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坂口灰
まき
#四季凪受け
車が船着場に到着すると、そこには豪華なクルーザーが停まっていた
船に乗り込むと夜の闇の中へと舵を切る
「渡会さん‥‥この船って誰のなんですか?」
「これ?俺の‥‥じゃないわ。これは我が家の船だよ」
「我が家?」
「そう。借りて来たんだ」
「家からですか?」
「ごめんね?色々準備とか下調べして来たから時間かかっちゃった」
「そんな事‥‥でもどうやって‥‥」
「言ったでしょ?うちは怪盗一家だって。だからこっそり潜入してお宝頂いて来るのは朝飯前なんだ」
「それにあんな大金‥‥俺返せるかわかりません」
「じゃあ本当に俺のものになってくれる?」
「え‥‥」
渡会さんがシャンパングラスにシャンパンを注ぎ、俺に差し出した
でも渡会さんの言葉に受け取ろうとした手が止まってしまう
「お金を代償にってのは卑怯だったかもな。ごめんねこや、これは嘘だから本気にしないで」
「渡会さん‥‥」
「こんな事になるならもっと早く伝えておけば良かった。俺‥‥こやの事好きだって」
「え‥‥え⁈」
「ずっとこやの事好きだったから、こやとチェイス出来る時しか悪い事だってしてなかったんだ。捕まるならこやが良いもん」
「急にそんな‥‥」
「こやは警察だし俺はギャングだし‥‥俺の気持ち伝えても断られるのは目に見えてたし」
グラスをテーブルに置くと渡会さんが俺の目の前に来て隣に座った
黒いスーツが、いつもの渡会さんの天真爛漫の笑顔を大人びて見せる
そのせいなのか、俺は渡会さんの隣にいる事で落ち着かなくなっていた
いつも街で会う友達の様な渡会さん
颯爽と現れてあの場所から救ってくれた渡会さん
大人な雰囲気で自分の気持ちを素直に伝えてくれる渡会さん
全てが渡会さんで俺の気持ちは激しく揺れ動いた
「俺さ夢があって、街で小さくて良いから家を買って自宅でカフェを開きたいんだよね。だからもう少ししたらギャング抜けようと思ってる。そうしたらさ‥‥こやも俺の店に休憩しに来てくれる?」
「カフェですか?そりゃもちろん遊びに行きますよ」
「ありがとう。でも‥‥本当はこやも一緒にその家にいて欲しかったんだ。だからもう一度言っても良い?」
「‥‥何を」
「ギャング辞めたら俺と付き合って欲しい。俺‥‥こやの事大好きだよ」
「そんな簡単にギャング辞めて良いんですか?それに家族の方も‥‥」
「家業はとっくに辞めたんだ。辞めて出て来たのにまた同じ様な事してたんだよな俺。本当はカフェやりたかったはずなのに。それにこやが俺の事捕まえると必ず言ってくれるじゃん?悪い事はしちゃダメよって」
「それは俺が警官だから‥‥」
「でも俺が好きな人の言葉だから」
こんなキラキラした笑顔で言われたら‥‥
「ギャング辞めたらこやの事堂々と追いかけ回しても良い?」
「追いかけまわす?」
「そう。俺に振り向いてもらえるまで。俺って諦め悪いんだよね」
「諦め悪いんですか?それは困りますよ」
渡会さんが不安そうな顔で俺を見つめる
「コーヒーの香りで目覚めるのも悪くないです」
「‥‥‥‥こや?」
「毎朝淹れてくれるんでしょ?」
渡会さんが挽いたコーヒー豆で‥‥
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