テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

間違い

一覧ページ

「間違い」のメインビジュアル

間違い

1 - 間違い

♥

137

2025年09月12日

シェアするシェアする
報告する

 ︎︎ ︎︎


 黄 × 水



 水 主人公 .



 攻め受けとか特にないです 


 約 3000 文字あります 。



 地雷さん 🔙 推奨 .




























 「 ふぅ … この人も回収終わりっと 、 」



 回収した魂が天に昇っていくのを見届けて 、 水はリストを開く 。



 そこには沢山の人の名前が綴られている 。




 そう 。 水は “ 死神 ” ってやつだ 。


 死神 、 と言っても 、 邪悪なものではなく 、 毎日定められた人の魂を天に送るだけ 。


 「 次は ~ … ふむ 、 あの病院か 」


 そう独りごちて 、 水は翼を広げて空に舞い上がった 。








 「 え ー と … 8 1 2 … 8 1 2 … ぁ 、 ここだ 、 」


 水は 、 中の人が起きないように 、 そっと窓を開けて中に入る 。



 「 … 」



 そこには 、 顔色の悪い少年が 、 すや ヾ と寝息を立てていた 。



 「 んしょ … 」


 水は 、 寝ている彼を起こさないようにそっと魂を回収する 。


 彼の魂が少しずつ天に昇っていくのを見て 、 水は背を向ける 。


 … なんか速度が遅い気がしたけど 、 まぁ気の所為だよね 、 うん 。 ( フラグ )


 

 そして 、 再び窓から出ようとした瞬間 。




 『 え ー !! なにこれ 、 すご … っ !! 』



 「 … え ? 」


 彼の魂が喋った 。


 「 おぉ … !! 体めっちゃ軽い っ 、 !! 」


 … いやいや 、 おかしいでしょ 。


 リストに載っている魂は回収したら天に昇っていくはず 。


 「 まさか … っ 」


 水は慌ててリストを開いて確認する 。


 「 … やっぱり … 」


 回収する魂を間違えた 。


 水が回収する予定だった魂は 、 隣の病院の 8 1 2 号室の患者だったのだ 。



 「 そ 、 そこの君 ~ … ? 」


 『 ぅぇぇ … !! おに ~ さん空浮いてる っ !! 』


 「 … 浮いてるのは君もでしょ 、 」


 その様子がなんだか可愛くて 、 くす 、 と少し笑ってみせると 、 彼はは っ 、 としたように


 『 ほんまや … 』 


 と呟く 。



 『 … あの 、 それで 、 何か … ? 』


 「 ぁ 、 ぇ ー っ と 、 今直ぐに体に戻ってくれないかな … ? 


  回収してから暫くは体に戻れるからさ !!



  君もまだ死にたく ____ 」


 『 っ 嫌や !!! 』


 「 … え” 」



 『 だって 、 今の体は動けへんし 、 呼吸も苦しいもん … !!


  この状態やったら 、 自由に動けるし 、 呼吸も楽やし … っ  』


 「 でも … 君が戻らないと水が困るんだよ … 」


 


 死神の世界には 、 掟がある 。


 その掟を破った者は 、 この世から消えてしまう 。



 『 なんでおに ~ さんが困るん ? 』


 「 … 魂を回収し間違えたら消えちゃうから 、 かな 」


 『 おに ~ さんは消えるのが怖いん ?』


 彼の純粋な問い掛けに 、 水は小さく頷く 。


 「 うん 、 怖いよ 」


 魂を回収している水が言えたことではないだろうけれど 、 誰だって消えてしまうのは怖いだろう 。



 『 … じゃぁ 、 俺ちゃんと戻るから 、 おに ~ さんの仕事ちょっとだけ見せてや !! 』


 「 … えぇ … 別に面白くないよ ? 」


 『 ええの !! 』


 『 連れてってくれへんかったら俺絶対戻らへんから !!! 』


 時計を確認すると 、 夜明けまであと少し 。


 「 わ 、 わかったから !! はやくいこ っ ! 」


 水は諦めて 、 彼を連れていくことにした 。


 『 わ ー い !! やったぁ っ 』



 ふわふわと彼の魂が水の後をつける 。











 「 ふぅ … なんとか終わった … 」


 夜明けまであと少し 。水はなんとか今日の仕事を終わらせた 。



 『 ぉに ~ さん っ 、 め ~ ~ っ ちゃかっこよかった !! 』


 … あぁ 、 忘れてた 。



 「 ほら 、約束通り仕事見せたでしょ 、 

  はやく体に戻って ? 」


 『 … はぁぃ 、  』

 彼は渋々といった感じで病院へ戻る 。

 … 意外と素直なんやね ( ? )

 

 『 おに ~ さん 、 楽しかったよ 』

 「 そ 、 なら良かった 」

 『 明日も楽しみにしてるな っ 』

 そう言い残して 、 彼は自分の体に戻っていく 。

 

 「 … え” 、 明日も っ ?! 」

 

 それから暫く 、 水は彼と共に仕事をしていた 。

 こんな事をしているだなんて知られたら 、 水はきっと消えてしまう 。

 だけど 、 彼の反応はいつも新鮮で 、 楽しくて 。

 だめだとわかっているけれど 、 

 ” 今日だけ 。 “

 と言って 、 毎日彼を迎えに行く 。

 

 … だけど 、 最近 、 迎えに行く度に彼の顔色が段々悪くなっている 。

 段々声の元気もなくなっていって 、 最近は話しかけてもぼ ー っ としていることが増えた 。

 そんなある日 。

 「 … リスト … 」

 ある日 、 いつも通りリストに目を通していると 、 見覚えのある名前が目に入った 。

 「 え … 」

 間違いない 。 あの少年だ 。

 今度は病院も 、 病室も全く一緒 。

 「 … 」

 

 彼の病室に着くと 、 いつものように彼の体から魂を切り離す 。

 『 おに ~ さん 、 おそぃ …  』

 む 、 と拗ねたような声の彼はやはり元気がないようで 。

 「 ごめんごめん 、 」

 水は謝りながら 、 天に昇っていこうとする魂をしっかりと掴む 。

 『 おゎ … おに ~ さん 、 どうしたん ? 』

 「 ううん 、 なんでもない 、 さっさと行くよ 」

 



 『 おに ~ さん 、 今日の回収終わり ? 』

 「 … うん 」

 『 そっかぁ 、 じゃぁ 、 俺戻るな !!

  また明日 っ !! 』

 そう言って 、 少年の魂が体に戻っていく 。

 「 … 」

 これが 、 最期の仕事だ 。

 死神は 、 鎌を振り上げた 。

 そして 、 また ” 間違えた “ 。

 

 

 死神は 、 少年の魂ではなく 、 彼の体に纏わりつく病気を 、 ひとつ残らず刈り取ってしまったのだ 。

 少年の顔色が段々良くなっていく 。

 青白かった頬は微かに色付き 、

 苦しそうだった顔も 、 今は安らかな寝顔に変わっている 。

 

 死神は嬉しそうにその様子を微笑みながら眺める 。

 ____ そして 、 死神は消えた 。

loading

この作品はいかがでしたか?

137

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚