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《亜之古》
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#宍喰野虎落
桜遥🌸大好きな人
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私は音の鳴らない風鈴だ。
この世界には音がない。
中学三年のある朝、目覚めるとそこには静寂が広がっていた。蝉衣の衣擦れる音も、鳥の鳴き声も、自分の喉を振るわせて口から出ているはずの声も、何もかも。
そして、それは私だけに起きた異常ではなかった。どうやら、本当に世界中から「音」という存在が消えてしまったらしい。
そんな日常になってから三年が経過した。
真夏の暑さに額から汗がにじむ。この身を焦がすような陽射しは、本当に「じりじり」と表現してもいいのだろうか。ふと、雑踏の中でそんなことを考える。
でも、そもそも、音のあった世界でも陽射しはじりじりなんて音はしなかった。だから、「じりじり」はこの世界でも正しく、駅の改札にスマホを「ピッ」と当てて料金を支払うの「ピッ」は既に死んだ言葉だ。
あの軽快な音も、もうはっきりとは思い出せない。三年も経てば、自分の声だってどんなだったのか曖昧だ。
色めく都会の看板群を下向きに歩く。
三年という月日で、この世界はやけに明るく、目を惹く色の看板が増えたような気がする。というか、そもそも街中の看板や貼り付けられているビラが格段に増加した。
みんながみんな、手話か筆談などでしか対話が出来ないというのは本当に不便だ。
だから、ぱっと見で情報が分かる看板や張り紙がとにかく多くなった。
コメント
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らうさん、第2話読ませていただきました。「私は音の鳴らない風鈴だ」——この一文に、もう胸を掴まれました。音のない世界で、かつての「ピッ」という音さえも死語になっている描写に、三年という時間の重みを感じました。看板やビラが増えたことで視覚に頼るしかない社会の描写も、とてもリアルで切なかったです。静寂の中で生きる主人公の感覚が、静かに、でも確かに伝わってきます。続きも楽しみにしています🌷