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その後、しばらくは何も変わらない日常が続いた。
でも、俺の心の中では、なんかがずっと引っかかっていた。
まりあが手をつないできたこと、それから、俺の袖を握ってきたこと──。
あれ、ただの「お試し恋愛」なら、こんな感情、湧くはずないんだよな。
なのに、気づけば俺も――
あいつのことを考えてる自分がいる。
それが、嫌じゃない。
むしろ、あいつが笑ってるのを見たり、困ってる顔を見たりすると、胸がドキドキして、目を離せなくなってきた。
でも、そんな気持ちを認めたくなかった。
だって、俺は――
「李斗?」
突然、まりあの声が響いた。
振り返ると、まりあが少し顔を赤らめながら、じっと見つめている。
「な、なんだよ。」
俺は思わず少し焦って顔をそらす。
まりあが歩み寄ってきて、少し間を空けて言った。
「……ねぇ、私、今、本当に思ってるんだけど。」
「なんだよ?」
まりあは深呼吸をしてから、真剣な顔で言った。
「“お試し恋愛”って言ってたけど、私、もうそれじゃなくて……本当のことを言うと、李斗が好き。」
その言葉に、俺の心臓が一瞬で跳ね上がる。
「え?」
「だって、李斗と一緒にいると、楽しくて、心があったかくて……すごくドキドキするし、他の人といる時と全然違うから。」
まりあは、恥ずかしそうに目を伏せて言った。
「だから、これが本当の恋なんだって、思った。」
その言葉が俺の心に響いて、しばらく言葉を失った。
まりあが自分の気持ちをこうやって伝えてくれるなんて、思ってもみなかった。
でも、俺は──
「……俺も、そんなんだ。」
突然、口からその言葉が出てきて、俺は目を見開いた。
「え?」
まりあが驚いて俺を見上げる。
「俺だって、お前が好きだよ。」
その一言が、なんだかものすごく重く感じた。
でも、間違いなく、俺の本当の気持ちだ。
「ただ、今までそれを認めたくなかっただけ。」
「李斗……。」
まりあは言葉を失い、ただ黙って俺の顔を見つめていた。
しばらくして、彼女はほんのりと笑って、もう一度言った。
「ありがとう。」
その笑顔が、僕の心を完全に奪った。
何かが変わった瞬間だった。
もう、俺はお前を離したくない。
その気持ちが、確かにここにある──。