テラーノベル
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つ🅰️×🍱🦖です。
nmmnが分からないお方は見ないでください。
この世の全てに関係ないです。
視点主はずっと🍱🦖です。
人数が多いので誰がどれを喋っているかわからないかもしれません。
あと無駄にちょびっと長いです。
1万字くらいあります。
気温はぬるく、空は真っ暗。
あまり外に出たくない組み合わせ。
だが僕は今、外で人を待っている。
いつもとは違う服を着て。
「早く来すぎちゃった、かも…」
楽しみにしすぎて待ち合わせ時間の1時間前に来てしまった。
そんな僕の周りはがやがやと人が沢山行き交っている。
空はくらいのに僕の目の前は煌びやかだ。
それもそのはず、今日は夏祭り。
みんな家族や友達、恋人と来て楽しんでいる。
そして、僕はぽつんと1人…。
「みんなと遊べるからって急いじゃったよぉ」
がくっ、と肩を落とす。
完全に暇だ。
1時間ここで待機しなきゃいけないの?
無理無理、と首を振って足を動かす。
先に楽しんでてやろう、一人でいるのは寂しいがしょうがない。
みんなが来たら僕がちょっとだけ案内できるようにするか…と思いながら騒がしい人混みの中へと足を進める。
「どこいこっかなぁ」
「…ん?あれ、テツぅ?」
「ぇっあっ、ウェンくん!!」
屋台に行ったりして楽しんでた際にたまたま待ち合わせ場所を通りかかるとそこに突っ立っていたテツをみかける。
先程まで顔を澄ませてクールな風貌だったのに僕を見た瞬間ぱあっと笑顔になる。
黙ってたらかっこいいのになあ、と思いながらも優越感はある。
そんな彼はすぐ近くによってきたが僕の持ち物を見て絶句する。
「うぇっ、ウェンくんもしかして…」
「………てへ」
「先に楽しんでたのぉ!?!?ひどい!!!」
「一緒に回ろうって言ったじゃん!!!」
僕の肩を掴み大声で責めるテツに目を逸らす。
当の彼は少し涙目だ。
どんだけ楽しみにしてたんだあ?こいつぅ。
まだ集合時間の30分前だぞ…?
人のこと言えやしないがテツもなかなかだと思う。
そう思っている間もずっと騒いでるのでテツの手を取り歩き始める。
「じゃあみんながくるまで二人で回ろっか」
「えっ」
「つまりそれは夏祭りデートってやつ…?」
提案した瞬間声が小さくなる。
落差がすごいなあと思いながらそのまま歩む。
周りをすごいキョロキョロしながら歩くテツについふはっ、と笑ってしまう。
「なあに?悪いことでもしたの?」
「いや…ウェンくんとデートって、みんなにすごい怒られそうだなって…」
「えぇ?なんで?ただのデートじゃん」
「みんなしたいのに俺だけ…いや嬉しいな?」
こいつの言っていることはよく分からないが今回も全く分からなかった。
なんの話をしてるんだろうなあ、テツって。
別に出かけるくらいいつでもいいのに。
でもまあこんなに幸せオーラ全開にしてるテツはかわいらしいのでこのままにしておこう。
「いやぁ、テツってば金魚すくい下手だねぇ」
「俺は誰も…救えなかった……」
「はははははっ!」
がっくりと膝を着くテツにケラケラと笑う。
まさか5回やって1匹も救えないとは。
あそこまで下手なのはなかなかないだろう。
腹を抱えて笑っていると後ろから声が聞こえる。
「……は?」
「ははは………うん、?」
「あれ、カゲツきゅん」
後ろを振り向くと呆然としたカゲツが立っていた。
なんで彼が待ち合わせ場所でもないここに居るのだろうか、と疑問に思い首を傾げる。
だがそんなことを気にとめず彼はこちらを凝視している。
少し不機嫌そうだ。
さらに首を傾げているとテツが震え出した。
「あっ、かっ、カゲツ、くん…」
「……」
足音を立てないままテツの近くまで歩み寄るカゲツ。
その姿をふるふると震えながら見るテツ。
いや、はよ立てよ。
絵面凄いんだけど?
「なあ、抜け駆け、したん?」
「いやっ、これはさっ、深い事情が」
「抜け駆け、したんやろ?」
「……すいませんでした」
彼は少し離れてる僕でもわかるくらい圧をかけながらテツに問いかける。
なんであんな怒ってんのカゲツきゅんてば。
言い訳しようとしたテツもその圧に押し負け体勢を土下座に変え謝罪をする。
それを見下すカゲツ…絵面やっぱ凄いって。
流石に周りの目線が気になるので止めにかかる。
「どうしたのぉ?」
「怒ってる?」
「……あかぎぃ」
圧がどこかへ消えていき僕のことを困り眉で見てくるカゲツ。
怒っては無い、みたい…?
テツは土下座したままだし、どうしたのかとそのままカゲツの話の続きを待つ。
「なあ、ぼくともまわろうや、夏祭り」
「え?うん、いいけど…なんでテツ…」
「ほんま?ほなはよいこ!」
「いや、テツは、」
「どこ行こかなあ」
普通なことを提案され拍子抜けしながらも了承をする。
が、テツのことを聞こうとすると言葉で塞がれる。
困惑しながらもカゲツに手を取られそのまま引っ張られながら歩く。
テツは僕たちの数歩後ろでしょぼんとしながら歩いていた。
あ、そういえば…。
「集合場所違ったのになんであそこにいたの?」
「ん?あぁ、ちょっとした用事があってん」
「終わったから集合場所行こうと近道通ったらあかぎがおった」
「なるほどねえ」
だからいるはずのない場所にいた僕らにびっくりしてたのか。
怒ってた理由は聞こうとすると絶対はぐらかされるので何も言わないでおこう。
ただやっぱり嬉しそうな雰囲気のカゲツがかわいらしく思えたので手を握り返して隣を歩く。
「カゲツくんくっそ射的上手くね?」
「せやろ、ぼくの得意分野や」
「このぬいぐるみかわいらしっ!」
「あ、それあかぎにあげるわ」
「よっしゃあー!」
テツの褒めにどや、と胸を張るカゲツ。
射的で全ての弾を命中させておりすごい才能を見た。
僕が今もっているぬいぐるみもカゲツがゲットした景品の一つだ。
いつの間にかテツの機嫌も治っていてカゲツと仲良さそうに話している。
いやあ、それにしてもテツの金魚すくいを見たあとだと温度差すごいなあ。
「……、誰か来る」
「え、なに!?てか今の忍者っぽいな!!」
彼の職業を忘れたのか頭空っぽなのかしらないが感激するテツ。
そうこうしているとカゲツの言った通りこちらに誰かが向かってくる音がする。
そちらの方を見ると黄緑がアクセントな髪の彼を見つける。
「あっ、いなみそじゃぁん!」
「やっぱ先に回ってたか」
「ありゃ、ばれてたあ」
声をかけるとハァ、とため息をつきながら近くまで寄ってくる。
まさかの予想されていた。
なんでバレたんだろ、まあいっか。
そんなことをぽやーっと思っていると彼がこちらを見ている。
なんかしただろうかと少し姿勢をただす。
そんな僕を見てふっ、と笑う彼は僕の手を取り握る。
「ウェン」
「う、うん」
「その浴衣、すごく似合ってる」
「かわいいね」
「まあウェンは何着ても似合うんだけど」
「ぇ、あっ、そ、そう…?」
「うん、つい見惚れちゃった」
「………………………そ、っかぁ…」
べた褒めしてくる彼に頭がパンクしそうだ。
言葉が出なくなってしまった。
くそ、僕が褒められると照れちゃうってことちゃんと知ってるくせに!
顔が熱くなる気配を感じ俯いていてしまう。
彼の顔を盗み見するが彼の目はすごく優しくて更に恥ずかしくなった。
何も言えなくなった僕を見てふたりが声を上げる。
「おいごら!あかぎにセクハラすんな!」
「なにカレカノみたいな会話しちゃってんの!?」
「え?カレカノに見えたってこと?」
「いなみうざい!!!」
ギャンギャンと吠える2人ににこやかな笑顔で躱すライ。
その余裕っぷりにカゲツが威嚇をする。
テツは俯いたままの僕を見てライに握られていた僕の手を振り払う。
「手を握るだけじゃ飽き足らずウェンくんを照れさせるなんて…」
「自分でもわかってんだから言うなよぉ…」
他人からそう言われると更に恥ずかしくなる。
褒められただけなのにこんなになってしまう自分が嫌だ。
早く熱よ収まれー!!っと思いながら頬を手で抑える。
うぅ~と唸っていると3人がこちらを見ているのに気がつく。
「なっ、なんなの…なに?」
「いや…可愛ええなと思って」
「はあ!?」
神妙な顔をしていたカゲツがこちらの目をまっすぐ見てそう言ってくる。
その言葉に盛大に動揺してしまう。
様子を見ていた2人も各々の感想を言ってきた。
「やっぱウェンって魅力的だなあ」
「今の仕草凄い胸がキュンってなった」
「っ、うるさいなあ!?頭熱くなりすぎて壊れちゃったんじゃない!?」
耐えきれず彼らに喚く。
たまにみんながこうやって褒めてくるのは心臓に悪い。
絶対反応を見て楽しんでるだろ。
こっちは気が気じゃないって言うのに。
早く話題を変えようと思いライに問う。
「…ほかのみんなは」
「マナとリトには会ったよ」
「2人は集合場所で待機中」
「じゃああとタコとおおかみか」
4人の現状を聞くとすぐに答えてくれる。
どうやら東のふたりは来たようだ。
そうするとライはなぜ集合場所に待機してなかったんだ?
「いーなーみーはこっちまで来たんだ」
「先に回ってるヤツいそうだなって」
「ライくん分かり手すぎる」
まあこんな人数いたら誰か一人くらいは先に回ってるってなるよねぇ。
実際そうだし。
それにしても集合時間になったのにまだ来てないるべしょーとロウきゅんはなにしてんだぁ?
…いや、集合場所にいない僕たちも僕たちだけどね。
しかしこれ以上マナとリトを待たせる訳には行かない、と3人に呼びかける。
「じゃあ集合場所行くかあ」
「そうだね」
その呼び掛けにテツはすぐに返事を返す。
ライも頷いたがその直後に何か閃いたと言わんばかりの表情を見せる。
「あっ、俺ウェンの隣行っていい?」
「2人と違って長い時間居られてないからさ」
「は?なんやと?やるんか?」
「え~?いいでしょ?ね、ウェン」
「え?あ、うん、そうだね?」
「サラッと隣に行ったぞ…スマートすぎる…」
先頭を歩いていた居たので会話はよく聞いてなかったが急にライに問いかけられ適当に頷く。
足を早めて僕の隣まで来たライはにこりとこちらに微笑みかけ手を繋いでくる。
その姿に思わずテツがぽそりと呟いていた。
いやでも、いなみそってほんと男前だよなあ…。
と、素直に感心をする。
顔はかわいらしいんだけどな、まあそれもギャップ萌えってやつだよなあ。
「あ、いたあ」
集合場所まで行くと2人で楽しそうに会話してるマナとリトの姿が視界に入る。
そんな様子に声をかけてみるとマナはこちらを振り返り笑顔で駆け寄ってきた。
リトは顎に手を当て少し考えた様子を見せたあとこちらにニヤニヤしながらと近づいてくる。
「みんなおったぁ!」
「ライ行かせて正解やわ」
「ちゃんと連れてきましたよ、と」
「ほんま先行きよって…」
「ごめんねぇマナくぅん…」
ライの言葉を受け取るとマナはぷんぷんと頬を膨らませジト、とこちらを見る。
あからさまな表情だがテツは少し罪悪感があったのかぺしょりと見えない耳を垂れさせ謝罪の言葉を口にする。
その会話を聞いているとリトが近くまで来ていた。
彼を見上げ言葉を待っていると急に肩を組んでくる。
「うわ、なんだよ重いな」
「おいこらクソガキ」
「んはは、んで、どしたの?」
「いやぁ?なんかデート楽しんでたみたいじゃん?」
「はあ…」
こちらを揶揄うような表情をしながらデートという言葉を強調する。
何が言いたいんだ、と少し睨むと彼は僕に顔を寄せ耳元で囁く。
「後で俺ともデートしようぜ」
「2人っきりで、恋人のごとく」
「っ、!」
「きゅ、急に耳元で囁くなこのクソゴリラ!!」
「今ゴリラっつったか!?」
「おいあかぎ虐めとんのか宇佐美ィ!」
無駄にいい声で喋りやがって。
その声僕の声だったってことにならないわけ??
てゆーか恋人ってなんだよ!
なんでそんな例えでデート行こうとするの?
調子が狂うだろうが!!!
そのような恨みを込めて盛大に睨むと彼はニワトリのような笑い声で腹を抱える。
カゲツは僕の味方なのでリトの周りをうろちょろしながらあかぎをいじめんな!と騒いでいた。
「あ、ウェン~!」
「…ゎっ、マナ」
リトを睨み続けているとマナが話しかけてくる。
その声に驚きつつも名前を呼び返す。
彼は僕の姿を頭のてっぺんから足の爪先までまじまじと見た後に目を輝かせ興奮気味に僕に語りかける。
「いやぁ、ウェンの浴衣姿もええなあ!」
「でしょぉ?かわいらしくない?」
「おん!めっちゃかわいいわ!」
「綺麗な柄でウェンにごっすい似合っとる!」
「ウェンとかいう元の素材の良さも活かされとんね」
「…うん」
「いやもうほんまかわええな」
「写真撮ってもええか?」
「…………………ぃー、けど?」
彼のマシンガンの如く発せられる褒め言葉にはずっと慣れない。
本当に思っていることを言ってくれるのだ。
その素直な言葉に照れないことなんてできるのだろうか。
なんだかすごく悔しくなってしまい唇を尖らせていると連写の音が聞こえる。
その音の正体であろう彼を少しだけ睨みつける。
「……撮りすぎね」
「ごめんほんまにウェンの表情良すぎて」
「かわいいかよ」
「………………そろそろ屋台いくかぁ~~」
「ふっ、せやな?」
一生褒めてくる彼を止められない。
これ以上やられると本当に死にそうなので下手な話題逸らしをする。
そんな僕の言葉に愛おしそうな顔で笑いながら賛同してくれ、みんなに呼びかけてくれる。
「ほなみんな行くでぇ」
その言葉に各々返事を返す。
さて行くぞ、と他の4人が歩き始めたタイミングでリトに話しかけられる。
「ウェン、手」
「……ん?」
「繋ぐぞ」
「はにゃ?」
先程までカゲツと戯れていたリトがこちらまで来て手を差し伸べてくる。
意味がわからず彼の顔を見上げて首を傾げる。
リトってこういう時手を繋ぐタイプなのか?
「いや、お前すぐフラフラすんじゃん?」
「繋いでやらないと迷子になるよな?」
「…は?」
ニヤッと口角を上げるリト。
煽られていることを察知し彼を睨みつける。
差し伸べられたままの手を勢いよく叩く。
そうしたらリトも痛かったのかそのまま手を引っ込めた。
その様子を見て少しスッキリした僕は彼に舌を出してみんなに追いつこうと歩みを進める。
「リトは無駄にでかいから迷子になんないだけだしみんなが迷子になってんだかんね」
「無駄にでかいっつったか?」
がさがさと音を立てながら前へと進んでいく。
そうしていくと神社が目の前に現れた。
その神社へと近づき賽銭箱に5円を入れ合掌をする。
数秒立ったら顔を上げそのまま近くの神社の階段に座り込む。
ふぅ、と息を吐き周りを見渡す。
「どこだよここぉ」
拗ねた声が口から漏れ出す。
何度周りを見たって木ばっかりだ。
遠くからはガヤガヤと人の声が聞こえる。
それなのに祭りまで続く道が見当たらない。
もはや全てが行き止まりだ。
雰囲気がホラーゲームのそれで少し怖くなってきた。
「みんなどこいったんだよぉ」
自分の口から出る他責発言に誰も突っ込んでくれない。
さみしいよ~、誰か喋ってよぉ~。
そもそも僕から離れるみんなが悪いんじゃん。
きちんと集団で行っていたはずなのに気がついたら周りが知らない人ばっかでみんながいなかった。
合流しようと思って歩き続けていたが見つからず…。
人混みの中にいるのも疲れてしまい少し離れたところで休憩しようかと木の近くまで来たのだ。
そしたら変な道を見つけて…その道辿ってたらいつの間にか木に囲まれてて…。
出ようと思ってさらに歩いていたらいつのまにか彷徨っていた。
僕もう二度と帰れないかも…。
その考えが頭に浮かび青ざめる。
「えぇ~ん、それはやだよぅ」
ぺしょぺしょとした腑抜けた声が口からまろびでる。
いくら泣き真似をしたって意味は無いのだが。
ほんとにすごく心細くなってしまい、彼の名前を呼ぶ。
配信で迷子になった際にずっと呼んでいる名前を。
ほとんど無意識なのだが。
「ぇ~ん、たすけてロウきゅ~ん…」
「ロウきゅんって呼ぶな」
「ぅえっ…、?」
自分の声にあるはずのない返事があったことに驚く。
咄嗟に顔を上げるといつのまにか目の前にロウがいて、こちらを呆れるような顔で見ていた。
名前は呼んだがまさか本当に来るとは。
些かタイミングが良すぎやしないか?
彼は僕がこちらを向いたのを確認したあと近くへと寄ってくる。
「なにしてんのここで」
「そっ、れは僕のセリフなんだけど!?」
「もう祭り始まってんだわ!遅れやがってさあ!」
「その言葉が出るまじか」
ぶっきらぼうな心配した声色を聞き少しいじらしくなり彼を責める言葉を声に出す。
そんな僕に彼は呆れながらも、はっ!と笑い隣に腰掛けてくる。
「ちょっと厄介事片付けてたんだよ」
「んで終わったし行こうと思ったら変なとこからウェンの匂いがしてさ」
「えぇ?わんころじゃん…」
「狼じゃいボケゴレィ」
僕の方があとに質問したのにすぐに答えてくれる。
ただし匂いの話をしだしたので確実に犬だなと思った。
匂いを辿ってここまで来たのか…。
てかそれって僕のこと好きじゃん?
そのまま祭りの方まで行けばいいのに僕のとこまで来ちゃってさ。
ほんと優しいなこいつ。
「ウェンは?」
「冒険してたらいつのまにか」
「え、アホじゃね?」
「うるさいねぇこいつ」
正直に言ってやったのにバカにしやがった。
やっぱ優しくない。
不服ですよ、と言わんばかりに頬をふくらませる。
彼はそんな僕に笑い、頬に指を突き刺す。
そのまま膨れ上がった頬を押すと口からぷすー、と空気の抜ける音が聞こえる。
彼はその音にまた声を上げて笑った。
「やーめーろー!」
「はっ!やーめーろー?」
「真似すんなよ!」
僕を弄っては楽しそうに笑う彼に腹が立つ。
ふん、と顔を背けてやる。
もう顔なんか見てやるものか。
全身で拗ねを表現していると彼のご機嫌取りの声が聞こえてくる。
「すまんって」
「ウェンおもろいから」
「それがヤダなの!」
しゃーーっと威嚇するように肩を跳ね上げる。
彼の方を向き睨みつける。
そんな僕にすまんすまん、と言いながら頭を撫でてくる。
彼は酷く優しい顔をしていたたまれなくなってしまう。
「もう、こやロウ僕のこと好きすぎね?」
確実に彼を茶化す言葉だった。
にやにや、と煽るような視線を彼に向け、揶揄うような声色だった。
だからその言葉を聞いた彼がさらに甘い顔をしてくるとは思ってなかった。
「あ、ようやく理解したんか」
「……ぇ、?」
その返答は確実に予想外だった。
思わぬ言葉につい後ずさりをしてしまう。
その僕の行動に彼が見逃すわけもなく、後ろに下がった分の距離はすぐ埋められてしまった。
一連の流れに、これは友達としてのやつではないんじゃないか、という結論になってしまう。
彼の期待するような目に何も言えなくなる。
「え、と…あの、それって」
「なぁにいい雰囲気醸し出してんのさ!!」
「うわぁーーーーっっ!?!?!?」
彼に本当の意味を問おうと声をかけた瞬間別の声が聞こえてくる。
急に聞こえたので驚きで少し体が跳ね、大声を出す。
拗ねたような声色の正体を探すと案外早く見つかった。
僕とロウの近くに立っており、僕らの距離が近いのが気になるのかすぐに剥がしてきた。
「る、べしょー、?」
「お前さあ、空気くらい読めよ」
「読んだ結果なんだわ」
「あのまま行かせるわけないじゃん、抜け駆け?」
困惑している僕を放っぽって二人は睨み合う。
その様子に僕はただ一人で疑問符を浮かべることしか出来なかった。
ただなんとなくこのまま放置しておくと絶対喧嘩になるな、と第六感が知らせる。
僕のいないとこならどうぞご自由にだが今は僕がいるのでそれは困る。
急いで話題を逸らそうと今この場にした星導に話しかける。
「いや、なんでこんなとこにいんのさ!?」
「ニキがここにいるなぁ~って直感!」
「僕のこと好きすぎでしょ」
「逆にキモイかも」
「星導は裏でも表でもキモイぞ」
「ひどくない?」
彼のいつもの虚言のような発言をに聞き思ったことをそのまま口に出す。
茶化しはしたが、るべなら本当にそんなことがありそうだな、とぼんやりと思う。
当の彼は僕らの罵声に泣き真似をしているが。
「てか今祭りじゃなかったですっけ?」
「あーっ、と…」
「こいつが迷った」
「おいなんで言うんだよ!」
尋ねる星導になんとなく誤魔化そうとしたがすぐに真相を伝えるロウに邪魔されてしまう。
彼にぎゃんぎゃんと喚くが彼は耳を手で塞ぎ知ったこっちゃないと言わんばかりの態度だ。
じとりと彼を睨む。
そんな僕の態度にきょとり、とした星導はこちらの顔を覗き込む。
「ニキ、迷っちゃったの?」
「なあんだ、それなら最初から俺の名前を呼んでくれたらいいのに」
「はにゃ?」
にぱっ、と笑顔になる彼に困惑を示す。
自分のオトモを近くに呼び寄せ何やら伝達をしている様子で僕は1人で星導の発言の意味を考えることになった。
なんでるべしょーの名前を呼んだら良かったの?
てか声が届くの?
悶々と思考を巡らせていると彼はなにやら準備が終わったのかこちらに振り返る。
「ほら、みんなのとこに集合しますよ」
「……は?」
何を言っているんだこいつは。
突拍子のない彼の言葉に疑いの目でみる。
隣にいるロウはあまり気にしていないようだ。
「いや、何言って…」
「ほら、早く俺の手を掴んでください」
「だからどういうことなの!?」
「ウェン、大人しくしろ」
こちらに手を差し伸べる星導にやはり意味がわからずその場で騒ぐ。
そんな僕に痺れを切らしたのか何故かロウがヴィランのようなセリフを言い僕を引きずる。
「えっ、ちょっ」
僕の困惑の声を無視し、星導の手を無理やり握らせ、自分は僕と手を繋ぎ星導に目配せをする。
星導はその合図にふわりと笑みを浮かべ、僕に声をかける。
何故か周りが明るくなっており、浮くような感覚を覚える。
「目、瞑っといた方がいいよ」
彼の言葉に僕はすぐに目を閉じ、不思議な感覚に身を委ねる。
これで変なことが怒ったら絶対に2人を殴る。
そう誓った。
「どぅわぁ!?ウェンくん!?!?」
「え、ウェン!?って、るべとロウもおるやん!」
なにやら聞き覚えがある音の割れてそうな大声に目を開ける。
先程まで目を瞑っていたので周りの明るさについ目がやられ暫くしぱしぱとする。
彼の声に一番に反応したマナが横のふたりにも驚きの声を上げる。
どうやらここは、祭り会場で、他のメンバー全員がいるらしい。
みんな急に現れた僕たちにびっくりしている。
「うえ……、な、なに?みんないる…」
かくいう僕もびっくりだ。
まさかあの不思議な感覚はワープかなにかなのか?
そんな困惑する僕を置いて、カゲツとライは2人に声をかける。
「また転移の術使ったろお前」
「お前らがウェン連れてったわけー?」
「いやあ、ニキが迷子だったんで」
「誘拐なんてしてねえよ」
じと、と2人をみるカゲツとライに少し笑う。
そんな僕に声をかけてくるのはOriensの3人だ。
迷子になった僕を探していたのだろうか。
その顔には安堵の色が浮かんでいる。
「お前ほんま何やっとんねん!」
「生きた心地しなかったよ…」
「だから手繋いでやるっつったのに」
「う゛……ご、ごめん…」
マナには怒られテツには心配されリトには呆れられて…、ついついしょぼくれてしまう。
目を逸らし気まずそうに謝る僕に3人は目を合わせ笑う。
そうして僕の頭を撫でながらリトは言う。
「まあ無事ならいいんだよ」
「りと…」
彼の言葉に僕は目線を上げ彼を見る。
その表情は凄く優しく、さらに申し訳ない気持ちが出てくる。
そんな僕らの雰囲気を見ていた星導が騒ぎだす。
「あ!てかニキ!」
「っえ、なに?」
ずい!とこちらに近寄る星導に背を曲げ顔を離す。
その目には期待が含まれており、困惑を浮かべる。
彼は僕の両手をとり、自信満々に言う。
「俺、ニキのピンチ助けた訳じゃないですか」
「あーうん、そうだね?ありがとう」
「どういたしまして、んでそれなりのお礼が欲しいんだよ」
自分に恩があると主張する彼についジト目になる。
何させられるんだ僕は…。
口を噤み、彼の言葉を待つ。
そんな僕に彼は笑顔で告げる。
「るべしょー大好き♡くらいは言ってくれてもいいんじゃない?」
「…………………は?」
きょとん、となる。
彼はにこにことした笑顔で僕の答えを待っている。
その間僕の頭はショートを起こすくらい稼働する。
るべしょー大好き?大好き…?
言わなきゃダメなの?大好きを?
結論は無理、だ。
僕はこういう系の愛の言葉を上手く言えない。
ノリなら言えるかもしれないが、こういう場面では少し恥ずかしがってしまう。
断ろう、と口を開こうとするがその前に他のメンツから待った!がかかった。
「あかぎに何言わせようとしとんねん!」
「星導だけずるいやろ!絶対あかん!」
「許すわけねえだろうが馬鹿が」
「ウェンくんに何言わせようとしてんの!?」
「がち星導お前、殴られたいの?」
「るべ~?見逃すと思ってんのか?」
一気に騒がしくなる他のメンツに、星導はゲ、という顔になり、僕から手を離す。
星導は今すぐに手を出そうとするロウ、ライ、リトから逃げようと少し距離をとる。
みんなの発言にまたきょとん、となった僕は近くの3人に振り向き説明を求めようとする。
が、3人は全員綺麗な笑顔を浮かべ、話を逸らそうとした。
「ほな、祭り再開しますか」
「え、みんなは…」
「いやあ、ウェンくんと祭り嬉しすぎるな」
「いやいや、何言って…」
「タコは、もうおらんねん」
「るべしょー死ぬの!?」
カゲツの言葉に驚きながら、僕は手を引かれそのまま祭りへと歩みを進めた。
結局残り4人は後から合流したし、星導はなんかしょげてた。
まあ、祭りっていうのはハプニングも付き物だよな、と現実逃避をすることにしたのだった。
___ハプニングの原因は僕かもしれないのだが。
コメント
3件
口角が吹っ飛びました。akg愛されほんとに最高です。(*^^*)
えー、幸せでしたありがとうございました