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ニキしろ 、 引退
引退を告げた 。
何故か 清々しい気分だった。俺は少し暑くなってきた空気を感じながら 、 綺麗な空を見て目を細める。
相棒に言われた 「100万人」の夢は崩れ落ち 、俺とあいつの間で亀裂が走った。
引退を発表する前に 、メンバーには伝えた。
「 なんか、 つかれてもーたから。 引退させてもらいたい。休止でも 、 YouTubeを休みたい。 」
俺の相棒は、 止めなかった 。餓鬼が 俺を強く止める。 キャメさんが 困ったように眉を下げる 。 18号は 少し 俯き、 何を言おうかと 考えているようだった 。
俺の相棒は、 ニキは 。俺の目をじっと見つめて黙るだけだった 。
何が言いたいのか すぐにわかった。
「 俺との約束は ? 」
だから 、 俺は目を逸らした。 次 俺が ソイツの目を見た時は、もう ソイツの目には俺は写っていなかった。
俺が辞めるに至った理由 。
アンチは 、もう慣れているし 。メンバーは優しい 。
疲れてしまった 。 それが理由と 、彼らに説明はしたものの。
彼らの優しさが痛い。 彼らの実力について行けない。
顔面偏差値の高いあそこにいたくない。
ニキが怖い。 彼奴の期待に応えられない。
段々と彼奴らのボケに突っ込めなくなっていった。
──────
「 ぼびー 。 俺 お前が好きだよ。 愛として 、 相棒として 」
真剣な目で 、 どこか不安のこもった目で彼に告げられた 。
俺は、きっと情けで付き合ってしまったのかもしれない。俺はゲイじゃない。 きっと、ニキもゲイじゃない。
彼奴にとって俺は好きな人で、俺にとって彼奴は相棒だった。
「 嬉しいわ、 よろしくな。ニキ 。」
その時も、 ニキは どこか 悲しそうな顔をした。 俺の事を誰より分かる彼だから、 きっとバレていたのだろう。
それでも ニキは、 俺に尽くしてくれた。
優しくしてくれて、笑わせてくれて。
生きる意味も楽しさも再確認出来た。
「 俺は面白いんだ !」
彼といるとその自信も溢れてきた 。
段々と 、彼に惹かれて来た 。
かっこいいと思う瞬間が増え、 尊敬も崇拝も増していった 。それを素直に言えないまま、 幸せな時はすぎて 。
成長していく彼らについていけなくなってきたのを、視聴者にも感じ取られ始めた時 。
俺はしては行けない「満足」をしてしまった時。
強い絶望を感じた 。 彼らのボケは面白い。でも、笑うことしか出来なくなっていって。
俺にか出来ない、俺の立場を確立させていた「ツッコミ」のポジは 、 徐々に にとちゃんに 盗られて 。
でも、ニキは低レベルな俺のボケで笑ってくれて。愛してくれて 、慰めてくれた 。
それにどんどん溺れていった。
俺だけ置いていかれるまま、数ヶ月。
ニキが俺に言った。
「 なぁ、 … お前 どうしたん 」
いつもとは違う雰囲気で、 そう言われる 。
「何が?」そう返すも、大体は分かってた。
「 …正直、 今のお前は、 面白くない。 このままじゃ 100万は行けないと思う 。 」
「 メンバーだったら行けるかもだけど、 そこにお前がいないのは絶対嫌だ 。 」
何も言えなかった。 最近は、 視聴者に不要物弄りをされることも増え 。笑っているだけの俺に、ボケを振ってくれるニキ 。
そこでも何も言えなかったりして、撮影が中断した。
初めて、にきにいわれた。
「 面白くない 」
なんて言葉が、俺に深く突き刺さった 。
俺を完全に殺すように、ニキは告げる
「 別れよう 。 やっぱ、 告白してごめん 」
深く頭を下げるニキに、俺はなんのリアクションも示せず 。
とりあえず、ニキに帰ってもらった。
酷くないた。俺は俺じゃなくなってしまった。ニキと尖りまくって、俺らだけが最強だと信じていたしろせんせーはいなかった。途端、死にたくなった。胃酸を吐き出し 、 ニキの匂いの残った家を見て 、ただただ虚しくなってしまった。
愛してる
愛して│
愛し│
愛│
。
ありがとう 。
悩んで送ったのはこれだけ。そこから少しずつ アカウントを消して行って 。
ニキと別れ、 一度も撮影に出なかった 2ヶ月後。
俺は 女研メンバーから 脱退。 卒業することを 告げる。
これは、 相談でもなんでもなく 単なる報告だった。
ニキは 、いらついたような声を漏らした。
「 逃げんのかよ 」
悲しそうに 、苦しそうに。 俺より 辛そうに こぼすニキ。
何も返さずに 、 オレは勝手に通話を抜ける。
100万は、俺にとってもかなり大きな夢。
達成したかった。
「どこから間違えたんやろなぁ ゛? にき、 」
もうほとんど彼の匂いなんてしないバスタオルを抱き締める。
失ってから気付くなんて、知っていたのに。
こんなに苦しいのに、昔なら来てくれたのに。来てくれないニキが悲しくて。
いつの間にか窶れて、ぼろぼろになった身体 。 こんなにメンタルが弱ってしまった。
「愛しとる、 愛しとる ゛、 」
誰にも届かないところだけでは素直になれる。
満足した時点で俺はきっと終わってしまった
。
ぎし、っと 音が鳴る 。ばたばたともがく音も 。
ぽたぽたと 体液が落ちて 。
「 もう、笑顔は見れないんだね 。 俺のせい 、か。おれのせいだよね。 どんなに 俺の理想の おもろくて 最強のお前から離れても、 お前は俺の大好きな相棒だった。 だからこそ、 伝えて 、 また、 2人で 無双したかったんだよ。俺は 。 100万より、YouTubeよりお前が元気に俺のそばにいてくれることが何より嬉しかった 。 もう叶わないのにね。ごめんね 。 」
俺は、 相棒も恋人もなくした 。
人生をかけて大切にしていたものは、 跡形もなく 。どれだけ苦しかろうと、俺はカメラに笑顔をむける。
「 お前は俺を、 少しでも好きだと思ってくれたことはあるのかな。 聞いておけばよかった。 」
ふと 机を見る。
「 遺書 」
大好きな 相棒は 、 元気にさせてあげて。
大好きな 恋人は 、俺を忘れて幸せになって。
メンバー達も、みんな 俺を忘れて、 幸せになって。
視聴者とかへの説明を押し付けてごめんなさい
俺はニキが大好きでした。段々と、お前の魅力の虜となり、 お前に愛されることで満足してしまいました。向上心より 、 安心感が勝って。
お前は俺を捨てないから、甘えてた。
きっと来世では逃げないから。
きっと来世では伝えるから。
我儘で自己中な俺を、 許さないでください。
愛してます 。ニキ。 大好きや。みんな
。
俺はそっと 手紙をしまい 、 彼に絶対見せなかった 涙を 、大粒の涙をたくさん降らせた。
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