私はボーゼンと陛下が出ていった扉を見ていた。
どう考えても私が悪い…よね?
陛下は精一杯の気持ちで私に告白してくださったのに…
でも、でもよ?
本当に自分の気持ちが分からない…
私…陛下の事好きなの…?
陛下は他の姫君の元に行くと言ってあった。
それは…嫌だった…
でも、強がって…
上手く言葉にならなかった…
今なら…まだ、間に合うかも…?
私は扉を開けて陛下を追いかけていた!
しかし、陛下はもうすでに姫君の部屋に入っていらっしゃるかもしれない。
そうは思ったが、いてもたってもいられなかった。
トパーズの後宮を走り回っていると…
裏庭に陛下は切り株の上に座っていた。
え…?
他の姫の元に行ったのでは…?
「へ、へ、陛下…」
「エ、エティーナ…」
「申し訳ございませんでした…!
陛下のお気持ちを考えずに、私は…
きちんと、お返事致しますゆえ、聞いてくださいますか?」
「あぁ…
はっきり言ってくれ…」
「私は陛下の事が好き…かもしれません…」
「かも!?!?」
「そうでございます。
かもです。
陛下が他の姫君の元にいかれると言って嫌な気持ちになりました。
それは、好きという事でしょうか…?」
「エティーナ…
俺はもう、それだけで十分だ…
かも、でも良い…」
「いいえ、最後までお聞きください。
とは言え、私は恋愛経験がございません。
今世も前世でも…
それゆえに陛下を苛立たせることもあるやもしれぬし…
それに…」
「それに?」
「陛下の好きの一割程度の気持ちしか無いやもしれません。
…本当に、それでも良いのですか…?」
「一割か…
そなたも腹が立つ女子よな。
それでも良いと言ったら、俺はこの国一の馬鹿かもしれぬな…
でも、それでも良い。
後の9割は俺が埋める。
それくらい好きだ…」
「陛下…」
「では、正式に付き合うということにしよう。
やっと、だな。」
「ふふふ。
やっと、でございますね。」
私たちは笑い合った。
残り9割は俺が埋める、という陛下の言葉を今は信じて前に進もうと思った。
その日私たちは一緒に眠った。
もちろん、それ以上の事は無いけれど。
ただ陛下の広い胸板に顔を埋めるだけで、なんだか心地よかった。
「なぁ…
エティーナ…?」
「何ですか、陛下?」
「そなたの前世はどんな場所だったのであろうか?」
「そうですねぇ。
馬車よりも速い車というものが走り、洗濯機という機械があり…
なかなか便利な場所でしたわ。」
「そうか…
俺も行ってみたかったな、そなたの前世の故郷に…」
「ふふふ。
いつでも私がお話しして差し上げますわ。
おやすみなさい、陛下。」
「おやすみ、エティーナ。
良き夢を。」
そうして、夜は更けていくのだった。






