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ふたりだけ

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ふたりだけ

1 - 前編

♥

102

2023年11月22日

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ノベルに挑戦!

初めてなので拙いところあると思いますが暖かい目で見てくださると幸いです( .ˬ.)”


現在連載中のものの続きが全然書けず、考えている最中に思いついたものになります💦

連載なかなか更新出来ず申し訳ないですが、こちらも読んでくださると嬉しいです!(3話完結予定)



«設定»

社会人(同い年)、同棲中


喘息、貧血などを持っていて病弱 (詳しい説明は作中で)

リモートワークが主の会社に勤める

※関西弁じゃないです


橙が病弱なことを知らない(隠しているため)

有名企業に勤める







橙side



桃「おはよ」


彼が微笑みながらこちらを見る。

あぁ、今日も生きていてよかった。


橙「おはよう」


そう返すと、優しく頬を撫でられた。

幸せすぎてタヒにたい。


桃「ごめんな、今日ちょっと遅くなるから先寝てて」


申し訳なさそうにそう言われた。

仕事のためにスーツを着込んだ桃ちゃんはいつもに増してカッコいい。


橙「…わかった」


“早く帰ってきて”という言葉と咳が同時に出てきそうになって、2つとも慌てて飲み込んだ。


有名企業に勤めている桃ちゃんは毎日忙しそうに働いている。

彼はとても端正な顔立ちで体格もよく、明るさと優しさに溢れた人だ。

そして俺の好きな人でもある。

一応付き合ってはいるが、これは恋人という意味ではない。きっと同情だろう。

親が早死して親戚の家を転々としていたが、高校に入ってからはずっと一人暮らしだった。そんな俺の過去に同情した彼が持ち出した同居だった。

初めて今までの暮らしをしてきてよかったと思ってしまう。


完璧な彼の隣に欠陥品の俺が並ぶなんてと思いながらも、捨てられたくない。

隣にいられるこの幸せをタヒんでも守りたい。

この幸せが無くなるのならタヒんだ方がいい。






橙「げほ、ごほっ…」


桃ちゃんがいなくなった部屋に自分の咳だけが響く。

まただ…。悪化する前に薬飲まないと。

ぼんやりとする頭でそう考えながら、ふらふらとキッチンの戸棚に向かう。


生まれつき肺を病んでいる喘息持ちの俺は、病弱な身体を隠しながら暮らしている。

普通の人のいつもの体調を10とし、風邪をひいた時の体調を5とすれば、俺のいつもの体調は5以下だ。3くらいだろう。

風邪をひいていなくても、貧血によるめまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、震え、胸痛は日常茶飯事で、喘息が酷い時には呼吸困難に陥ったりもする。

元々不眠症なこともあり、1年のうち本当に体調が良いのはせいぜい10日くらいだろう。

そんな不調に慣れた俺でも、ここのところ特に調子が悪いと感じる。

薬を使いすぎたツケだろうか。

隣にふさわしくないなんて思ってるクセに、捨てられるのが怖くて、幸せが壊れるのが怖くて、桃ちゃんを騙してきたバツだ。


戸棚の裏に隠した薬瓶を手に取る。

残りはあと15錠ほどだった。

1番よく使う貧血や気管に効く薬が残り少ないのは困る。

喘息発作の薬も睡眠薬も決して多くは無い。

また病院に貰いに行かないと…。

そう思うが、今度行ったら強制的に入院させられるだろう。

肺がそれを痛みとして訴えてくる。

俺にとって、入院はタヒぬことと同じだ。桃ちゃんと一緒にいられないのなら生きる価値などない。


ゼリー飲料を食欲のない胃に押し込み、薬を飲む。

こうして薬で悪化した体調をごまかし続けてきた。その甲斐あってか、桃ちゃんの前では1度も体調を崩したことがない。

これでいいと思っていた。

無理やり薬で落ち着かせるということは命を縮める行為だとわかっていても、それしか方法がない。

病気がバレて桃ちゃんに捨てられるのなら、今すぐにでも窓から飛び降りたい。

俺には桃ちゃん以外何もないから。






肺のキリッとした痛みでハッと目を覚ます。

気づけば床に仰向けになっていた。

壁にかけられた時計を見ると、もう21時だった。

薬を飲んだ10時からずっとここで寝ていたのか…。

いくらリモートワークと言ってもやらなければいけない仕事はもちろんあるし、家事だってしなくては。

桃ちゃんは何も強制してこないけど、なるべく自分で家事をするのは俺が決めたルールだ。

正直桃ちゃんの方が器用でご飯もおいしいが、それさえも桃ちゃんに任せるのは申し訳ないし、自分の存在価値が本当に無くなってしまう。

まだ寝たがる身体にムチを打って起き上がる。

桃ちゃんが遅くなると言った日はたいてい23時頃に帰ってくる。つまりあと2時間ほどしかない。


震える視界を無視しながらご飯を作り終えた頃には、22時半を過ぎていた。

風呂場に急いで湯船をゴシゴシと洗い、お湯をためた。

そしてソファーに腰を下ろすと、忘れていたはずの咳がまた顔を出す。


橙「っっげほっ、ごほっ、ひゅ、げほっ」


肺が痛むような醜い音がして、薬を飲んでいないことに気づく。

自分のご飯を作る余力などなかったので、仕方なく朝と同じゼリー飲料を1口含んで、薬を飲んだ。

少しばかり熱っぽい気がしたが、気の所為にする。解熱剤と喘息薬は併用できないし。

しっかりご飯を食べないと体に良くないとわかっていても、現実は厳しい。

ただでさえ食欲も体力もないのに喘息まで出てくるとなると、起き上がるだけで精一杯だ。そこをなんとか薬で動かしている。


ふとスマホが光った気がして確認すると、桃ちゃんからメッセージが来ていた。


『今日、全然連絡できなくてごめんな。今会社出たからあと30分くらいで着くけど、疲れてるだろうから先寝てていいからな』


疲れているのは桃ちゃんの方だろうに。

俺なんて寝てただけだし。

それなのに、この人は優しすぎる。

生きる価値なんてない俺にそんな暖かい言葉をかけてどうしたいのだろう。

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