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これもセンシティブ判定ですか、
視点 syp
ガチャ
ci「よっ!ショッピ」
syp「なんや、チーノか」
どうやら、玄関のチャイムを
鳴らしたのはチーノのだった
だが、チーノをよく見てみてると
syp「お前、なんでそんなびしょ濡れなん?」
チーノは全身、雨を受けて
びしょ濡れのように見えた
ci「あ〜、傘差さないで来たからじゃね」
syp「なんだ傘差さないで来たからか、
じゃ無いんやわとりま中入れ」
ci「ん、ありがと」
ガチャ
ガラガラ
syp「あ、」
俺はリビングにチーノを入れた途端
焦った
テーブルの上には物が散乱していた
薬瓶
何かの紐
カップラーメンの殻
眼鏡
時計
とにかく沢山の
物がテーブルの上に散乱していた
ci「お前、物散乱しすぎだろ
少しは整理しろよな」
syp「あはは、ごめんごめん」
俺は少し平謝りをした
ci「まぁいいや、俺が整理したる」
syp「お前、家にあげられてるのに
そんなこと言えるのかよ」
ci「うっさいねん!ええやろ」
静かにチーノがテーブルの上を片す
流れる音は雨の音と、テレビの音
ふと耳にテレビのニュースが入った
専門家は今年の梅雨は
大雨な為、気分が憂鬱になり、病む人が
増加する傾向があるようです
ci「そやなー、最近は大雨続きだし
気分も落ち込んで病む人も出るよな」
syp「確かにな」
ci「ショッピ、は最近悩みとかないん?」
syp「悩み、か」
ci「なんか有ったら、話し合い手くらいには
なれるから」
syp「俺はない、お前は?」
嘘をついた
また一つと
詐欺師の階段を登ったみたいだった
ci「俺はね、ある!」
syp「何」
ci「体が軽いとか?」
syp「へ〜、体が軽いね
体感的に何キロ?」
ci「21g!」
syp「へーって、え21g?」
ci「うん」
syp「アホか、それとほらお前
濡れてるからタオル貸すで」
ci「ん、ありがと」
チーノの家は俺の家の直ぐ近くだ
だからって、この大雨の中
普通、傘無しで来るか?
そう思った
チーノの冗談も
偶には程々にしてもらいたい
今は、今だけはそう
ただ、幸せな状態であることを
俺は実感した
ずっとこれが続けば
学生の時、俺は
部活でも勉強でも良い成績ではなかった
それどころか失敗ばかりだった
その時から
世間ではいわゆる成功者
といわれる人達に嫉妬をしていた
社会人になったらそれは少しでも
変わると思っていた
だが、それは違った
社会人になってもそれは
変わらなかった
“失敗ばっかで成績も良くない、どうして”
“お前は何も変わっていない”
“嫉妬ばかりでなんで努力しないの”
変わらない
だって、努力なんてしたらきりがない
努力しても必ず報われるわけじゃないし
いくら上にいっても
上には上がある
綺麗事だとも思っていない
だからこんなにも無力なんだろうな
心が空っぽなんだろうな
だから、
いつもそうやって
現実逃避し続ける
どれだけ仲間が
チーノが、傷付いていても
何も出来ない
きっとそうだ
いや、現にそうなんだから
例え、仲間が死んでも
泣く事も出来るか、分からない
失敗作なんだろうな
だけど、
何か、出来るのであれば
助けたい
思うだけだ
だから、少しでも
成功作になるために
少しでも
有能になるために
少しずつ
少しずつ変わっていっていたんだろうな
些細なことをやって
毎日を
繰り返す
そんな当たり前が
もう
崩れかけていた
こともまだ、
無力な俺には
知ることすらなかった