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途中で飽きた東西。

男前な旭さんを書きたかったはずなのに…

ーー

部活の休憩時間。各々が休憩やら研究やらで体を休める中、副主将の菅原は西谷を呼び止めた。

ちょいちょいと自分の横に座るよう施すとぺたんとアヒル座りになって菅原を見上げてくる。なるほどこれで相手を落とすのかと勝手に合点しながら咳払いを1つ漏らした。

「あのさぁ西谷。唐突だけど、西谷の好きなタイプってどんな人?」

「え?それまた急っすね!

…んー」

どうしてまたこんな質問をといえばだ。西谷は今菅原と同じ3年の東峰旭と付き合っている。

しかし、西谷のタイプがわからない。女性で言えば清水のような美人系が好きなのはわかるが、男でもそういうタイプって共通点があるものでは無いだろうか。旭のどこが美人系???と頭に疑問を大量に浮かべていると、西谷がついに口を開いた。

「男前な人ッスね!!」

「….おとこ、まえ….???」

自分の耳を疑った。男前な奴がタイプなのか。成程な。それは、いい。でも。

「旭が、男前…!?」

予想はしなかった。というかできなかった。

菅原の予想で言えば「大きい人」とか「優しい人」とかで。

東峰旭といえば。3年共通 通称「ひげちょこ」。

その名の通りひげを生やしたへなちょこである。

コートの外となるとビビりで悲観的でなんとも頼りがいの無い男だ。俺らが見ている前でも西谷に押されてばっかりな旭が、男前。

西谷ビジョンか!と勝手に心の中で意見を落ち着けた。だって、そうしないと頭がパンクしそうなのだ。

「変だって思われても仕方ねぇんすよ!

でも、コートの中の旭さんすごい男前で大好きっす!!そう思いません!?…って、普段の旭さんも好きっすけど!」

「っあー、確かに….」

言われてみれば。試合中の旭は普段とは意識が変わる。いつものようなあのふにゃふにゃした感じは一切無くなり、ただ試合の一点を見つめる。自分はエースなんだと。周りに知らしめるような。

「まぁでも、1日くらいコート外でも男前な旭さん見たいっすね!!っあ、菅さんもうそろそろ行きましょ!」

「うん」

ドタバタとかけていった西谷の小さな背中をみつめる。いい事を聞いてしまったと内心ほくそ笑んでいると旭をとっ捕まえて放課後一緒に帰るぞ!!と耳打ちした。旭に何故か怯えた様子で「お前、西谷に何吹き込んだんだよ…」と呆れられる。違う違う。お前が愛想つかされないようにしてやるんだよとニコニコ練習に戻った。

ーー

「という訳で旭。

西谷の好きなタイプ、男前な奴なんだと。

自認してる?」

「…..いや」

「だろーなぁ」

夜も遅くなり、後輩たちの騒がしい声も坂の下商店を離れる頃には聞こえなくなった。西谷は旭と帰りたかったらしいが…すまん!お前のためだ!!

旭の猫背に思いっきり手刀を落としてから口を開く。

「西谷、コートの外でも男前なお前が見たいんだって。「おと、男前…?例えばどう言う…??」…これだからひげちょこは!

だから、こう…微笑んだりとか褒めたりとか、…あっ、やっぱ男前と言えば相手をエスコートすることだよなぁ」

俺が思いつく限りを教えてやると旭は深く考えたように唸り、目の前をパッと見上げた。

「…っうん。俺、やってみるわ」

「おー。明日1日、頑張れよ」

俺はまだこの時、面白そうだなとしか思ってなかった。

あんなに…あんなに人が変わったように感じるとは。

ーー

鳥がちよちよと鳴いている。

昨日菅さんに好きなタイプはと聞かれたことにまだ疑問を持ちながらも俺は体育館に走り込んだ。見ればいつもはいないはずの大きな影が強いスパイクを打っている。疑問だらけになってしまって立ち尽くす俺に気づいたのか、ボールを1つ抱えて旭さんは近付いてきた。

「おはよう。西谷。

そんなに急がなくてもいいんだぞ」

「あ、ハイ…

ってか旭さんもなんでこんな早いんすか」

「西谷に会いたくてさ」

「え”」

一瞬時止まったかと思った。そんなこと言われた時点で顔真っ赤になってたはずなのに、するりと頬を撫でられてはもうダメだ。

西谷顔赤いよ。かわいい

ってまたキザなこと言われて、頭はパンク寸前。

固まる俺を見てまたふふ、と笑い

背中を向けて歩いていく旭さんをただ見つめる。

今日の旭さん、絶対変だと思いながらぼーっとする頭を必死に回すことしか出来なかった。

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