が残ってる。
上手く涼ちゃんを組み敷けなくて、もどかしい。
さっきまでされるがままだった俺が、急に襲い掛かる形になって涼ちゃんは目を白黒させて、え?え?と流れについていけていない。
されるがまま、だったのは縛られていたからで、何度も触りたい、抱き締めたいって思っていたから、こう、感情や気持ちが爆発したような感じなんだけど。
隠しもせず眸を分かりやすい欲望で滾らせて涼ちゃんを見下ろす。
両の手首をまとめて右手で掴んでベッドに縫い付けるようにして
「ね、何本入れたの」
自分の、指。
そう訊ねれば、顔が真っ赤になった。
今日の涼ちゃんは、顔が赤くなりっぱなしだね。
すごく意地悪なことを訊いてる自覚はある。
でもこれくらいは訊かせてよね?どんだけ、俺煽られたと思ってんの。
答えない涼ちゃんの既に硬く育ち切ってる乳首を左の指先で弾く。
「っや、あ!」
さっきとは違う。明らかな快楽に塗れた、高い音の嬌声が響いた。
弾いて、そのまま指先でぎゅうっと抓ると、かぶりを振って、いやっ、と零した涼ちゃんの腰がびくん、と跳ねる。
その姿に、言いようのない悦楽が込み上げ、ねえ、と強めの声でもう一度言い、胸の尖りに爪を立てた。
「っにぁ、に、2本、だけ…ッ」
観念するように涼ちゃんが言ったから、へえ、と素っ気なく返す。
敢えて素っ気なく返事をしたけれど、心の中はもうずっと穏やかじゃない。
元貴の予想通り、涼ちゃんも自分で言った通り、いつも俺があれやこれやと涼ちゃんを弄繰り回して、どろどろにさせて、抱き潰してる。涼ちゃんが俺に対してできることと言えば、啼いて懇願して縋りつくくらいなもので。その涼ちゃんが、自分で指を入れたんだ、と思うと。
しかも、俺を気持ちよくさせたいがために、俺を迎え入れる準備のために、と思ったら、もう、堪えられるものにも限界がある。
はぁ、と吐いた息が思いのほか高温で、自分でも引く。
縛られて手が出せず、溜まりに溜まった劣情と情欲を、今すぐその体に叩きつけたい。…ところだけど、勝手がわからず、気持ちよく無い、なんで、というくらいのレベルで指を2本入れたって、慣れているわけがない。
「っひ、ゃ、あぁ…っ」
胸を離れた指先を2本、涼ちゃんの中に埋める。
途端、熱で蕩けた声が鳴って、涼ちゃんの体が仰け反って顎がぐっと上がった。
指2本。これでも、譲った方だよ。
もう既に腫れ上がってる熱で涼ちゃんの中を荒らしたいくらいの気持ちだけど、傷つけたいわけじゃない。
縛られていた所為か、血流がおかしなことになっていて、指がたまに引き付けるけれど、その違和感はどこかに放り投げてた。
涼ちゃんの中のイイトコロを指先でごりごりと強く押し潰す。
いつもはゆっくりと縁を丁寧に慣らすところから始めて、しこりを掠める程度でしか触れないけれど、今日はもう、そんな余裕はない。性急な激しい動きに、涼ちゃんは我慢もできずに声を上げる。
「ぁ、んっ!や、なん、で…っ」
さっきは気持ちよく無かったのに、と。
あー、もうね。
今日はもう、駄目だね。涼ちゃんの言葉が、すべて、ダイレクトに俺を煽る。
「ね、ここだよ。涼ちゃん」
涼ちゃんの、涼架の、きもちいところ。ここを、こうして、ぐりぐりしないと、気持ちいいってなんないの。ねえ、わかる?ここ。
なんて、安っぽいAVでも滅多に聞かないような言葉で恥ずかしさを煽れば、まんまと涼ちゃんは感じてくれる。
「っわが、た、っあ、あ、ぁわ、かった…っ、からっ、やめ、やめて…っ」
ぐちゅぐちゅとわざと音を立てて、指でしこりを潰しながら奥まで埋めて途中まで抜き、また奥まで、と激しく抽挿する。
幸か不幸か、さっき涼ちゃんが必要以上の量のローションをもってここに触れていたから、卑猥な音がいやに大きい。
もうとっくに両の手首は解放してあるのに、涼ちゃんは抵抗するどころか、俺の太腿に爪を立ててしがみ付いてくる。
全然、やめて、じゃないじゃん。こうやって抱かれるの好きでしょ?気持ち良いんでしょ?
俺だって、そうだよ。涼ちゃんがそんなふうに右も左も、何を言ってるのかもわからなくなるような状態になるまでぐちゃぐちゃになってくれたら、すごく気持ち良いよ。
何度か指先で届く限界の奥を突いて、ずるりと引き抜く。
一息つく間もなく硬い熱を宛がうと、懸命に息を整えようとしていた涼ちゃんが、
「待って、…っあ、」
不安と期待とが入り混じった表情で、首を振る。
思わず苦笑が漏れた。
上に乗るから、僕がするから、気持ち良くしたい。さっき、そういってたのは誰だっけ?
縛って、動けなくなった俺の張りつめた熱を銜えて、喉輪で締め上げて、吐精したものを飲むって。それだけのことをしたのに、今更、待って、はないでしょ?
「待てないよ」
どれだけ焦らされたと思ってるの?
言って、返事を待たずに硬い熱を涼ちゃんの中に押し込んだ。
「いっ、あ、ぁっ、やっ、やっ!」
慣らし足りなかった自覚はある。受け入れる内部がまだ硬いけれど、覚えのある熱の温度に痙攣しているのを感じる。そこを抉じ開けるように、熱で押し拓いた。
短く弾んだ声を上げた涼ちゃんの、本能的に逃げだそうとする腰を掴んで引き寄せ、最奥を強く穿つ。
「ゃ、ぁ、っひろ…っ」
突かれるたびに漏れ出る声に、俺の名前が混じる。
それだけで、熱の硬度が上がって、わかりやすく俺の体が悦んでいる。
全く触れてもないのに、涼ちゃんの上を向いた熱が、先走ったものでどろどろになっているのを視界に捉え
「ね?涼ちゃん。涼架。気持ちいいね?」
上擦った声で囁きながら、何度も熱を叩きつけた。
俺の上がった呼吸音と、涼ちゃんの声。それと共に、ばちん、と激しく肌を叩かれるような音と、塗られたローションが撹拌されて押し出される濁った粘着質な音が何度も響く。
「やっ、ゃ、だめ…っだ、よ…ぉっ」
ひろとの、きもちい。
舌足らずになった声で紡がれる譫言は、どうしようもないくらいに劣情を煽るけど。
その裏側にあるだろう、僕ばっかり気持ち良くなって、という言葉が透けて見えて、本当に涼ちゃんは、バカだなあ、と思う。
涼ちゃんのあられもない痴態を見て、声を聞くだけで、気持ちいいんだよ。
俺が悦んでるって、わからない?肌どころか、粘膜で、内臓で、その熱を感じるでしょ?
感じられないなら、感じられるまで。もう、俺じゃないと駄目な体にして、脳みそに刻みつけるくらいまで、何度も熱を擦り込んで、想いを伝えて、抱き締めるから。
でも今は、もうそういう言葉を口に出して伝える時間も惜しくて。
「やっ、あぁっ、あ、ぅう…ッ」
何度も奥を強く突かれて、まんまとぐしゃぐしゃにされて捩って跳ねる。
抑えられない、緩みきった唇から熱を孕んだ声が迸って、それはナカのしこりを押し潰す度に悲鳴のような嬌声に変化していく。
うぅーっと一際獣みたいに啼いて、胸を突き出すように背を浮かせた涼ちゃんが、大きくがくがくと震えて吐精した。
ぱたぱたと涼ちゃんの体と俺の腹まで飛んだ白濁に、唇が自然と笑みの形になったのがわかる。
息を詰めてその強い収縮をやり過ごし、ぎゅうぅっと締まって痙攣している内側に構わず、激しく抽挿を続けた。
「い!やだ、や、ぼくっ…まだ、いっ、いってる…っ」
なんでっ、と動きをとめない俺を見上げた眸が、戸惑いと甘い苦痛を湛えて、揺れている。
「ね、りょ、ちゃんっ」
狭い肉を拡げる熱も締められて痛いくらいで、抽挿の合間、声が弾んでしまう。
さっき涼ちゃんの喉に出したから、俺、まだ全然いかないよ?
イくまで、付き合って?
言えば、またぼろぼろと涙を零して
「あっ、ぅあっ、ひろ…っ、つ、よいっ」
情けなく喘ぎながら、頭を振った。
いやってことじゃないのは、わかってる。
かたい、いたい、つらい、くるしい、とかじゃなくて、達した直後に構わず何度も敏感になっている粘膜を擦って突かれて、つよい、って。
涼ちゃんの言葉って、本当に、絶妙に理性を崩す芯を突いてくる。
そんな涼ちゃんの言葉に、ナカを荒らす煽り耐性ゼロの熱が更に硬く張って、ギチギチ音がしそうなくらいぴたりと壁に沿わされた。
隙間ないそこを強引に擦り上げれば、一度達した涼ちゃんの熱が浅ましく正直にゆると頭を擡げて、互いに腹の間で揺れて震える。
それを確認して、涼ちゃんの腰を更に引き寄せてぐぐっと熱を奥にまで潜り込ませれば
「ァ、う、ふか…ぃっ、あ、ぁ、だめ…ッ!」
仰け反るのとは逆に、涼ちゃんは衝撃を逃すように体を丸めて肩を浮かして痴態を晒す。
全身がビクビクと震えて、腹筋が内腿が、腕が、痙攣している。
ほんとにだめって言われても、衝撃をものともしない筈の寝台がギシギシ文句を言っても、やめてあげられない。
俺の思いの丈を全身で受け止めてよ。
ねえ、涼ちゃん。なにか返さなきゃ、とか思わなくていいんだよ。
俺にされっぱなしで、自分もなにかしなきゃとか、思わなくてもいいんだよ。
とりあえず、今は身も世もないほど。体の境目が曖昧になるくらいに俺で感じて、俺を悦ばせて欲しい。
もうやめてって、ゆるしてっていっても聞き流して、誕生日プレゼントとか元貴が、とか微塵も考えられなくなるくらいに、俺の事しか分からなくなるくらいに徹底的に抱き潰すから。
あとで改めて、言わせてよ。
誕生日とか関係なく。
今日だけじゃなくて、この先の未来も。
涼ちゃんのすべてを、俺に、ちょうだい。
おわろ
しりすぼみしました。
最後の三行だけで、いい話っぽくきれいに終わらせようと頑張ったけど無理があった。
コメント
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ドキドキギュンギュンしながら最後まで読んでたら、唐突な「おわろ」に腹筋持ってかれたんですけど!!🤣 アカイロユウギの妖艶な縛られ姫様とは違って、終始嫌そうなアオイロユウギの若様も面白かったけど、解放されてからのお野獣な若様も堪らなくカッコよい…💙 そして、姫様のおフ⚪︎ラが、プロすぎて?読んでるこっちが苦しい!!と思ってしまった😇そんな奥まで入れたら貴方…吐いてしまわれますわよ…もうえち過ぎて