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恋樺
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青春に憧れていた。男女関係なく楽しめる学校行事も、甘酸っぱい恋愛も経験したことのない私は強くそれに惹かれた。
だから、高校は頑張って行きたいところへ受験をして無事に努力が実った。これから私の青春が始まるんだ。
「灯織!」
「華弥〜!おはよぉ」
中学校からずっと友達の星野華弥。すごく優しくて、気遣いのできる三姉弟の長女だ。天パのクルクルした髪は彼女のトレードマーク。本人はまとまらないのが気に入らないらしい。
「今日から高校生だよ。信じられる?」
「むりむり。中学行こうとしたもん」
「それな〜」
気の許した人とは口調が崩れるのが特徴だ。そんな柴犬みたいな所が私は好きだ。
華弥は髪の毛をいじりながら朝の出来事を話す。どうやら朝から妹が髪型が気に入らないやらなんやらで泣きわめいたらしい。どうにか凝った髪型にして泣き止ませたけど、自分の髪型は時間がなくてあまりセットできなかったと言う。
「いい感じに広がってるよ?」
「広がってるのが嫌なの!灯織みたいにサラサラがいいなぁ」
「毛先は絡まりまくってるけどね」
「あ、ほんとだ笑」
華弥が私の毛先を解してくれる。なんだか毛繕いをしている猿みたいだ。
年の離れた妹と弟を持つ華弥はすっごく面倒見がいい。昔から世話を引き受けていたそうだ。でも、私の前ではただの星野華弥でいてほしい。
「あ、見てクラス分け」
「私は〜…1のBだ」
「私灯織と違う…1のC!」
「離れちゃったね」
「寂しいなぁ」
「来年に期待だね」
「だねぇ」
早々にぼっちになる未来が見えたけど、たぶん気のせいなので頭を振って思考を切替える。私と華弥はそのまま教室へ向かい、廊下で別れた。
座席表を見て、席に着く。1番後ろの窓際。青春の席で私はつい頬が緩む。
教室を見回すと、3分の1程度の人が席に座ったり、同中だった人と喋ったりしている。私も青春をするべく、周りの席の人に話しかけようとする。しかし、まだ隣の席の人も前の席の人もいない。大ピンチだ…!
「うわぁ!いいなぁ角席」
突然斜め前の人が私を見る。というより、私の席を見た。
「えっと…?」
「あ、俺緋村葉大。西中出身だよ」
「私は割秋灯織。北中出身です」
「割秋ってすっげぇな。出席番号ずっと最後でしょ」
「はい。後ろしか経験したことないです」
「いいなぁ〜。俺後ろって好きなんだよな。あ、タメ口でいいよ?これからよろしく!」
「うん!よろしく」
すごくいい人が話しかけてくれた。最初の出だしとしては好調かもしれない。
私は高揚した気持ちでいると、隣の人が席に着いた。まる眼鏡をかけた女の子だ。私は声をかけた。
「あ、あの!よろしくね」
「…どうも」
あまりいい印象がないみたいだ。どうにか話を続けようと話しかける。
「割秋灯織っていうの。あなたの名前は?」
「宮野美空」
「美空ちゃん、綺麗な名前だね!どこ中出身?」
「あの、もうチャイム鳴るんで」
「あっ…うん、そうだよね。ごめんね!」
冷たくあしらわれた事に、少し調子に乗りすぎたことに、私の全身は羞恥心で覆われた。
コメント
1件
あー、わかるわかる!青春に憧れて高校に来た灯織の気持ち、すごく共感したよ。華弥との朝のやりとりが自然で、ほっこりしたな〜「毛繕いしてる猿みたい」って比喩が可愛かった笑 クラス離れちゃったのは寂しいけど、緋村くんみたいな気さくな人が隣の席ブロックにいて良かったね!でも隣の宮野さんはちょっとツンツンしてる感じか…。灯織が「調子乗りすぎた」って凹むのも分かるよ、初対面って難しいもんね。続きどうなるんだろう、気になる〜!