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「ねぇセンセ。恋って、どんなの?」
とある日の補習中、谷口がそんな事を聞いてきた。
…恋とは、
「恋…したらわかるんじゃねぇか」
「だから!恋かもしれないから聞いてんだって!」
少し揶揄うと、怒られた。
恋なんて、俺が感じてきたものはそんな優しくねぇよ、と言ってやりたかった。
「…そうだな、ふとした瞬間にその子の事を考えてて、気づいたら目で追ってたり、話したり近付いたりすると、胸がこう…どくんってなるんだよ」
「へぇ…」
「…なんだよ、文句あんのか。てか補習しろ補習」
「…じゃあ、この感情は、恋、なんだ」
「あ?」
「何でもないわ、ありがと、センセ」
そう笑ったソイツの顔は、やっぱり俺好みで輝いていた。
次の日
(今日もあっついな〜…)
アイツと出会った頃とは変わり、太陽の光が眩しくなった頃-
俺のじき恋人にピンチが訪れる
「谷口瑞葉君…なんで校長室に呼ばれたか分かってるか?」
「なんでって…聞かなくても」
「はぁ…元からそういう喧嘩はあったんだって?辞めて欲しいなぁ」
この日、谷口は他校の生徒を病院送りにし、学校に来た。
ただその顔は、罪悪感などはなく、怒りに満ちていた
「谷口君さぁ…これ以上問題起こすなら、学校辞めることになるよ?ご両親にも迷惑かかるよ?」
「それは…自分でも分かってます…でも、今回のは…!」
「…校長、俺が谷口と話してもいいですか?」
「ん?あぁ、構わないよ」
「せんせ…」
谷口は、あんな性格だから、相当キレてなければ相手をそう傷つけることなんてない筈だ。
俺も…今回のは、事情を聞きたかった。
…谷口を信じて
「で、なんであんなにボコしたんだ?」
「っ…それは…」
「ん?」
「…先生を馬鹿にされたから」
…一瞬聞き間違えかと思った
俺をバカにされたから??…はぁ…??
「…俺を?馬鹿に?」
「うん…”お前の担任、きもいよなぁ!お前もお前でベタベタとさぁ!きめぇよ!”って笑われて…」
(…そんな谷口ベタベタしてるか?)
とか内心ツッコミつつ、俺は話を続けた
「…谷口、お前がどれだけ俺を好いてたのかはおいといて、相手を病院送りはやりすぎだ。相手の家族とかに謝ったり、結局嫌な思いするのはお前だからな。やりすぎんなよ。今度から喧嘩ふっかけられたら、俺を呼べ。俺が解決すっから
「…うん、今回のは相手にも、謝ってもらうし、謝るよ…ありがと、、せんせ」
正直な話、谷口の気持ちは痛いほどわかる。
俺も谷口バカにされたら、病院送りじゃすまないかもしれない…ってのは置いといて、
「校長、1週間の停学でいいすか」
「…処分が甘い気もするが、相手も相手だったな、まぁいいぞ」
「ありがとうございます」
「谷口、1週間の停学だ」
「はーい…」
(先生に会えなくなる…)
「あ、課題届けんのと、観察のためにお前ん家毎日行くわ」
「…よっしゃ」
「あ?」
「なんでも…」
そんな約束をして、この問題は幕を閉じる。
谷口はその後、ちゃんとお見舞いに通って、相手にも謝ったらしい。
(相手の家族の方が謝る量多かったとか何とか…)
つづく