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黄 × 水
水 主人公 .
攻め受けとか特にないです
約 3000 文字あります 。
地雷さん 🔙 推奨 .
「 ふぅ … この人も回収終わりっと 、 」
回収した魂が天に昇っていくのを見届けて 、 水はリストを開く 。
そこには沢山の人の名前が綴られている 。
そう 。 水は “ 死神 ” ってやつだ 。
死神 、 と言っても 、 邪悪なものではなく 、 毎日定められた人の魂を天に送るだけ 。
「 次は ~ … ふむ 、 あの病院か 」
そう独りごちて 、 水は翼を広げて空に舞い上がった 。
「 え ー と … 8 1 2 … 8 1 2 … ぁ 、 ここだ 、 」
水は 、 中の人が起きないように 、 そっと窓を開けて中に入る 。
「 … 」
そこには 、 顔色の悪い少年が 、 すや ヾ と寝息を立てていた 。
「 んしょ … 」
水は 、 寝ている彼を起こさないようにそっと魂を回収する 。
彼の魂が少しずつ天に昇っていくのを見て 、 水は背を向ける 。
… なんか速度が遅い気がしたけど 、 まぁ気の所為だよね 、 うん 。 ( フラグ )
そして 、 再び窓から出ようとした瞬間 。
『 え ー !! なにこれ 、 すご … っ !! 』
「 … え ? 」
彼の魂が喋った 。
「 おぉ … !! 体めっちゃ軽い っ 、 !! 」
… いやいや 、 おかしいでしょ 。
リストに載っている魂は回収したら天に昇っていくはず 。
「 まさか … っ 」
水は慌ててリストを開いて確認する 。
「 … やっぱり … 」
回収する魂を間違えた 。
水が回収する予定だった魂は 、 隣の病院の 8 1 2 号室の患者だったのだ 。
「 そ 、 そこの君 ~ … ? 」
『 ぅぇぇ … !! おに ~ さん空浮いてる っ !! 』
「 … 浮いてるのは君もでしょ 、 」
その様子がなんだか可愛くて 、 くす 、 と少し笑ってみせると 、 彼はは っ 、 としたように
『 ほんまや … 』
と呟く 。
『 … あの 、 それで 、 何か … ? 』
「 ぁ 、 ぇ ー っ と 、 今直ぐに体に戻ってくれないかな … ?
回収してから暫くは体に戻れるからさ !!
君もまだ死にたく ____ 」
『 っ 嫌や !!! 』
「 … え” 」
『 だって 、 今の体は動けへんし 、 呼吸も苦しいもん … !!
この状態やったら 、 自由に動けるし 、 呼吸も楽やし … っ 』
「 でも … 君が戻らないと水が困るんだよ … 」
死神の世界には 、 掟がある 。
その掟を破った者は 、 この世から消えてしまう 。
『 なんでおに ~ さんが困るん ? 』
「 … 魂を回収し間違えたら消えちゃうから 、 かな 」
『 おに ~ さんは消えるのが怖いん ?』
彼の純粋な問い掛けに 、 水は小さく頷く 。
「 うん 、 怖いよ 」
魂を回収している水が言えたことではないだろうけれど 、 誰だって消えてしまうのは怖いだろう 。
『 … じゃぁ 、 俺ちゃんと戻るから 、 おに ~ さんの仕事ちょっとだけ見せてや !! 』
「 … えぇ … 別に面白くないよ ? 」
『 ええの !! 』
『 連れてってくれへんかったら俺絶対戻らへんから !!! 』
時計を確認すると 、 夜明けまであと少し 。
「 わ 、 わかったから !! はやくいこ っ ! 」
水は諦めて 、 彼を連れていくことにした 。
『 わ ー い !! やったぁ っ 』
ふわふわと彼の魂が水の後をつける 。
「 ふぅ … なんとか終わった … 」
夜明けまであと少し 。水はなんとか今日の仕事を終わらせた 。
『 ぉに ~ さん っ 、 め ~ ~ っ ちゃかっこよかった !! 』
… あぁ 、 忘れてた 。
「 ほら 、約束通り仕事見せたでしょ 、
はやく体に戻って ? 」
『 … はぁぃ 、 』
彼は渋々といった感じで病院へ戻る 。
… 意外と素直なんやね ( ? )
『 おに ~ さん 、 楽しかったよ 』
「 そ 、 なら良かった 」
『 明日も楽しみにしてるな っ 』
そう言い残して 、 彼は自分の体に戻っていく 。
「 … え” 、 明日も っ ?! 」
それから暫く 、 水は彼と共に仕事をしていた 。
こんな事をしているだなんて知られたら 、 水はきっと消えてしまう 。
だけど 、 彼の反応はいつも新鮮で 、 楽しくて 。
だめだとわかっているけれど 、
” 今日だけ 。 “
と言って 、 毎日彼を迎えに行く 。
… だけど 、 最近 、 迎えに行く度に彼の顔色が段々悪くなっている 。
段々声の元気もなくなっていって 、 最近は話しかけてもぼ ー っ としていることが増えた 。
そんなある日 。
「 … リスト … 」
ある日 、 いつも通りリストに目を通していると 、 見覚えのある名前が目に入った 。
「 え … 」
間違いない 。 あの少年だ 。
今度は病院も 、 病室も全く一緒 。
「 … 」
彼の病室に着くと 、 いつものように彼の体から魂を切り離す 。
『 おに ~ さん 、 おそぃ … 』
む 、 と拗ねたような声の彼はやはり元気がないようで 。
「 ごめんごめん 、 」
水は謝りながら 、 天に昇っていこうとする魂をしっかりと掴む 。
『 おゎ … おに ~ さん 、 どうしたん ? 』
「 ううん 、 なんでもない 、 さっさと行くよ 」
『 おに ~ さん 、 今日の回収終わり ? 』
「 … うん 」
『 そっかぁ 、 じゃぁ 、 俺戻るな !!
また明日 っ !! 』
そう言って 、 少年の魂が体に戻っていく 。
「 … 」
これが 、 最期の仕事だ 。
死神は 、 鎌を振り上げた 。
そして 、 また ” 間違えた “ 。
死神は 、 少年の魂ではなく 、 彼の体に纏わりつく病気を 、 ひとつ残らず刈り取ってしまったのだ 。
少年の顔色が段々良くなっていく 。
青白かった頬は微かに色付き 、
苦しそうだった顔も 、 今は安らかな寝顔に変わっている 。
死神は嬉しそうにその様子を微笑みながら眺める 。
____ そして 、 死神は消えた 。