朝日が海面に顔を出し辺りを無作為に照らす。
波がひいて砂が濡れる。濡れた砂は海水と混じって海に還る。
冷たい空気が肺でまわる。温もりをもった息が空にまう。
前は向かずに下を向きながらゆっくりゆっくり足を前に出す。
足の指先に砂がまとわりつく。まとわりついた砂は足を踏み出す度減っていく。
「なぁあきな」
腫れた目元に湿った風があたる。途端にひりついて少しずつ熱を帯びる。
寝惚けていた頭も次第に鮮明に物事を整理しだす。
傍には人影が見当たらない。のに暖かくて心地よい気配が離れない。
ぎこちない指先で持っている白い箱は微動だにせず冷たさを放つ。
白い箱は大袈裟に揺さぶるとからからと音がなる。
溜め息を吐き少しだけ息を吸う。
君が好きと言ってくれたこの声で。
「今日も世界は綺麗やで」
[不破さん]
[リハビ……]
[…今日も彼氏さんとの散歩楽しかったですか?]
『はぃ』
『とても、』
END
コメント
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えっっっまってえっっっっ えっっっ はぁ…………お姉さん好き過ぎてないちゃう
ずはらしすぎます
も、もう...本当に最高です👍😵💫💗