「好き」「大好き」「愛してる」
そんな言葉、もう何回言われただろうか。
最初は彼の一言一言が嬉しくて聞くたびにドキドキしていたのにいつの間にか愛が感じられないその言葉を聞くと心臓の奥の部分が刺激されて今にも吐き出したくてたまらない気持ちになってしまう
こうなってしまったのはすべて彼の責任で、そんな気持ちになってもまだ別れを切り出せない自分もいて、頭の中がこんがらがっていた
一言でいえば彼は浮気していた
〘彼〙というのは俺、町田小春の恋人、香川優馬のことだ
俺は俺が気づいていないと思っているのか夜な夜な遅く帰ってきては服にあまーい匂いを付けてくる。最初は疑ってはいたが、確信はないしなにより優馬のことを信頼していた。だから見てみぬふりをしていたのだ
だがそれが良くなかったのかもしれない
俺が何も言わなかったことをいいことに〘浮気〙したかもしれないという証拠が次々に増えていった
匂いをつけて帰ってきた次の日はキスマーク、その次の日はまるで相手が自分のものとアピールしてくるような時計だった。優馬はあまり物欲がなく、自分からなにか買ったりすることは少なかった
だから俺はその時計が優馬のものじゃないことに気づいてその夜浮気をしたということが確信に変わってしまった
だが彼は浮気していても毎日俺に愛してるなどの甘い言葉をかけてきた
言われると気持ち悪くなる
吐きたくなる
他のやつにも俺に言うのと同じようにそんな言葉を口にしているのかと思うとどうしても…
そんな状態が1ヶ月続いた
俺は何度も吐き、何度も泣いた
そしてあいつのことでこんなに心を乱される自分に激怒した
そして決心した
〘別れよう〙と。
後悔はあった…でもこのまま彼のそばにいても自分の心が満たされることはないと知っているのだから、そうせざるを得なかった
土曜日
俺と優馬は同棲している。でももう別れるので自分の荷物をバッグに入れて、いつでも出ていけるようにと準備をした
もともと俺はあまり必要のないものは置かない、買わないたちなので案外荷物は少なくて少し安心した
そして明日憎くてたまらない愛している恋人に別れを告げる決意をもう一度し、ベッドのシーツにかかる、自分の額を伝っていく涙を拭うことなく眠りについた
日曜日
俺は優馬の作った朝食を食べていた
彼の作ったご飯は格別でとても美味しかった。もう食べられないと思うとひどく恋しく、悲しくなったのであふれ出しそうな涙を抑えて、いつもよりゆっくりと時間をかけて味わって食べた
そして二人とも朝食を食べ終わったあと、「ちょっと話したいことがあるんだ」とだけ言ってソファーの上に座った
優馬は戸惑ってはいたものの「わかった」とだけ言って、自分にはココア、俺にブラックコーヒーを淹れて「はい」と言って渡してくれた
俺達は飲み物を一口口に含みしばらく無言のまま過ごした
そして何分かたった頃俺は「別れよう」とただ一言だけ言って、彼の返事を待っていた
このときのんだコーヒーの味を一生忘れないだろう。いつもよりも苦くて喉をさすような、詰まるような飲み心地だった
優馬は「えっ、、」「はっ。、」という意味不明な言葉を口にしながらフリーズしていた
そして自我を取り戻したと思ったら急に俺を押し倒してきた、持っていたカップは中にはいっていた飲み物が机と床にビチャっと音を立ててこぼれて、カップは机に当たってヒビが入ってしまっていた
そんなことに気を取られていると、優馬が俺の顔を掴んでグイッと自分の方に向けた
びっくりした
その時のあいつの顔は怒っているような、悲しんているような、、、死にそうな顔をしていた
そんな顔もできるんだ…と思っていたのもつかの間
久しぶりの至近距離の顔で俺は混乱もしていたけどときどきという鼓動がとまらなかった
俺の腕を握る強さはどんどん力を増していき、「いッ…はなして」といっても話してくれなかった
そして優馬は「…俺…小春のこと大好きだよ、毎日毎日そう言ってるよね?1ヶ月前から女の匂い付けてきたりしたのに全然何も言わないからどんどんエスカレートしてキスマークとかつけたりもしたけどほんとに何も言わずに黙々と洗濯するお前見てるとまじで意味わからなくて、、こっちは小春こと好きで好きでたまらなくて、誰か俺じゃない他の誰かとッ誰かのことを好きになっちゃうかもしれないって思ったらいてもたってもいられなくなって、嫉妬させて、そこに漬け込んで依存させちゃおうと思ってたのにさ!!!最初は俺が大好きって言ったら『俺も大好き』っていっけくれてたの最近は『俺も…』って感じたし、嫉妬じゃなくて浮気したと思ったって嫌われたのかなとか思ったりしてて…でもあとに引く事とかもうできなくてどんどんすれ違っていってそうな俺達だったし!急に話があるとか言い出してついに嫉妬かな?とかワクワクしてたら別れる?!ふざけないでよ!!俺はこんなにも好きなのに…好きなのにぃ…嫌わないでッお願い、別れるなんて言わないで!俺はもおもぉ小春がいないと生きてけないのにッ」
急にいっぱい喋りだしたと思ったら今までのこと全部嫉妬させるためにやってた?ただそれだけのために俺は悩んで苦しんで、死にたい日々を過ごしてたってのに…
でもすぐ目の前にいる優馬は俺の手首をつかむ手が震えていて大粒の涙を俺の服にポタポタと落としている
顔を真っ赤にして俺を見つめている
そんな様子にゾクゾクと背筋を漂うなにか気持ちの悪いものが来た
そしてその本能のまま「手…放して」とだけいった
すると優馬はそっと俺の腕から手をのけた
フリーになった手を俺は優馬の首に回し、10秒ほどキスをかわした
戸惑う優馬に小春は「いい子だねぇ、ちゃんと自分の気持ち言えて」といい優しく頭をなでた
そしてそれに続けて「優馬が浮気っぽいことしてるときね、俺すっごい悲しくて寂しくて、死にたい思いで毎日生きてたんだよ笑…嫉妬させたくてこんなことしちゃった優馬は可愛いけど俺がもしこの理由で優馬じゃない…別の人とあんなことしてたらいやてしょ?わからないなら試してみる?」
というと優馬はください「ッ……ヤダ!ヤダ!ごめんなさいごめんなさい!!何でもするから嫌いにならないで!俺以外と喋らないで!一緒にいないで!触れさせないで!ごめんなさいもうしないからしないからッ!」
とかっこいい顔を歪めて涙を流しながら小春にすがりついてきた
その姿を……俺に嫌われたくないと必死なずかたを見せる優馬に小春は(俺が…俺だけが優馬にこんな顔をさせられる…俺だけが!)というよくわからない背徳感に浸っていた
そして「じゃあ優馬ももう他の人と会っちゃだめだよ?この家にずっといて…俺次優馬が別の人と一緒にいたり…ラインしたりしてたら今度こそ[嫌いに]なっちゃうかもね笑いい子にしてたら嫌わないでいてあげる」
「ほんと?俺!いい子にする!するから俺の事嫌いにならないでね!!!」
「うん♡約束するよ♡」
と小春はいいとても満足そうにゾワゾワとした感情で優馬のことを抱きしめて、自分は今持ってはいけないかもしれない感情を持っていることに気づいたがそんなことはどうでもよくて、ただ今目の前にいる自分のしらなかった愛おしい恋人を目の前にして、己の理性が爆発する寸前まできていたのだった。
それからの二人の関係は決して傍から見れば歪で不気味で恐ろしい関係に見えたが等の二人にはこれがベストでとてもいい『恋人関係』に収まったと納得して、幸せに暮らしていた。
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