.
「 お願い。僕の為だと思ってさ。 」
『 思わない 』
「 死なせて? 」
『 死なせない 』
「 ぇー…じゃあさ、 」
『 死にたい以外にしろ 』
「 僕の事、死ぬ程愛して。 」
『 …それなら、いい 』
「 流石海晴、じゃあこれから宜しくね 」
16歳の誕生日、君はそう言った。
そして17歳の誕生日、君は居なくなった。
♭
死 ぬ 程 愛 す か ら 、 ど う か 神 様 。
も う 一 度 、 雨 嶺 と ──
@
死 ぬ 程 愛 し て 欲 し い か ら 。
ど う か 神 様 、 海 晴 と ──
♭
死 ぬ 程 、 君 を 探 し 続 け た か ら 。
@
死 ぬ 程 、 君 か ら 逃 げ 続 け た か ら 。
♭
死 ぬ 程 、
@
死 ぬ 程 、
♭ @
君 を 見 た 時 胸 が 痛 か っ た か ら 。
多 分 こ れ は 、 愛 で 藍 で 哀 。
♭
数 あ る 選 択 の 中 で の 、
” 自 殺 “ と ” 他 殺 “ と 言 う 選 択 。
@
見 え る 範 囲 の 限 ら れ た 世 界 で の 、
” 居 場 所 “ を 探 し 求 め て 。
♭
君 は 又 、 俺 を 求 め る 。
@
僕 は 又 、 君 を 求 め て し ま う 。
@
「 君 が 殺 し て く れ る ま で 。 」
そう決めた有効期限。
♭
『 一 生 殺 さ ね ぇ か ら 関 係 ね ぇ よ 』
そう廃止した有効期限。
君は、僕の事どのくらい好き?
愛を知らないからこそ、愛を知りたい。
愛とは、なんですか?
叩かれる事じゃ、ないんですか?
馬鹿な僕が、理解出来るくらいに
愛してくれたら。
馬鹿な俺が、もう無理なくらいに
お前を愛せたら。
やっと、有効期限切れ ────────
そんな、 Good で Bad な人生ゲーム。
『 雨嶺、愛してる 』
「 あは、それじゃ足んない 」
貴方は、見る覚悟が有りますか ──── ¿?
Y e s ◀
N o
? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿ ? ¿
Y e s ◀
Y e s
で は 、 こ ち ら へ 。
海 晴 と 雨 嶺 の 愛 の 束 縛 ゲ ー ム 。
♭ s i d e
「 海晴、おまたせ 」
『 おそ、遅刻するぞ 』
玄関から、靴を履きかけて出てくる雨嶺。
『 ほら、ちゃんと履けって 』
「 んーん、紐解けちゃった、 」
小さな子供の様に、しゃがみ込んでは靴紐を結び始める。
「 あれ、? 」
全く結べる気配の無い雨嶺の前へと座り込んで、代わりに結ぶ。
『 ほら、行くぞ 』
「 んふ、ありがとう 」
嬉しそうに微笑む雨嶺は、本当に子供みたいだ。
…雨嶺は、昔から ” 訳あり家族 “ だった。
小学生の頃は毎日長袖を着て、プールは見学。
中学生の頃は毎日新しい痣を作って来て。
高校にあがってからは何故か一人暮らしを始めて。
なんとなく見当はついていた。
多分、 ” 虐待 “ されているんだろう。と。
その年の誕生日だった。
” 死ぬ程愛して “ 、と言ってきたのは。
” 愛される事 “ を知らずに育った雨嶺には、ドラマの様な日常に溢れる愛に ” 気付く事 “ が出来なくて。
多分、もうきっと埋まらないであろう心の穴を、
少しでも埋められたらと思った。
「 あーあ、今日数学かぁ… 」
『 Aクラスだっけ? 』
「 ん、移動しなきゃ… 」
こく、と頷く雨嶺は、何時もより下を向いていた。
『 …なんかあった? 』
「 ん、なにが? 」
『 否、何時もより下向いてるから 』
「 へへ、海晴には何でもお見通しだね 」
『 学校着くまで聞いてやるよ 』
学校までは約50分。
駅まで10分歩いて、電車に20分揺られ、学校までまた10分歩く。
雨嶺が、道中に何か見つけては立ち止まるから大変だ。
それでも、昔は気が付けなかった事に気が付けているから進展だと思う。
「 ─ でね、お気に入りのコップ割っちゃって… 」
『 今度新しいの買いに行くか 』
「 !!行くっ! 」
家から1歩も出して貰えなかった雨嶺にとっては、買い物さえも特別な物らしい。
『 ぁ、遅延してる 』
駅の電光板を見てそう呟く。
「 人身事故? 」
『 らしいな。3つ前の駅だってさ 』
「 ふーん…大変だね 」
『 今日は遅刻しそうだから後で遅延証な 』
「 ん 」
『 ほら、あそこ座るぞ 』
丁度2つ空いていた席に、腰を下ろす。
「 ふぁ、ぁ…… 」
『 寝てねぇのか? 』
「 んー…不眠症っぽくて…… 」
んん、と身体を伸ばす。
白くて、細くて、華奢な身体。
適度に焼けて、筋肉質な俺の身体とは正反対だ。
『 まだ時間掛かるだろうし寝とけよ 』
「 ん、多分直ぐ起きる…… 」
目を閉じると、長い睫毛が重なり合う。
黒の細い髪が柔らかく揺れる。
1枚、カメラに収める。
10分後、雨嶺が目を開ける。
「 ……ん、 」
『 ぉ、おはよ 』
「 んー…おはよー…… 」
『 そんなんで倒れるなよ 』
「 大丈夫、大丈夫… 」
〈 間も無く3番線に、○○方面行き ─── 〉
『 ぁ、来た 』
「 今日は座れるかな 」
『 ほら、座りたかったら早く行くぞ 』
「 はーい 」
白の肩掛け鞄を持つ雨嶺と、黒の肩掛け鞄を持つ俺。
雨嶺の鞄は買ったばかりらしく、綺麗なままだ。
俺の鞄は中学の頃から部活で使っていたから、かなり傷が付いている。
『 新しい鞄買わねーとな 』
「 僕が選んだげる 」
にひ、と笑う雨嶺は綺麗だ。
『 明日にでも行くか 』
俺と雨嶺は一人暮らしで、同じアパートの隣の部屋に住んでいる。
でもどちらかの部屋に居る事の方が多い。
「 お金あるの? 」
『 ばっちり。来月のお金も貰ってるし 』
雨嶺の生活費は、おじさんが出しているらしい。
唯一の親族、と一人暮らし当初は嬉しそうにしていた。
「 海晴、ありがとう 」
『 何が? 』
「 んー…付き合ってくれて、? 」
『 いいよ、俺も好きだし 』
この日常が、何時までも続きます様に。
雨 嶺 、 愛 し て る 。
海 晴 、 ご め ん 足 り な い や
も っ と 、 も ー っ と 頂 戴 ?
… 勿 論
今 回 .. P r o l o g
次 回 .. 壊 れ る 程 の 愛 を 。
コメント
2件
雰囲気大好きです❕❕