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今何時なんだろう。というか、いつまでここにいればいいんだろう。あー、外出たいなー。
「……ナオト」
「ん? あー、ミノリか。どうしたんだ? そんな思い詰めたような顔して」
「……ごめんなさい
「え?」
「あたし、知らなかったの。モンスターチルドレンを元の人間に戻せる薬の作り方」
「いや、それは数時間前に聞いたよ」
「最後まで聞いて」
「え? あー、うん、分かった」
「あのね、今さっきモンスターチルドレン育成所に行ってそこの所長兼教師にそのことを訊《たず》ねてきたのよ。でね、そいつね、あたしにこう言ったのよ。あんたの……ナオトの心臓を食べれば元に戻れるって」
「……え?」
ミノリ(吸血鬼)はずっと俯《うつむ》いている。まあ、実は例の薬はすぐそばにありましたーっていうオチだからビックリしたんだろう。でも、なんでそんな暗い顔してるんだ?
「あんたが今まで体内に宿した七つの食べ物あるでしょ? アレ、あんたの心臓を例の薬にする効果があるそうよ」
「へえ、そうなのかー。でも、良かったじゃないか。これでみんな元に戻れ……」
「あんたは何も分かってない! あんたの心臓は一つしかないのよ! つまり、元に戻れるのは一人だけ……たった一人だけなのよ! しかも、その代償があんたの死なのよ! ねえ、ナオト。こんなのあんまりでしょ? せっかくここまで頑張ってきたのに最愛の人を殺せだなんて……。あたしね、こんなの方法で人間に戻るくらいなら一生このままでいいって思ってるの。はぁ……なんかごめんね。取り乱して。でもね、そんなの嫌なのよ、あたし。あんたを失いたくないのよ」
「なあ、ミノリ。それってさ……」
「え?」
「増やせば良くね?」
「……え?」
「いや、だからそれって俺の心臓を増やせばいい話だろ? というか、お前、ちゃんと最後まで話聞いてたのか?」
「あー、えーっと、ちゃんと最後まで聞いてないわ」
「だろうな。まあ、とりあえず最後まで話聞いてこい」
「ええ、分かったわ。ありがとう、ナオト。愛してるわ」
彼女はそう言うとさっさと話を聞きに行った。やれやれ、やっぱりまだ子どもだな。まあ、俺もそうなんだけど。