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ざぁーと雨の音が鳴り響く。
徐々に激しくなっていく豪雨に体が当たり、サァーッと体温が引いていくのがわかる。このまま雨に打たれたままでは風邪を引くと、バカでも分かるだろう。「バッカねぇ。あのアホがわかるわけないでしょ」
「それも、そうだな」
聞こえてきた声に同調する。確かに私達よりはるかに頭がポンだが、そこまで言うのも酷なものだと思う「何をー!!!!。どこがバカなんだ言ってみろ!」「そうやって反発するのがバカなんでしょ」「全くもってその通りですわ!」「舐めたこと言ってんじゃねぇぞゴラ!」「バーカバーカ」「誰だお前は!」「さっきからいたわよ」「この木偶の坊が!」「シバクゾ」
騒がしい。すぐそばで(それも耳元のように近くで)声が聞こえてくる。ぐるぐると思考が回って(これが普通で日常なんだ)と当たり前のことを考える。性懲りもなく絡んでいく⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎が反発して結果的に両成敗されるのがいつものオチだ。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎が茶々を入れ、⬛︎⬛︎がそれに同意して、⬛︎⬛︎か⬛︎⬛︎⬛︎が突っかかって⬛︎⬛︎に暴言を吐かれて発狂するか、暴力で解決しようとするのを何人かで止める。そういうのがいつもの流れ。「何を四天王?」「壊れたんじゃないか?」「あなた達じゃあるまいし」「「ああ!?」」「ふざけんのもいい加減にSEEよ!」「何でコイツと一緒にするんだよ!」「そうです!。⬛︎⬛︎様とこのバカ丸出しのクソガキと一緒にするなんて失礼です!」「⬛︎⬛︎ちゃん?」「み、みなさん落ち着いてください…」「そんなことより⬛︎⬛︎⬛︎、今度私おすすめのレストランに行きませんか?」「『騒がしい』」
ザァーッ!!!!
雨が今まで降っていたものより激しくなっていく。地面に強く当たり、音も強くなった。これは傘を指すか、雨宿りをしないと痛いだろう、そう思っていた矢先突如として不思議な現象が起こった。今まで聞こえていた声がそんなもの無かったようにぷつり、と途切れた。
「・・・・・・え?」
不思議に辺りを見回せば何も、誰も見当たらない。
おかしい。ならさっきの声は?。いつもキレているが、面倒見が良く優しい⬛︎⬛︎の怒鳴り声は?。傍観していて調子に乗りやすいけどしっかりとした⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の笑い声は?。巻き込まれ体質で何かと不憫だけど大人びている⬛︎⬛︎⬛︎の呆れた声は?。何かと暴言ばかり吐いているが不器用な優しさを見せる⬛︎⬛︎の声は?。バカとしか言いようがないほどの知能だが、周りを和ませるムードメーカーな⬛︎⬛︎⬛︎の気の抜けた声は?。何かと⬛︎⬛︎を崇拝していて張り合っているけど筋を通す⬛︎⬛︎の自信に満ちた声は?。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の全肯定botで何かと対立している⬛︎⬛︎の称賛は?。⬛︎⬛︎⬛︎のことになると過保護と言っていいほど性格が変わる⬛︎⬛︎⬛︎のおっとりした声は?。あわあわしていて数少ない善性の持ち主である⬛︎⬛︎⬛︎の心配そうな声は?。食べ物や⬛︎⬛︎⬛︎のことになるとめんどくさくなるが、リーダーシップをもっている⬛︎⬛︎⬛︎の突拍子もない発言は?。スケッチブックで会話してほとんど話さない人形の様だけど確かな感情を感じる⬛︎⬛︎⬛︎の呆れた笑い声は?。
・・・いや、さっきからずっと
「私は、あいつらの…名前が」
思い出せない…………?
私が、忘れるはずないのに。……そうだ。スマホを見てみよう。そうすれば、分かるはず。
私はそう思い、スマホをポケットから取り出そうとした。しかしこんな雨の中では濡れてしまう、そう思った私はどこかで雨宿りしようと屋根のある場所へと足を運んだ。
結局、屋根のあるところ雨宿りしたが雨の影響で回線が悪いのか電波が繋がらなかった。
「そういえば、」
ここから友人の家が近いことを思い出した。今は夕方だし、何をしているかは分からないが行ってみるに越したことはないだろうと思い、急いで走って向かった。・・・取り込み中だった場合は悪いが。
この時の私は、家に帰るという選択肢がなぜか頭から抜けていた。酷い雨の中、足元や髪、帽子や服などがびちょびちょに濡れていて、すぐにでも家に走って帰った方がよかっただろう。そうすれば濡れないし電波も繋がるだろうに