⚠注意⚠
・cpは🌟より水赤(💫🎨×❣️🌸)です。
・この小説はnmmnであり、ご本人様とは関係ありません。
・ネイリストパロ
水さん→ネイリスト / 赤さん→そのお客さん(大学生)
※歌い手やってない世界線
地雷でない方はお進みください!5行下から本編です。
「こんな感じなんやけど、どう?」
「可愛い!!やっぱれるさん天才!」
「やろ?」
じゃあライトに手入れてな、と言われてその指示通りにする。
ライトに手をかざして、硬化するのを待つ時間すら愛おしい。
ネイルのデザインが可愛いからっていうのももちろんある。だけど、それ以上に……。
ブレスレットやネックレスをじゃらじゃら付けた、目の前に座っている人をちらりと見る。
彼は、僕が初めてこのサロンに来たときからずっと指名させてもらっているネイリストのれるさん。
思わずつられてしまう快活な笑い方に、心地よい関西弁。
ネイリストとしての技術は言うまでもなく、トークスキルもある人だからなかなか予約がとりにくいんだけど、こちらの予定をずらしてでも頼みたい人だ。
僕は比較的珍しい男性客で、テンション感が近いというのもあって、彼とはすぐに打ち解けた。今ではタメ口で話す仲にもなった。
れると話していると時間が経つのが早く感じる。今日の施術もあっという間に終わって、かばんから財布を取り出し、お会計の準備をする。
「ちむ、財布変えた?」
「変えた!」
「やんな?可愛い、ちむっぽい」
「…!ありがと…」
財布とか前髪とか些細な変化でも気づいてくれるし、いっぱい可愛いって言ってくれるし。
親身になってちむに似合うネイルのデザインを考えてくれるし、僕の愚痴があるときはそれを聞いてくれる。
仕事だからって分かっていても、つい嬉しくなっちゃう。出会ってわりとすぐに、恋って気がついた。
最近はネイルしてもらうため、というよりもれるに会うために通っていたりする。
……お金払ってるし、それくらいは許されるよね?
れるのアクセサリーいっぱいの容姿も相まって、なんかホストに通ってるみたい。
…まぁホストと違ってアフターとかはないけど。
いつか一度でいいからお店の外でも会えたらなぁ、なんて思っちゃうのはわがままかな?
次のお客さんもいるはずなのに、ちむがお店を出るまで「じゃーね」って手を振ってくれるのを見て、また心が弾んだ。
れるに会うために通っているとは言っても、さすがに3週間くらいは空けないと怪しまれちゃうから、だいたいそのくらいの間隔で通っている。
だからそんなに頻繁に会えるわけでもなく、その一回一回がたまらなく楽しみで、 受け付けのソファにダイブするように座る。
ネイル以外も可愛いって思われたいから、今日も家を出る前に念入りに髪を梳かしてきた。
前のお客さんの対応がまだ終わってないらしく、それが終わるのを待つ。
無駄にそわそわして、手をパタパタさせてしまう。
そのとき、悲鳴に近い叫び声が聞こえてきた。
「えぇー!?れるさん辞めちゃうの〜?!」
…え?いま、なんて…?
悲鳴のあがった方に目を向けると、僕と同じくらいの年齢に見える女性2人が大きな声で話していた。
「まじまじ、前本人から聞いたから。このサロン辞めるって」
「えー、ショックなんだけど。れるくんに会いに来てるようなもんなのに〜」
聞きたくもないのにその会話を勝手に耳が拾い、僕を底のない地獄へと落とし込む。
…れるが辞める、やめる。
そんなの、考えたくない。
ネイルは、もちろん大好き。性別や年齢関係なしに、誰でも可愛くなれるから。
だけど、それ以上に。
「……っ」
3週間に一度会えるくらいじゃ全然足りない、この世でたった一人の特別な存在。
おそらく前のお客さんが終わって、れるがこっちに近づいてくる。
もし、僕のことを少しでも大切に思ってくれてるなら。
今日、れるの口から「辞める」って聞けるよね?
「ちむ、お待たせ」
いつもと何ら変わらない笑顔を向けてくれる。この笑顔も、もう見られなくなると思うと心が軋む。
そんな感情を悟られないように、僕も無理やり笑顔をつくった。
その日帰る時間になっても、本人から辞めるって告げられることはなかった。あのお客さんには、教えてあげてたみたいなのに。
結局、れるにとっての僕の存在ってその程度。
…よく考えてみたら、ばかみたい。ちょっと仲良くなったってだけで、所詮はただの店員と客なのに。
それにもし客の中から選ばれるとしても、その対象に自分はなり得ない。
サロン内を見渡せば、ネイルだけじゃなくて髪も服も仕草も可愛い人たちばかりだってすぐ分かるはずなのに。
「…ほんと僕って、ばか」
初めてれるに塗ってもらったこのネイルが、はやく剥がれてしまえばいいのに、なんて思った。
れるを知ってから、初めて他のネイルサロンに来た。
理由なんて単純。あの人のことを思い出さないために。
「お客様、初めてのご来店ですよね?会員カード作成いたしますか?」
「……お願いします」
カードを作ってもらいながら、自分の番が来るのを待つ。
ネイリストを指名しないのも久しぶりで、どんな人が来るのかと少し緊張してしまう。
数分してやって来たのは、メガネを掛けた聡明そうな女の人だった。
「お客様、爪お綺麗ですね。なにかご自分でもケアされてるんですか?」
席に通されてすぐに、爪のことを褒められた。それを聞いて、ずっと前のことを思い出してしまう。
「こえくん、手めっちゃ綺麗やね」
初めてあのサロンに行って、指名制度すら知らなかった当時。
偶然その時間にれるが空いてて、僕の施術をしてくれた。
僕が普段ケアしないって知ったれるさんは、「もっと綺麗にせえへん?」って言いながら手入れの方法を教えてくれた。
その日から、毎日のようにれるのことを考えながら保湿クリームを指先に塗り込んだ。
寝る前のルーティーンにしていたら、夢にもよく出てくるようになって。
そんなことがあったから、手入れのしかたなんて知ってる、けど……。
「……いえ、特に。よければ、ケアのやり方教えてください」
行動から変えれば、気持ちも塗り替えられると思った。
新しく通い始めたネイルサロンも、すっかり常連客になった。
帰り際、「ちょっとお時間いいですか」と引き止められた。
「どうされましたか?」
「実はですね、」
今日担当してくれたネイリストさんが、ポケットから自分のスマホを取り出し、僕にその画面を見せた。
「当店、インスタで広告出してるんですよ。
それでですね、こえさんにメンズネイルの広告に協力していただきたくて……」
画面に映る色とりどりのネイルを眺めていたら、ほぼ反射的に答えていた。
「あー、いいですよ」
「ほんとですか!?」
そんな会話をしたのが、つい数週間前。
「すご、ほんとに載ってる」
ネイルサロンに行く前に、デザインを決めようとインスタを眺めていた。そこで、自分が写っているのが目に入る。
…ネイリストとして働いてた頃のれるも、こうやって他のお客さんに頼んで写真撮ることとかあったのかなぁ…。
いや、なに考えてるんだろ。もう客の立場ですらないのに。
もっと手も綺麗にして、自分磨きしよう。それが自分のやるべきこと。
「って時間やば!」
慌ててカバンを引っ掴んで、家を飛び出した。
「こえさん、聞いてくださいよ」
「どうしたんですか?」
このネイリストさんには前にも担当してもらったことがあるけど、その時よりもかなり浮かれた様子だった。
「こえさんに協力していただいた広告を見て、メンズネイルしてみたいって問い合わせが何件か来たんですよ!」
「えー、それは僕もうれしいです!」
「…こえさんも取られなければいいんですけどね」
「…?どういうことですか?」
「最近、近くに新しいネイルサロンができたんですけどね。どうやらそっちにうちのお客さんも取られちゃってるみたいで」
そこのオーナーさんイケメンらしいんですよ〜、と嘆きながらも若干うっとりしている。
僕らのそばを通った別のネイリストさんが、話に加わってきた。
「ちょっと他のサロンの宣伝しないでくださいよ。こえさんが気になったらどうするんですか」
「えー、ダメでした?男性だったらイケメンって聞いても引き寄せられないかと…」
「男性だってイケメン好きですよ 」
ねぇ、こえさん?と呼びかける彼女に、「…そうですね」なんて曖昧な返事しかできなかった。
…世界中のどんな美形を集めても、れる以上にいいと思える人なんて見つけられないよ。
サロンを変えてもう1年近く経つのに、未だにそんな思考に囚われている自分に嫌気が差す。
同時に、こんなにもあの人が好きだったんだと想いの深さを痛感させられた。
「こえくんっていつもどこでネイルしてるの?」
大学の2講時が終わってすぐ、近くに座っていた女の子に話しかけられる。
「駅の東口出て、パン屋さんが向かいにあるとこ〜」
「えー あそこのスタッフにさぁ、昔ちょー最悪な接客された!絶対変えた方がいいよ」
「変えるならこっちにしな〜、最近できたんだけどさ、ここのオーナーめっちゃかっこよかった〜♡」
僕にスマホの画面を見せながら、バチバチにネイルをきめた爪で指さす。
…あ、ここ。たぶん、前に担当の人が喋ってたとこだ。
「ねぇ、今度ここ一緒に行かない?今新規の客連れてくと割引してもらえるんだよね〜」
ひらひらとクーポンを空中に舞わせて勧誘する。
まぁ1回くらい行ってみてもいいかな、と思って二つ返事で頷いた。
約束通り、その子と一緒に例のネイルサロンに来た。かなり新築に見えるその建物のドアを押し開いて中へと入る。
さすが新しいだけあって、ホコリひとつない。
「こえくんの担当、勝手に指名しといたけどいいよね?私今日は別の人にやってもらうから」
でもまじでかっこいいから絶対気に入るよ、なんてすごい勢いでまくし立てられて苦笑いしてしまう。
「私の名前で予約しといたから、私の名前呼ばれたらあっち行ってね」
そう言い残して、彼女は先に施術室へ向かった。
1人になって暇になり、ローテーブルに放置されている雑誌を手に取る。
「ん?」
パラパラめくってみると、なぜか以前撮った僕のメンズネイルの広告があった。
こんなに特徴的に曲がっている指、間違えるわけがない。
…なんで別のネイルサロンの宣伝が載った雑誌なんて置いてるんだ?
考えるのもめんどくさくなって別のページを流し見しているうちに呼び出されて、雑誌を元の位置に戻して立ち上がった。
案内してくれたスタッフさんがもう少しで担当が来ます、と言って部屋を出ていく。
知らないネイリストさんを待つの、やっぱり緊張するなぁ…。 あの子も嫌な接客された、とか言ってたし。
そんな不安を抱えたまま、部屋の扉が開く。
「…ちむ!?」
「…っえ、」
入ってきた人物を視認した瞬間、息が止まる。
その人物には、確かに見覚えがあった。
分かりやすく心臓が音を立て始め、懐かしい感情が脳裏をよぎる。
瞳が吸い込まれて、目が離せなくなる。
話してると楽しいのに、どこか切なくて、苦しい。
ちょっと優しくされただけで舞い上がって、会える日の前日はドキドキして眠れなくて。
急に押し寄せるいろんな感情に、言葉がつっかえる。
「…ほんまに、ちむ?」
「れる…、うん」
なんでれるがここにいるのかなんて、今はどうだっていい。
再び会えた幸せと、…僕のことをまだ覚えてくれているという、喜び。
「僕のこと…覚えてるの?」
「お前…、”覚えてる”って…、」
「ぅ…、」
急に冷たい視線で睨まれて、たじろいでしまう。
笑った顔しか見たことがなかったから、その表情ひとつで萎縮する。
「ごめん、怖がらせたい訳やなくて…」
「うん…」
「…覚えてるどころか、急に来なくなったからずっと心配してた」
「…ごめん」
謝らんくていいから、と穏やかな声とともに頭を撫でられる。
この手の感触も、すごく好き。
「…心配なんて、優しいね」
どこにでもいるような客を。大学生だから、大して高額なネイルも注文できないのに。
「ちゃう、そんなんやない…」
優しいって褒めたはずなのに目を伏せて、少し泣きそうなれる。
どうすればいいか分かんなくて行き場を失う僕の手が、そっと取られる。
「好きだよ」
「…っ!?」
好き、…?その言葉を飲み込もうとして、飲み干せない。
そんな、繊細な声と表情から生まれる『好き』。
僕の”好き”と同じだと思ってもいいの…?
信じきれなくて、かまをかけてみる。
「…前のサロン、やめるって教えてくれなかったくせに」
「ちゃんと言おうとしとったよ、でもその前にちむが来なくなっちゃったんやん!」
僕につられてか、れるも拗ねるような口調で返してきた。
ちむも、さらにそれに乗っかる。
「他の人には先に言ってたじゃん…!」
「アクセサリーとか勝手に真似してくる迷惑客おったからそいつにはわざと言ったけど、他には言っとらん」
「そーなんだ…ごめん」
「んーん、それより…戻ってきてくれて嬉しい」
…僕も、あなたのところに戻ってこられて幸せだよ。
でも、それより先に言わなきゃいけないことがある。
れるも伝えてくれた、たった2文字の気持ち。
「好きって言ってくれなきゃ今日ネイルせん、って言ったらどうする?」
「…ひっど」
「冗談やん」
そうやって笑う声も含めての僕の気持ちを、言葉に乗せる。
「…言われなくても好きだよ」
「…っ、冗談やなくて?」
「ちむは冗談とか言わないから!」
「じゃあ、これ…オフするな?」
「…っ、」
久しぶりに手を触れられて、しかも『好き』だなんて聞いたあと。
触れられたところが熱を帯びて、溶けちゃいそう。
「そういや、広告でメンズネイルしとったけど…ああいう方が好き?」
「そんなことない、…ってかあれ僕だって分かってたんだ」
「結構前から分かってたからあそこのサロン乗り込もうとしたら、なぜかれる出禁になっててさ」
「っあはは!」
何もしてないはずなのにただ同業者だからって理由で出禁をくらっているれるさんに思わず笑ってしまった。
こうやって談笑しながら施術を受けるのも、なんだか懐かしい。
前回まで行ってたサロンの人たちも良い人だったけど、それでもやっぱり。
れると過ごすこの時間に勝てるものは、何一つとしてなくて。
慣れた手つきで、元のネイルを除去していく。
その動作は何度も経験してるはずだけど、少し違って感じるのはきっと気のせいじゃない。
「ん、その触り方やめてよ…!」
「えぇ?何のことや?」
不敵に笑って、さらにねちっこく触ってくる。
…いや、絶対にわざとやってる…!
マッサージされてるみたいで、ちょっと気持ちいいけど。
「ぁ、なんかきもちぃ…」
「……」
「なに、何で急に黙るの」
「いや、…会ってなかった間に、もっと……なったなって」
「え?何になったって?」
「…なんでもない」
なんだよ、何でもはっきり言うれるさんらしくない。
だけどこれ以上聞くのも悪いと思って、大人しく縮こまる。
今日は、どんなネイルしてくれるのかな。
「できた」
その声が耳に入って、視線を自分の爪に移す。
「やば、……まじでかわいい」
「まぁ、ネイルされてる人が可愛いからやな」
「も〜……」
そのネイルを硬化させながら、さらっとそういうことを言うれる。
さっきの誤魔化してたくだりは何だったんだ。
「これからは、ずっとれるにネイルさせてな」
「…!うん!」
プロポーズみたいで少し恥ずかしくて、でもそれ以上に幸福感でいっぱいになる。
ネイルだって、言われなくてもれるにしてもらいに行くよ。
こんなに理想通りに仕上げてくれるのも、一緒にいて楽しいのもれるだけだから。
「今日、ありがとね」
全部の行程が終わって帰ろうと立ち上がった僕に、れるは首を傾げる。
「…もう帰るん?」
「え?」
「せっかく付き合ったんやからさ、…家来ーへん?」
「…っ、いきたいです……」
一度でいいから仕事以外で会ってみたいなんて思ってた昔の自分が、将来、家にまで行けるなんて知ったらどう思うんだろう。
完成したてのネイルが施された自分の指を、れるの指先に繋ぐ。
握り返された手から、もうこの恋が一方的なものじゃないんだって実感する。
もう、自分から大好きな人を手放すなんてことしない。
ネイルだけじゃなくて、もっといろんなことをしてほしいし、一緒にしたいから!
コメント
6件
めちゃ好きです😭 💫さんイケメン男子すぎますねこれ!性格面もですよ!❣️さんが惚れるわけだ、、やっぱり❣️さんは💫さんのネイルが好きなんだなって思いました!💫さんは❣️さんが来なくなって寂しかったからその分もう一度会えたことを理由に好きって言ったのかな?、、主さんのノベル見てると妄想が止まらないですね😊 更新ありがとうございます!次も楽しみにしてます!
待ってよすぎる…😭…( なんか❣️🌸くんが💫🎨さんにまた出会えてこっちまで嬉しくなっちゃた~🫶🏻︎💕︎︎ これから家でどんなことをするのでしょう︎︎👍( また妄想が広がっちまう( こ~しんほんとありがとぉぉっ!🫶🏻︎💕︎︎
最高👍(*`ω´)b(*`ω´)b