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暗闇に染まりつつある空。
見え始めた月。
冷たい夜に輝く街灯。
それは何も変わっていない。
でも。
そこに笑ってる貴方はいないし。
話せる友達もいないし。
明るい顔の僕もいない。
何もなかった空き地に飲食店ができて。
そこに新たな笑いが生まれて。
自分の心は暗くなるばかり。
雪が降り始めた。
これも前まではなかった光景。
本当、なにしてんだろ。
ここに居ても貴方は来ないってわかってる。
それなのに動けない。
手に雪が落ちる。
すぐに僕の体温で溶けていった。
叶わない夢のように。
川を見つめる。
なんにもやりたくない。
動くのでさえためらってる。
川は水が動いてるから凍らないらしい。
それじゃあ動かなければ僕は凍るだろうか。
凍るとしても…心だけかな。
そう簡単に人間ってのは死なないし。
スマホを見る。
過去の写真を見て、一瞬だけど幸せを感じる。
まるで…薬みたいだな。
もう何度も飲んだその薬は効き目がほとんどない。
今となってはすぐに絶望に引き戻されるだけになってしまった。
通行人が僕を見る。
馬鹿にしてる。
その人は何もしてないのに僕はそう感じた。
そう思ってた。
だからまさか僕に「大丈夫?」と言われるとは思ってなかった。
びっくりした。
急すぎてまともに声が出せない。
そんな僕にその人は優しく話してくれた。
「疲れとるんじゃろ?ほら、ジュースでも買ってあげるから。元気だしーや。」
そう言ってその人はすぐ近くの自販機で炭酸飲料を買ってきた。
「あんたが何が好きか知らんけど、若いもんはこういうのが好きやろ?」
「え…あ…」
「遠慮せんでえぇ、じゃがな…」
優しさ。
あれ以降感じるとは思わなかった。
そしてその人は言う。
「あんたも困ってる人がいる時、こうやって優しくするんよ?」
あぁ…この人は。
今まで数えきれないほどの人達に優しくしてきたのだろう。
顔に滲み出ていた。
僕は静かに炭酸飲料を受け取る。
「…ありがとうございます。」
「感謝されるようなことはしてないよ…わたしゃ。」
「いえ、優しさだけじゃなく…それよりも大切なことを教えてもらったので。」
「ええ子じゃなぁ…世の中、言っても聞かんやつはいっぱいおる。でもあんたは違う。まだこれからがあるんじゃ。やっぱ若者は違うねぇ。」
やっぱり…違うな。
友達より、親より、何よりも信用できる言葉。
そんな気がする。
それは誰よりも長く優しく生きたからなのだろうな。
「じゃあ、わしはいくよ。もう出会えないかもしれんが…天からでも君を見てるよ。」
ゆっくりと…その背中が離れていく。
変わろう。
未だ…痛い。
それでも誰かを救えるような。
誰かを幸せにできるような人になろう。
僕だけでは足りない。
本当はもっと多くの人にそうして欲しい。
これが僕の新たな生きがい。
絶対に消えることのない生きがいだろう。
任せてください。
僕たち若者がみんなの絶望を。
一つ一つ消します。
そしていつか。
「やめたい。」と思う人がいなくなることを願って。