コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「え、ブラピ…泊まりに来たの!?」
オレはたった今、エンジェランドに到着したところ。今日はパルテナの誘いで泊まりに来た……正直イヤすぎる。
「…悪いか?」
「悪いってことは無いよ!泊まりに来いって誰に言われたのさ?もしやナチュレ?」
「お前の女神んとこ」
実際、パルテナに招待されたことをピットに伝えるだけ伝える。
その時のピットの表情はいかにも喜んでる場合では無い…それ以上。
「部屋はどうする?やっぱ、ブラピと一緒がいいから一緒の部屋でもいいよね?」
「イヤに決まってんだろ!断じて断る!」
オレがキッパリと拒否るとピットは悲しげな顔となっていた。
そんな顔されちゃこっちが困るだろうが…。
「あーもうわかった。好きにしろ!」
「ホントに!!?」
「顔近いんだが…」
「あ、ゴメンね…」
ブラピの手を取ったボクは一緒に何しようかと廊下をうろつき回っていた。ここ神殿内は非常に広いため、迷子には……なりやすい。そんな時はパルテナに頼むのが一つの助け。
渡り廊下をブラピと歩いてる時、偶然会ってしまった。
「ブラピ、来てくださったのですね。」
「ま、まあな…」
「やっぱりそうだったんだ。パルテナ様がブラピを…?」
「えぇ。何となく、ブラピを招待したくなったものですから…」
おい待て…?何となくってなんだよ、“何となく”って!!
「パルテナ様、まさか適当にオレを呼んだんじゃねぇだろうな?わざわざピットに懐いて欲しいってだけで…そうなんだろ?」
「そんなことは──ッ!!」
「ないですよ?あるわけないじゃないですか。」
「あの…パルテナ様?目が泳いでますが…」
結局はピットのために、オレを呼んだというわけか。
本当に何がしたいんだよ…女神の野郎。
「あらもうこんな時間…!私は用があるので一時、留守になりますが…ピット、ブラピのこと、あとは頼みましたよ?」
「任せてください!パルテナ様!」
「(面倒事に巻き込まれないといいが…)」
パルテナを見送った際、ピットとブラピの2人だけがエンジェランドに取り残された。ということは──騒ぎの時間と言っていい、ピットはこれから何しようか?と最初の言葉がソレ。ブラピは困惑しながら何もすることがないと適当に返答。
「射撃場はどう?あ、それか乗る?ビートルに」
「…帰りてぇ」
「帰るのはまだ早いよ!パルテナ様に黙ってブラピを帰らせるわけにはいかないし…」
「なら何かあるのかよ?オレは帰る。あばよ!」
「あ、コラ!!帰らせてたまるかっ!」
「は?おい…離しやがれ!!このッ…!」
只今の状況、ピットに両手を掴まれ、身動きが取れない状態。これにはイカロスたちに恥ずかしい姿がバレバレになるのでは無いかと…
「チッ…」
「諦めて、くれた?キミが居なくなったらボク、今頃一人ぼっちだったよ…」
「1人じゃ何も出来ないってわけじゃないだろ?」
「その通りだけど…何にせよ、ブラピがいないと寂しいよ!ボク…」
「そんな弱虫でこの先、どうやって生きていくつもりだ?オレだって生きてる…必死に生きて…コピーとしてじゃなくてな。」
「ブラピ…」
そのあとのこと、外はもう真っ暗な夜。今日の晩飯は寒い中、温まる「おでん」という名物をご馳走になった。その時にパルテナも帰宅して…3人で食事をとり、温泉にも二人同時で入った。正直、1人で入りたかったという思いを脳内に叩きつけるブラピ。ピットはむしろ、彼と入浴できて嬉しそうだった。
もし、ピットじゃなく、他の女だったらオレは確実に引いていた。こんなヤツと入ればろくな事がない。パルテナみたいに。
「ふぅ…あったまった?ブラピ」
「十分な程にな」
「そっか。」
そんな何気ない会話も悪くない。今日は本当に楽しかったというか、退屈な日々だった。2人部屋…プライベートルームとも言うが、寝る時にコイツのデッケェいびきや寝癖がヤバいのは…オレしか知らないだろう。パルテナもこっそり部屋を覗き見しているのも頷ける。果たして本当に覗き見なんかしてるのかどうかは誰にも分からない。知る由もない。
「ねぇ、ブラピ。」
「?…」
「また合宿、しようよ?今度は自然軍のみんなも入れてさ!」
「……断る。」
「あ、やっぱり?」
「当たり前だろ。もうお前とは一生、泊まらん。泊まる気もない」
「え……」
なんだよその顔…「ボク、泣いちゃうよ?」的なわざとらしい泣き顔は。
「それわざとだろ?」
「あ、バレた?」
「さっきのは…冗談だ。」
「また来てやってもいい……お前が良かったら、だけどな?勘違いするなよ?また来るって断言したつもりじゃないからな?」
「分かってるよ。でも…」
最後に受け取った言葉は──「また来てよ!」
その言葉にオレは…居場所を、この目で見つけた気がする。
オレの勘違いなら…これは…なんだ?