それは数年前の夏に出会った存在。あの夏に起きたことをこれから先忘れることはないだろう。
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(青金視点)
静かな教室にカツカツとなるチョークの音。
周りを見渡すと俺と同じように憂鬱そうな顔をして授業を受けている。
今は6限目だから一般生徒はもうすぐ下校時刻だ。ただ…
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…
「じゃあ、授業終わりの号令を」
『起立、気おつけ、礼』
ありがとうございました
Na「あれ?きんときまた生徒会活動?」
『そうなんだよな〜、こんな暑い中冷房が効きにくい部屋で資料整理とか終わってるだろ…』
Na「あはは……御愁傷様〜!」
『コイツ…!』
此奴は中村祐希(なかむらゆうき)。中学生の頃からの幼馴染で渾名はnakamu。
Na「ま、俺は冷房の効いた自分の部屋でゲームしてるから〜」
『お前絶対ボコしてやる!』
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『よっしゃ、あとはこれを運ぶだけ…』
夕焼けの光が差し込む静かな校内で独り。
会長、副会長は先生に呼ばれ、一人は早退、もう一人はサボりとメンバーが抜けていいて最終的には俺一人になってしまった。
『ちょっと資料多いかもな,』
そんなことを思いながら廊下を歩いていると、何かに躓き転んでしまった。
『うわっ!』
ドスン!
『いってて、ってあ!やっちゃった!』
転んだ拍子にばら撒いてしまった資料を見て俺は絶望を感じながら集めようとした。
?「あれっ!」
不意に背後から声が聞こえ振り返ると、
須磨「青金じゃん!どうしたの?そんな死んだ魚のような目して。」
此奴は須磨紫音(すましおん)。高校からの同級生で,,その,,俺の好きな人でもある。
『いやその,,,転んで資料バラ撒けちゃって。これ明日使うのに』
須磨「じゃあ俺手伝うよ。この量だと大変でしょ?」
『えっ?いいの?じゃあお願い!』
二人で集めたからか、それとも雑談をしながら集めたからか。
時間が過ぎるのが早いように感じた。
『集めるの手伝ってくれてありがと!』
須磨「いいってことよ!それよりも早く行っておいで?俺帰るし、もうこんな時間だよ?」
そう言われ近くの時計をみるともうすぐ16:00に。
『うっわ!もうこんな時間!?じゃあね!また明日!』
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『あっち~………』
生徒会本部役員の活動で、とっくに過ぎた下校時刻。
アスファルトの上に陽炎が立ち昇っており、蝉の鳴き声が谺する中、何処からか涼しい微風が木の葉を揺らしていた。
ふと、何か違和感を覚え振り返ると、今までの道が消え、山道が繋がっていた。
『,,,,,っは?』
突然のことで俺は困惑した。
『,えっ俺さっきまで』
鬱蒼と茂る木々に恐怖を抱きながら俺は一歩を踏み出した。
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