「おい、北見」
「はい‥‥ロウさん」
キッチンに2人並び、俺は汚れた服やシンクを見つめる
「俺さっき電源止めてから出せって言ったよな?」
「言われました。二度目です」
「そうだよな?ハンドミキサーは止めてからクリームの中から出せって言ったよな?」
ハンドミキサーの勢いそのままに飛び立ったクリームをキッチンペーパーで拭き取る
そして北見の顔を見る
「‥‥プッ」
「笑わないでください」
「お前付け過ぎだろ‥‥フフッ」
「一応、顔面で受け止めました」
「そうかよ」
俺は北見の顔についたクリームを指で掬い、自分の口へと運んだ
「ロウさん?」
「何だよ」
「いや‥‥別に‥‥」
「何なんだよ‥‥それより、お前が多く買ってきたクリームまだ冷蔵庫にあるんだから、ボウルに出して泡立てろよ」
「全部‥‥入れても良いのかな」
「残しても困るから全部泡立てようぜ」
「今度は失敗しません!」
「頼むよ。クリスマスケーキで食べるんだろ?」
「ロウさんと一緒に作りたかったんですもん」
「スポンジは買ってきたし、フルーツも切ったから‥‥あとはクリーム作って塗るだけなんだけどな」
「今度は最後までボウルから出しませんから!安心して下さい!」
「二度あることは‥‥」
「三度目の正直ですよ、ロウさん」
三度目の正直で出来上がったクリスマスケーキは、まずまずの出来栄えだ
イチゴとマスカットがケーキの上に並べられ、生クリームの装飾をし、砂糖で出来たサンタも乗っている
「さて、他の料理も温まったし‥‥はじめる?」
「やったー!食べましょ食べましょ!」
テーブルにケーキやチキン、シャンパンを並べる
ケーキなんて作ったことなかったけど、作ってみると意外と楽しいもんだな
北見が言い出さなかったら一生作らなかったかも
「美味しーっ!凄いっすね‥‥これ俺達作ったんですよ?」
「まぁ味付けとか無いしな」
「それは言わないで下さいよ」
「それより北見、今日飲み過ぎじゃないか?」
「だってクリスマスだし、これ飲みやすいし」
「飲みやすいって‥‥アルコール12%だけど。ほら、顔も赤いし」
「んー、なんか酔いは回ってるかも‥‥ 」
「お前1人で半分以上飲んでるんだからそうなるだろ」
テーブルの上に空いたお皿を集め、キッチンへ片付けようと立ち上がる
パッと北見にその腕を取られた
「片付けは後にして‥‥」
「何でだ‥‥おいっ!」
「デザートが食べたい」
「は?ケーキ食っただろ?」
ギュッと腰を抱きしめられ、酔った北見の顔が近づく
「ロウさんがまだ残ってる」
「俺はケーキじゃねーよ」
「こんなに甘いのに?」
「あ‥‥んっ‥‥」
重なる唇からはシャンパンの香り
絡まる舌が甘く痺れる
いつのまにか床に押し倒され、身体を昂らせられる
北見の手で高みへ上り詰める少し手前
急に手が離された
「んっ‥‥なに‥‥‥‥北見?」
「‥‥‥‥‥‥」
視線が俺から外れる
そして立ち上がると俺の側から離れた
急に寒くなった身体を手で隠す
「‥‥‥‥北見?」
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