鬼滅の刃、キメツ学園二次創作まだ設定迷子
キメツ学園に無い設定有り
多分n番煎じ
それでも良い方はそのままスクロール〜
*
外で雀が鳴く。
「おはよう、善逸! もう起きる時間だぞ」
「んあ、もうかよ〜、おはよう炭治郎」
真夜中まで起きるにも関わらず、朝は六時には起きておかないといけない。
「今日は表向きで朝会があるからな! 多分昨日の珠世さんと愈史郎君についてだと思う」
炭治郎はすでに制服に着替えていた。半袖の白いシャツに黄緑のネクタイ、黄土色のズボン。髪はシャワーを浴びていたのだろうか、少し濡れている。善逸も寝ぼけ目を擦りながら制服に着替える。
「昨日の女性、意識取り戻したのかな」
「え?」
ポツリと呟く。その時、そばに炭治郎はいなかった為炭治郎は聞き返す。
「昨日、自我無き鬼を倒したのよね。そんで多分その人と仲良かった女性が恐怖の余り気絶しちゃってさ。取り敢えず保健室に運んだけど、あれから意識どうなのかなーって」
「あー、それだったらしのぶさんか、もしくは表向き保健室の先生の珠世さんが知ってると思うぞ。後で聞きに行こう!」
炭治郎は伊之助や他の皆も起こす。伊之助は起きるなり叫ぶ。
「しゃー! 今日も表も裏も頑張ってやるぜ!」
「元気がいいねえ」
炭治郎は朗らかに言う。
「ほら、伊之助も制服に着替えて、食堂行くぞ」
伊之助は半袖の制服を前ボタン止めずに着る。それに炭治郎と善逸は苦笑しながらもいつもの事なので何も言わない。そして高等部食堂へ行く。今日のメニューは味噌汁、ご飯、だし巻き卵、焼き魚と和食だった。それに三人は舌鼓を打つ。
「そういや炭治郎ってこの夏休み、家へ帰るのか?」
「うん、そのつもりだよ。善逸と伊之助も遊びに来るか」
「いいのか?」
伊之助はガツガツとおかずを食べながら聞く。
「いいぞ。手作りパンを振る舞ってあげるからな」
竈門家はパン屋なので彼もパンを作ることができる。初等部の頃は家に帰ることができたのでいつもパンを作っていたが、中等部に入ってからは長期休みしか、家に帰れていない。だから家に帰りたいと思っていたのだ。
「じゃあお言葉に甘えて遊びに行っちゃおっかな。禰󠄀豆子ちゃんにも会いたいし」
禰󠄀豆子というのは炭治郎の妹だ。実は善逸は禰󠄀豆子の事が好きなのだと炭治郎と伊之助は分かっている。
「ごちそうさま、よし、グラウンドへ行くぞ」
「えー、外で朝会やるのかよー」
グラウンドは既に中等部から高等部までの生徒がいた。
「うわ、人多っ」
鼻が人よりも利く炭治郎はあまりの人の多さに人酔いしてしまったようだ。それを善逸は察し、なるべく人の少ないところへ行く。
「ごめん、善逸」
「いいよいいよしゃーないって。ほら、気分は少し落ち着いたろ?」
「ありがとう」
持つべきものは友人だと改めて思う。列も整ってきて、炭治郎達もそれに加わる。
そしてチャイムが鳴ると、ざわめきは治り、シーンとなる。そして朝礼台の横にはしのぶがいた。
「これから全校朝会を始めます。起立、姿勢、礼」
訓練もあってか、全員綺麗に礼が揃う。そして着座と言われ、皆座る。
「理事長先生のお話です」
朝礼台を登っていく者が一人いた。それはキメツ学園と鬼滅隊を創設した本人で表向きキメツ学園理事長、裏向き鬼滅隊司令塔の産屋敷耀哉だった。しのぶから渡されたマイクを口に近づけ、話し始める。
「おはよう皆。今日は新しい先生と生徒一人を紹介するよ。彼女らは鬼だから今この場にはいないけど、彼女らは自我ある鬼だから仲良くしてあげてね。保健室の先生の珠世先生と中等部二年銀杏組の愈史郎君だよ。珠世先生は裏向きは毒薬研究に協力してくれる、愈史郎君は隠を担うから隠部隊も仲良くしてね。
もう1つは、最近、鬼の勢力が強まっている。怪我には十分気を付けて、鬼狩りをしようね。 私の話はこれで終わりなんだ。その為だけにこの暑い中態々集まってくれてありがとう。解散だよ」
理事長はカリスマ性があり、聞く人を安心させる声色で話す。なので教師陣は彼を慕っている。マイクをしのぶに返し、朝礼台から降りる。
「ではこれで解散です。各自一限目の準備をして下さい」
やっと終わったと言わんばかりにまたざわつき出す。そしてそれぞれ中等部、高等部へと帰っていく。
「一限目って何だっけ」
「確か体育だったよ。だから体操着に着替えなきゃ」
体育担当は冨岡義勇だ。口下手すぎて手本を見せてから「やってみろ」というので皆見様見真似でコツなど一切分からないままクリアしていく。ただ最近は鬼滅隊に関する運動や銃の練習をしているので自主練のようなものだ。
「今日は銃の練習をする。表向き学園とはいえ此処は軍隊だ。更に鬼を狩れるようにしっかりやるぞ」
二人一組で銃を的に当てるらしい。一人は銃を撃ち、もう一人は記録をする。
「炭治郎〜、一緒にやろー」
「いいぞ」
炭治郎は善逸と組む。伊之助はかぼす組の鶏冠の髪型が特徴の玄弥と組んだらしい。まずは準備体操として前屈をする。これは皆悲鳴上げずに行う事ができた。次は開脚だ。百八十度を目指せと言われたので、相手に押してもらう。
「いい? 押すよ」
グッと力を込める。途端善逸は悲鳴を上げる。
「いでででで‼︎百八十度はきつい、死ぬ!」
「大丈夫か?」
痛そうに腿を押さえる。次は炭治郎の番だった。
「じゃあ押すよ」
同じように力を込める。悲鳴こそ上げないが痛みに顔を歪める。
「え、まじかよ、痛くないの?」
「え? あ、ちょっと痛いかも」
伊之助と玄弥のペアでは伊之助は野生児もあってか体が柔らかかった。
「こんなこともできるんだぜ」
すると両足の間から頭を覗かせる、一般の人にはできない技を披露する。すると玄弥はうわーと半目で見る。
「骨痛めるからやめた方がいいぞ。馬鹿なのか?」
「誰がバカだゴラ」
そのまま殴り合いが始まる。そして炭治郎が止めに入る。
「こらこら、二人共! 今は体育の授業中なんだから喧嘩なんてしちゃだめだ!」
「竈門の言う通りだ。喧嘩する暇があるなら訓練を怠るな」
竹刀を肩に構えながら冨岡は言う。途端、伊之助と玄弥は大人しくなる。
「次は的に銃を当てるぞ。撃つ人は俺のところまで来い」
じゃんけんをして、最初に撃つのは炭治郎と玄弥、その他の生徒だった。
冨岡のホイッスルが鳴り、一斉に皆的に銃を向ける。そして自分のタイミングで銃を撃つ。十発ほど撃ち、ペアに結果を教えてもらう。
「炭治郎は結構高得点狙えていたぞ。九点とか八点」
「あぁー、もう少しだな」
伊之助と玄弥のペアでは、
「オメェやるじゃねぇかよ。十発中全部十点だぞ」
「まぁ、射撃部入ってたもんだから」
次はさっきとチェンジでやる。同じように善逸達も十発撃つ。
「善逸は惜しいな。七点とか六点」
「チェッ悔しいな」
善逸は口を尖らせながら言う。伊之助も同じような結果だった。
「人によって銃の打ち方は変わってくる。普通の姿勢で撃つのが楽な人も居れば、胡座で撃つ方がやりやすいという人もいる。次の体育ではそれらをやっていく。以上、解散」
制服に着替え直し、二限目を行う。二限は数学だった。
「数学はじめるぞォ。教科書八十ページとノート開け。今日は夏休み前で中学三年の復習をするぞ」
数学担当は襟全開にし、傷だらけな顔と白い髪が特徴の子供が見たら泣く顔をした男性…不死川実弥だった。かぼす組にいる不死川玄弥とは兄弟らしい。
ノートに黒板に書かれた問題を書き写す。
3(2x-3y)-4(x+y)=6x-9y-4x-4y=2x-13y
数学は苦手科目だが、中三の復習なのでまだ簡単だった。
「よしできたかァ? 出来た奴は挙手しろォ」
炭治郎は手を挙げる。他の人も上げた。
「じゃあ竈門ォ、答えてみろ」
「えーと2x-13yだと思います」
「正解だァ。分からん奴は後で聞きに来いよォ」
と言いながら善逸と伊之助に視線を合わせる。大凡予想はついているのだ。善逸はしれーッと目を逸らす。二限終了のチャイムが鳴る。三限は美術だった。
「よしお前ら。今日の美術は彫刻をやるぞ。彫刻刀は此処の物貸すから安心しろ。今日の課題は消ゴムハンコだ。だから自分の名前の頭文字を彫るんだぞ。朱文にするか白文にするかは任せる」
そう説明した美術担当はパーカーに風船ガム、左目に派手なメイクと教師として疑わしい格好をしている男性…宇髄天元だった。
炭治郎は「た」に緑色をメインに使おうと思っていた。善逸は「ぜ」に黄色をメインに使う。
なので白文でいく。
「ふぅ、白文は結構彫るの大変だなぁ」
「それなー。俺はもう出来たよ。後ははっきりした色を塗ろうと思ってる」
そう言って善逸の消ゴムハンコを見せてもらった。綺麗な「ぜ」が彫られていた。
「よーし、今日の美術は此処までだ。次も美術室に来いよ。解散!」
三限終了のチャイムが鳴り、四限が始まる。四限は国語で習字だった。
「はあーい! 今日は毛筆で行書を書いていくよー!「継続は力なり」を書いてねー。準備できた人から始め!」
国語担当はピンク色と鶯色をした特殊な髪色を三つ編みに結んだ女性…甘露寺蜜璃が担っている。
お手本を配られたが、行書なので少し形が崩れていて書くのは難しそうだなと思った。
「うーん、此処は跳ねて…此処は止める? 楷書とは違って書きづらいなぁ」
「たぁんじろう〜、手が真っ黒になったんだけど⁉︎」
善逸の両手はどうやったらそうなるの? となるくらい真っ黒になっていた。
「わ…凄いね…」
「今若干引いた?」
十枚くらい書き続けたところでチャイムが鳴った。
「あらぁ、もう終わりなの? じゃあ今日は此処までね。次は清書だから、道具は各寮の洗面所等で洗っておいてね。解散!」
四限も終わり、やっと昼休みが始まる。
「善逸! 今日も屋上行くか?」
「そだねー。食堂は人が多いから。伊之助誘って先行っとくよ」
「OK、パン買って行くから」
そして善逸と分かれ、食堂へ行く。食堂には三人の女性が居た。
「あ、炭治郎君! 今日も屋上でパン食べるの?」
「偶には食堂でも食べて行ってくださいよー!」
「コラ須磨ぁ! 炭治郎には都合も有るんだから分かってやりなよ!」
食堂を担当しているのは宇髄の嫁達である雛鶴、須磨、まきをで、彼女らの作る食事は絶品である。
「あはは、朝は食堂で食べてるんでお構いなく〜。あ、雛鶴さん、クリームパンとベーコンマヨトーストと、メロンパンとチーズパン下さい」
「はい、いつものね。代金は四百円よ」
代金を払い、屋上へ向かう。そして屋上には善逸と伊之助が居た。
「お待たせ。はい、伊之助はベーコンマヨトーストで、善逸はクリームパンね。足りなかったらメロンパンあるから」
「ありがとー炭治郎」
「ありがとな」
それぞれパンを渡し、自分はチーズパンを食べる。
「あ、此処に居ましたか。炭治郎君、理事長先生から話があるので少し良いですか?」
屋上に繋がるドアを開けてきたのは三年蓬組の胡蝶しのぶだった。
「あ、しのぶ先輩、理事長先生から話って何だろう。ちょっと善逸、伊之助、行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
高等部からも中等部からも行けるようどちらの本校舎からも少し離れたところにある理事長室。しのぶがコンコンとドアをノックすると、中から「どうぞ、入って」と声が聞こえた。
「失礼します」
「しっ失礼します!」
理事長室には入った事がないので心臓バクバクだった。理事長室は豪華だった。書斎が並んでいて、書斎机の前には道としてレッドカーペットが敷かれていた。そして灯りはシャンデリアと炭治郎は声を失ってしまった。まあ鬼滅隊とキメツ学園を創るほどのお金があるのだから納得はいく。
「やぁ、こうやって話すのは初めましてだね。知ってると思うけど私は表向き理事長、裏向き司令塔を担っている産屋敷耀哉と言う。君は竈門炭治郎君で間違い無いね?」
「は、はい」
炭治郎があまりに緊張しているので理事長は「ふふっ」と笑う。
「そんなに固くならなくて大丈夫。お昼ご飯中に呼んですまないね。これから裏向きの話をするんだけど、君は鬼滅暗殺部隊・班長を担っているだろう? 君は仕事が素晴らしいから上の位につけようと思ったんだけど、君はどうかな?」
「上の位?」
「そう、班長よりも偉い“柱”という地位に就くんだ。勿論、柱になっても班長にはなれる」
炭治郎は考える。自分は班長だが、一年で柱になるのは馴れ馴れしいような気もした。でもなれるなら柱になりたい。
「俺みたいな一年が柱になっても良いのですか?」
「勿論だよ。そうしてくれると更に君の班の士気が上がりそうなんだ」
「分かりました。俺で良ければ柱になります」
理事長はニコッと微笑む。
「分かったよ。じゃあ君を鬼滅暗殺部隊・柱・竈門班班長に認める」
「はい!」
炭治郎は敬礼をする。
帰りもまたしのぶに案内してもらう。そして生徒玄関で別れ、炭治郎はまた屋上へ向かう。
「あ、お帰り、理事長先生からの話って何だったの?」
「今の位から柱という位に昇級しないか? って話だった。それでね、俺、柱になっちゃった」
「まじで⁉︎やっぱりそれだけ炭治郎が優秀なんだよ」
そういうものかと炭治郎は考える。チャイムが鳴り、五限始まり五分前と鴉に告げられた。五限は化学だった。
「化学を始める」
化学担当は常にマスクを付けており、金色と深緑のオッドアイにアルビノの蛇を首に巻いているのが特徴の伊黒小芭内だ。
「では問題だ。他の物質が混じっていない単一の物質を何というか。また、その物質の例を一つ挙げろ。我妻、答えてみろ」
「え、俺すか。えーと、純物質ですか。でその例はエタノールです」
「チッ、正解だ」
伊黒先生は舌打ちをしながら言う。
「他にも、酸素、窒素、水、塩化ナトリウム、塩化水素がある。じゃあ次は純物質の反対を答えてみろ。嘴平」
「知らん!」
伊之助がそう言うと次の瞬間、伊之助は壁に磔にされ、ペットボトルロケットを喰らわされた。
「次そんな抜かしたことを言ったら殺すぞ? ちゃんと勉強しとけ。じゃあ竈門、答えてみろ」
その金色と深緑のオッドアイで伊之助を睨む。伊之助はたじろぐ。そして伊黒は睨みながら炭治郎にその目を向ける。
「えっと…混合物で、例は海水です」
「フン、正解だ」
鼻を鳴らしながら言う。
「混合物は他にも空気、塩酸、塩化ナトリウム水溶液、岩石などがある。これは期末で出るから例え鬼滅隊で忙しかろうが勉強しとけ。解散」
チャイムが鳴り、五限が終了した。六限は生物だった。
「はーい、今日は生物の特徴をやるわよ」
生物担当は長いストレート髪に蝶の髪飾りを二つ付いているのが特徴のカナエ先生だ。生徒会長のしのぶとは姉妹らしい。
「じゃあ今から問題を二問出すからノートに書いてね。時間は五分よ」
(一)生物の分類の基本的な単位、種
(二)世代を重ねて受け継がれていく過程で変化していく事、進化
順調に問題を解いていく。そして五分が終了した。
「はい、じゃあ答え合わせをするわよ。(一)生物の分類の基本的な単位、これは種よ。(二)世代を重ねて受け継がれていく過程で変化していく事、これは進化よ。これは生物の超基本問題だからね。これは期末で出すかもしれないから勉強しとくのよ」
チャイムが鳴り、六限が終了した。そして各自掃除場所へ行く。炭治郎、善逸、伊之助は筍組の寮だった。
布団チェックをし、床を掃いて、拭く。そしてシャワールームもピカピカにする。
「炭治郎はさ、何でそんなに綺麗にできるの?」
「え?」
善逸が半目になりながら聞く。
「うーん、楽しい…からかな」
「まじかよ、真面目だなー」
逆にどうやったらそんなに綺麗好きになれるんだよと思いながら善逸も伊之助も掃除の手を動かす。すると鴉が掃除終わりの合図を知らせにくる。
「掃除終ワリ! 裏ノ仕事ノ時間ニナルマデ、休息セヨ」
そして再び窓から飛んでいく。
「鴉って便利だよなー」
片言だが、人語を喋れる鴉は報告書を運んでもらったり、時間を伝えに来てくれるので便利なのだ。それも一重に鬼滅隊という組織があるからこそだ。
「はぁー、もう直ぐ裏の仕事も始まるわー。隊服に着替えておこうかな」
「俺もそうしよう」
迷彩柄の隊服とブーツに着替える。そして少しスマホを弄る。メッセージアプリを開き、自分が柱になった事を報告しようと思ったのだ。
『母さん、禰󠄀豆子、俺、鬼滅暗殺部隊・柱になったんだよ!』
そう送信すると、暫くして既読が二個付く。
『お兄ちゃん、凄いね! これからもお互い頑張ろうね』
そう返信が来たのは妹の禰󠄀豆子からだった。そしてもう一つ返信が来る。
『おめでとう炭治郎。これからも頑張ってね。母さんや弟達は貴方達が帰ってくるのを楽しみにしているわよ』
その文を見ると、早く夏休みが来てほしいなと思う。
「何々、炭治郎〜、親に柱になった報告でもしたの〜?」
「そうだよ。禰󠄀豆子も母さんも嬉しそうだった」
善逸は半分揶揄ったつもりだったが炭治郎には全然効いていなかった。
すると寮の扉がノックされる。
「失礼します。わあ、お部屋とっても綺麗ですね。いい事です」
寮の様子を見たしのぶは褒める。
「あ、しのぶ先輩! どうされましたか?」
「炭治郎君、本日二回目で申し訳ないのですが、柱集会を行うのでついてきてもらっても良いですか?」
「勿論いいですよ! じゃあ善逸、伊之助、また鬼滅隊で会おうな」
「後でね、炭治郎」
柱達は体育館に集まる。生徒で柱なのは今の所しのぶと炭治郎のみだ。それ以外の柱は教師が担っている。
「来たね。皆、この子が新しい柱だよ」
理事長が紹介する。
「こっ、これからよろしくお願いします」
「そんな堅っ苦しくしなくていいぞ。もっと派手にはっちゃけろ」
そう言ったのは美術教師の宇髄だった。
「これからもお互い、頑張りましょうね。炭治郎君。生徒で柱だったのは今まで私だけだったので心強いです。鬼滅隊に関する宣言でもありますが、『学園と鬼滅隊を護るため、柱は団結し、あくまでも生徒を守る』、これは生徒が柱でいようと該当します」
「はい!」
炭治郎は元気よく返事する。理事長はそのやり取りに微笑む。
「じゃあ新しい柱の紹介も終わったし、そろそろ裏の仕事も始まるね。しのぶ、お願いするよ」
「分かりました」
―夜二十時―
「では今日も鬼狩りです。皆さんの健闘を祈ります」
いつものようにマイクを片手に言う。そしていつも通り、隊士達は東西南北へ走り出す。炭治郎も同じように走り出そうとするがすんでのところで冨岡に声を掛けられる。
「炭治郎、今日は学園の警備を任せても良いか。案外、学園の周りにも鬼は出る。頼んだぞ」
「分かりました、冨岡さん!」
炭治郎は敬礼し、西門へ向かう。其処には同じ担当だろう宇髄天元が居た。
「お? 今日は冨岡じゃなくて竈門か。二人で頑張ろうな」
「はい!」
すると炭治郎の鼻が鬼の匂いを捉える。
「宇髄さん、鬼です。近くにいます」
「そうか、銃を構えろ」
二人は施条銃を構える。すると自我無き鬼が三体飛び出してきた。炭治郎と宇髄はズバババと撃ち、鬼の頸を刎ねる。
「冨岡さんの言う通りです。意外と学園の周りにも鬼が出るんですね」
「そうなんだよ、鬼は昼間は出れないから襲撃とかもねえんだが、森が近い西門は鬼が出るんだよな」
キメツ学園は東西南北に門がある。その中でも西門は森が近いため、しょっちゅう鬼が出る。だからこうやって警備しているのだ。
「一応西門以外にも警備はつけているがな。東門は冨岡と不死川、北門は伊黒と甘露寺、南門は胡蝶姉と煉獄だ」
煉獄は表向き歴史教師だ。燃えるような髪色でその教育熱心な姿から男女問わず人気を誇っている。
「そういえばしのぶさんは何をやっているんですか? 俺、自我ある鬼を尋問してる姿しか見た事ないんですけど」
ふと気になった質問をする。しのぶが暗殺部隊に入っているイメージがない。
「ん? 何だ知らねえのか?あいつは鬼滅特殊部隊で薬学研究部に入ってんだよ。戦闘向きではない。最近入ってきた鬼の珠世つったか? アイツと共同で鬼を殺す毒を研究してるとか。でも情報が手に入らねえから、ああやって尋問するのが今は仕事っぽいけどな」
宇髄の説明に炭治郎はようやく納得がいく。
「鬼滅隊には暗殺部隊や隠部隊の他に特殊部隊もあるんですね」
「まあ軍隊みたいなもんだからな、色々分野はあるんだろ」
度々鬼を狩りながら時間を過ごしていく。するとトランシーバーが鳴る。
『もしもし、こちらは鬼滅暗殺部隊、不死川玄弥ですっ、緊急で隠部隊を連れて来てくれるとありがたいです、大怪我を負い、意識不明の男性を発見しました、直ちに隠部隊をお願いします!』
やや焦り気味なのが分かった。
「了解、直ぐに隠が向かう」
炭治郎はその内容に心配になってくる。鬼滅隊は政府非公認で、一般人に情報は流れてはいけないが、大怪我を負った際は保護することもある。
宇髄は隠部隊にトランシーバーを繋げる。
「もしもし、こちら鬼滅暗殺部隊柱の宇髄だ。不死川班が大怪我を負い意識不明の男性を見つけたとの報告あり、直ちに向かえ」
『っ! 了解しました、直ぐに向かいます!』
キビキビとした女性の声が聞こえた。
「たまにこう言うこともあるんだわな。まあ、自我無き鬼を狩るのが我々の義務だが、時には人を守るのも義務だからな」
教師でもあり、柱でもある人の言うことは勉強になる。
すると鴉が本日の部隊活動は終了と教えてくれた。
「皆さん、お疲れ様でした。少しアクシデントのあった班もあったようですが、鬼狩りに関しては問題なく狩れて良かったです。各自寮に戻って休んで下さい。解散」
炭治郎は一年塔筍組の寮へ入る。其処には丁度シャワーを浴び終えた善逸の姿があった。
「あっおかえり。伊之助はもう先に寝ちゃったよ」
「そうか、ごめんな、後で会うって約束したのに」
炭治郎が謝ると、善逸は「全然気にすんな」と言った。
「だってお前は柱だろ? 忙しくても仕方ないから、んなの誰も責めねーよ。ほら疲れたんならもう休みな」
「うん、じゃあおやすみ」
「おやすみ」
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