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だいぶ前に書いた百合
明日文化祭なのに私何やってるの一体
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うちのクラスには、『魔性の女』がいる。
もちろん、これは比喩表現で、本当はただの高校生なんだけど。
「……おはよう、ミリカ。」
「あ……アキ。今日は早いんだね。」
暁光に透けるようなな髪の毛は人々を囚え、
唇に乗せた薄桃色は人々の恋心を喰らう。
檳榔子黒(びんろうじぐろ)の瞳で惹き込んだら、
「そういえばさ、古文の課題やってきた?」
鳥の子色の笑みで邪心をぼかす。
「うん。やったよ。」
「えー、嘘!んじゃさ、教えてよ!
館センの出す課題マジムズいの……!」
「えー?しょうがないなぁ……」
私は『魔性の女』であるミリカの幼馴染だ。
男子に爆モテで、毎日愛の告白が耐えないミリカを護衛している。
別に憎らしくはない。
羨ましいとは思うけど、昔からミリカが恋愛のいざこざで苦労しているのは知っている。
だから、私は逆に守ってやらねばという母性が働くのである。
同級生の男子に「藤宮(ミリカの苗字だよ。)の連絡先教えてくんない?」と言われたら、
「アンタのその口臭が良くなったら考えとく。」
と返す。
後輩に「藤宮先輩とよく一緒に居ますよね!えっと、その……」とかなんとか言われれば、
「あんた、芋臭い。身の程知りなよ。」
と返す。
クラスの女子達がミリカの愚痴を言っていれば、
「…………勝てないからって……みっともな。」
と、嘲笑う。
別に、例え全方面に嫌われたっていいのだ。
「あ、そうだ!アキ、今日放課後空いてる?」
「うん、空いてるよ。」
「よかった!」
ミリカが笑顔でいれば、いいんだ。
「ッえ…………」
「ごめん、ずっと言えてなくて。」
誰だよ、その男。
「ずっとアキに頼ってばっかの生活、良くないなって思ってた……」
「今まで迷惑かけちゃってごめん。これからはこの人と一緒に自分磨いていくからさ!」
嘘、嘘だよ。
辞めてよ。
そんな肩幅がデカくて、いかにもな男、
ミリカには絶対に似合わない。
なにより…………
「『魔性の女』は、そんなことしない……」
誰とも深い関係を築かずに、
永遠の高嶺の花で有り続けるのだ。
人々を惑わせて、
悪しいほど美しき女王となるのだ。
「……アキ、よく私の事そう言ってくれるけどさ……」
「私、アキ以外の人にそう言われたことないよ。」
「…………あ………………ッ」
「とにかく……これを伝えたかったの。」
「えっとね、距離をとるって訳じゃなくて、むしろもっともっと仲良くなりたいんだ!」
「私、アキに相応しい親友になりたいから!」
「えっと……彼はね、私がそれで悩んでた時に話聞いてくれて……えへへ。」
「…………」
ごめん、ミリカ。
今、私の耳には何も届かない。
茜色の空が遠くなっていく。
私の心と、ミリカの想いが遠のいていくみたいに。
惑わされていたと思っていたのは、
私で。
勝手にミリカに固執していたのも、
私だった。
中学生のときに、当時私が好いていた子の好きな子が、ミリカだと知った。
…………盗られないために、ずっと、ミリカにくっついていたのかもしれない。
(でも、大丈夫だよね…………)
きっとミリカは、戻ってくる。
「うっ…………アキ…………ごめん…………う……」
「…………大丈夫だよ。」
ほらね。大丈夫だったんだよ。
元彼にやられたのであろう、
その紅く腫れた頬に触れる。
あぁ、綺麗な顔が少し穢れた。
「やっぱりね………………ミリカは──」
私だけの、『魔性の女』だよ。
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小説部屋ではお久しぶりです
めっちゃ見にくいのごめんなさい
全然はミリカちゃんは魔性の女じゃないのに、
分からなかったんですね、この子。