マコトside…
ボクは、机に書かれていた罵詈雑言を消した後に、家に帰った。窓から空を見た。
…虹がかかっている。珍しい。
…元気だったあの頃のボクなら、きっと「綺麗だな」とか思ってずっと見続ける事ができたんだろうな…。
きっと、もうこの辛さからは逃げられないし、ボクの願いはみんなにとっては下らない事だろう。
何もできないしもうどうしようもない。これからどうするかを考えなきゃ。ボクは、そのまま眠りについた。
次の日
…まただ。今度は机だけじゃなくて教科書に…!
クラスのみんながボクとボクの教科書と机を見て大笑いしている。
いじめっ子A:「なあ、お前の後ろ見てみ?w」
…え?ボクはいじめっ子に言われて後ろを向いた。
ジュンヤ:「マコト…」…!
いじめっ子B:「あーあ、あんたの好きな人に知られちゃったねw」
……!!
どうしてジュンヤがここに…
ジュンヤは、悲しそうな顔をしてボクを見た。
いじめっ子C:「好きな人にも知られてそいつにもいじめられる。これがお前の末路だよ、ホモw」
いじめっ子A:「終わりだな、お前w」
…ボクは絶望した。
マコト:「…ッ」
ダッ
ジュンヤ:「あ、マコト!!」
ボクは逃げた。
できる限り早く走った。
守衛さんを無視して学校から出た。
家に帰った。
誰もいない。
消えてしまいたい。
ボクは棚にあったタオルを吊り下げ電球に引っ掛けた。大好きな人に、ボクの秘密を知られてしまった。知られたら人生が終わってしまうくらいな秘密を。
ボクは椅子を持ってきた。
椅子の上に乗った。
マコト:「ごめんね、生まれてきちゃって。迷惑だったよね…?」
ボクはタオルに首をかけようとした。
ジュンヤ:「待てマコト!!」
…いつの間にか、ジュンヤがボクの腕を掴んでいた。
マコト:「ジュンヤ…?」
ジュンヤ:「死ぬな!!」
…珍しくジュンヤがボクに怒鳴った。
ジュンヤ:「お前が死んだら俺に生きる意味がなくなる、だから生きてくれ!!」
…ボクは驚いた。ジュンヤにとってボクはただの友達ではないのかも。
マコト:「…ボクのこと、気持ち悪いって思わないの…?」
ジュンヤ:「まずは椅子から降りろ!!話はそれからだ、マコト。」
ボクは椅子から降りた。
ジュンヤ:「マコトが気持ち悪い?俺がそんなふざけた考えをしているなら今頃俺はここにいないっ!!」
…ボクは言葉が出なかった。ジュンヤが本気で怒っているし、泣いているからだ。
ジュンヤ:「それこそ、こんなこと言うのさ、今までの関係が壊れそうで怖いけどさっ、」
ジュンヤが、涙を流し、言葉に詰まりながら言った。何を言われるのだろうと怯えていた。
ジュンヤが口を開いた。
ジュンヤ:「俺さ、お前のこと好きなんだよ。だからお前に死んでほしくない!!」
………!?
マコト:「ホント…?ホントに……!?」
ボクは、驚いたのと同時にすごく嬉しくなった。
マコト:「ボクもさ、ジュンヤのことすっごく好きなんだ。もしかして、両思いなの…?」
ジュンヤ:「…!じゃあ、俺たち両思いじゃん…!」
……
マコトとジュンヤ:「アハハハ…!」
マコト:「ありがとう、ジュンヤ…!」
ジュンヤ:「もう2度とこんなことするなよ!本当に!!お前を失うのが怖くて最近眠れてなかったんだからな!?」
えぇ!?ジュンヤ、そこまでボクが心配だったんだ…!ボクがそう思っていると、
ピーポーピーポー…
…救急車の音が聞こえてきた。
ジュンヤ:「…さっき呼んだ救急車が来たみたいだな。」
どうやら、ボクの自殺未遂を見ていたジュンヤがとっさの判断で救急車を呼んだみたい。ボクとジュンヤは救急車に乗った。
その時、救急隊員に自殺をしようとしたことを怒られたけど、「辛かったね、よく頑張ったね」と言ってくれたことで、ボクは今まで我慢していた分の涙を流した。
結局、ボクは検査入院をすることにした。
マコトの母:「あんたどうしていじめられてること言ってくれなかったのよ…!!」
マコトの父:「今まで辛い思いをさせて本当にすまなかった、マコト!!」
知佳:「…」
父さんと母さんが病室から出て行った後、姉にこう吐き捨てられた。
知佳:「あのまま死ねば良かったのに。帰ったらあんたのことどうしてやろうかしら、あんたなんて生きてるだけで恥なんだからw」
…そう言って、姉はボクの頬を平手打ちしてきた。
知佳:「今のこと、看護師とか医者に言ったらどうなるかわかるわよね?あぁ、あんたそもそも人間じゃないからわかんないかw」
そして、そのまま姉は出て行った。
ボクは、お医者さんにいろいろ聞かれた。
どうしてこんな事をしたのか、今までに何があったのかとか。ボクは洗いざらい話した。
さっき言われたことと、叩かれたことも含めて。実は、さっき言われたことといじめの内容はこっそり録画してあった。
そしたら、警察と教育委員会にも連絡が行った。
知佳:「なんで私が捕まんなきゃいけないのよ!?」
警察1:「相崎知佳。名誉毀損、脅迫罪、侮辱罪、器物損壊、暴行、傷害の容疑で逮捕する!」
知佳:「はあぁぁぁぁ!?マコト、お前えぇぇ、余計なこと言ったわねえぇぇぇ!?ホモ!!キチガイ!!オカマ!!お前に人権なんてないぃぃぃぃ!!」
姉は、警官のうちの1人を突き飛ばした。
警官1:「わっ!?」
警察2:「はーい、暴れて抵抗したので業務妨害も追加ねー」
知佳:「ふざけんなあぁぁぁ…!!」
姉は、そのままパトカーに乗せられていった。
マコト:「お父さん、お母さん、ごめん、ボクのせいで姉が…」
マコトの母:「あんたは何も悪くないでしょ!」
マコトの父:「強いていうなら、お前は何も悪いことしていない被害者なのに自分のせいにしすぎだっていうところだな。つまり、悪いのはお前を虐待していた知佳であって、お前は悪くない。あいつをあんなふうな暴力を振るうような子に育てた覚えはなかったのだが、勘当するしかなさそうだな。」
マコトの母:「ええ、そうね。私たちにあんな暴力を振るう娘はいない、いるのは可愛い息子だけよ。ね?」
マコトの父:「ああ、そうだ。だろ、マコト?」
マコト:「2人とも、ありがとう…!」
2人は、笑顔でそういった。どうやら、姉が逮捕されたことよりも、ボクにいろいろ暴力とか振るっていたことに怒り心頭だったみたい。
学校に戻ってみると、まずは校長室に呼び出された。
校長先生:「君は、送られてきた音声と書類にある通り、クラスの全員にいじめられていた…ということで間違い無いかな?」
マコト:「…はい」
校長先生:「その中の、いじめっ子Aさん、いじめっ子Bさん、いじめっ子Cさんの3人がいじめの主格で間違いないね?」
マコト:「はい…」
校長先生:「少なくとも、この3人は警察で補導されるだろう。最悪、少年院に送られるかもしれない。」
マコト:「はい…」
校長先生:「気づけなくてすまなかった。明日にでも全校集会を開いて、いじめは犯罪行為だということと、LGBTQ+の講習を行う予定だが、まずはそれで構わないかい?もちろん、君のセクシュアリティは君の許可が得られない限り話さない。」
マコト:「ありがとうございます…!ボクは、話したいです。多分学校中に知れ渡っていると思うので。みんなの誤解をときたいんです。」
校長先生:「君の意見が聞けて嬉しいよ、ありがとう。」
校長先生は、思いのほか優しかった。
その後、ボクは全校集会でボクについて話した。自分のセクシュアリティ、いじめられた経験、悩んでいたら信頼できる人に相談してほしい、ということ。
いじめの主格の3人は、警察に補導され、少年院に送られなかったものの、書類送検され、退学になった。
そして…
ジュンヤ:「マーコトっ!買い物行こうぜ!」
マコト:「そうだね、ジュンヤ!」
ボクには、優しくて正義感のある恋人がいる。幼馴染のジュンヤだ。
ボク達が大人になって、結婚できるかどうかわかんないけど、今の幸せな時間を大切にしていきたい、そう思えるようになった。
これが、ボク達2人の物語。今は幸せすぎて胸がきゅうってするくらいだ。
コメント
1件
タイトル回収!!