由紀?もう読書感想文課題提出締切なんだけど…」
机に突っ伏してる私の頭に茜が手のひらで頭を叩く。数学の課題なんてすっかり忘れてた。
由紀もやってないことを分かった上で言ってるに違いない。表情がすこしにやけている。
「逆に茜は課題終わったの、いつもやってきてないでしょ」
そう言うと、茜の表情が分かりやすく歪んだ。
「うっさいな、あたしは彼氏に見せてもらうからいいの」
「また彼氏?時間ないんだし2限目終わったら見せてもらってきなよ」
分かってる なんて生ぬるい返事が聞こえてきたが、それを無視して窓の背景を見る。
「読書感想文の本ってなににする?いつものやつ?」
「うん。あの小説しか好きじゃないから」
快晴の空が目に映るがそれを無視して校庭の森を見ながら会話を進める。
「…作者は村田春久さん、?へえ、今度読んでみるね」
携帯で調べているのだろう。携帯片手に机に突っ伏している。
読んでみる、だってよ。その場しのぎの言葉で読まないくせに。
「あ、彼氏小説読むらしいけど知ってるかな …」
またか、なんて。最近は彼氏のことばっかり。
数日前、夏休み前だからって張り切って告白したら運良く成功したらしい。
好きな人がいるなんて聞いてもなかったから聞いた時は驚いた。
でも茜は昔から自分一人で考える癖があるからそこまで気にならなかったけど。
___ 由紀も彼氏作ればいいのに
茜に彼氏のことを問い詰めた時に言われた言葉。
茜自身は何も考えずに言った言葉なんだろうけど、私は普通にイライラした。
別に言われなくても自分で分かってる。茜のせいで彼氏つくれないんだよ、って今まで溜めてきた言葉を全部吐き出したい。
幼稚園の出来事だって、全部茜だけ忘れて、
___ じゃあ私は?
「……吐きそう」
居てもたってもいられず思わず机から手を離した。
コメント
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フウㄘゃと話したい、、
フウㄘゃ.ᐟ.ᐟ 見るの遅くなってごめんね、、 フウㄘゃのストーリーやっぱり好きだな、笑