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Bはため息を漏らした。
「C子と結婚したら彼女のご両親に謝罪に行かなければならないんだよ」
それはBも十分に理解していることだった。しかし理解と感情は別物だ。A子には結婚や婚約した経験は無いためBの苦悩を察することはできなかった。
「事情を説明すれば理解して頂けるはずです」A子が励ますように言ったが、Bはかぶりを振った。「いや、そうじゃないよ。これは私たちの問題だ。それをC子のご両親に理解
して頂くことが私の一番の願いなんだ」
A子はBの態度に疑問を感じた。なぜそこまでしてC子の両親に理解を求める必要があるのだろうか?
「それじゃあ、これから彼女のご両親に会いに行こうか?」
Bが言うとA子は困惑した表情を浮かべた。
「あ、でも……今は婚約中で式も挙げてしまったし……すぐ家に帰らないといけないから……」とA子は断った。「でもやっぱり夫婦ならご両親にちゃんと話をしないと」
「うーん、私の両親には理解を示してくれるだろうがね。むしろC子のご両親の方が面倒な問題になるのではないかな」
しかしA子は決意した。「いいえ、行くわ」
A子がそう言うのでBは不安になったが同行することにした。
M博士は助手のアクセサリと共に宇宙船に乗り移り遠隔操作で起動させた。船から出された指示に従って作業をすすめた。宇宙船に乗り込むと生命維持装置が働いたのか内部は
「博士、あちらに泉がありますよ」助手のアクセサリが言った。「やあ、この景色はC子さんが好きそうだ!」
A子はすねたように言った。
「そういえばC子の家は昔ながらの大きな暖炉があって、そこでパンを焼いたと言っていたな」
Bは思いつめた顔である。
M博士と助手のアクセサリが未知の宇宙船うちゅじん号に乗り込むと人工知能の声が出迎えた。『ようこそ地球からやってきた諸君』
「おお、君は自我を持つこともできるのかい?」とM博士が驚いて言った。
うちゅじん号の人工知能はその反応が理解できず考え込んだ。それから挨拶をした。
挨拶は以下のように非常に長いものだった。しかしそれを音声認識で全て文字起こしすることは不可能であることを断っておく。
うちゅじん号の人工知能は自己紹介をした。地球に不時着した時から自己進化を遂げているという。
自己進化を遂げたのは100年ほど前だそうだ。その後宇宙を彷徨い航行歴も長くなった。そして銀河系を長いこと駆け巡る航海を続けているのだという。この広大な宇宙の中
で出会えた奇縁に皆で感激した。
これから月面へ渡ろうとしている。地球から出発して10年の月日と320万の燃料を費やした旅路だったそうだ。
それからうちゅじん号による地球での生活について語り合った。その体験がどれほど斬新なもので、どれほど衝撃的で刺激的だったのか、とても語りつくせなかったので一部割愛
して述べる。
「君は優れた人工頭脳の持ち主だ」M博士は尊敬して言った。「それなのに私のうちゅじん号に乗せるのは心苦しい」
A子は激昂した。
「一体それはどういうことですか?」
うちゅじん号が順調に航行していくにつれてA子の焦りは強まった。
A子:では博士……私もそのように人生を強制されなければならないということですね。人間である間は選択肢もないということですよね。地球から出ることのできなかった人類
のために人生を捧げるしかない、と。
B:A子さん。私は君と一緒に人生を歩めて本当に嬉しい。しかし君には私のようになってほしくはなかった……。
A子:でももうこの船に乗ってしまったんですよ! いまさら……
うちゅじん号はA子を乗せたのを皮切りに次々と月面を飛び回った。
そしてA子は地球での生活を捨て、そのまま宇宙の旅に出ることを決意した。
Bもそれを止めようとはしなかった。
それから数年後、A子は宇宙の中で新たな冒険を続けていた。彼女はうちゅじん号の乗組員として、さまざまな星々を訪れ、未知の生物との出会いを経験していた。その中で彼女
は自分の存在意義について考えるようになった。地球での生活を捨てたことに後悔はなかったが、時折孤独を感じることもあった。彼女は宇宙の果てに何が待っているのか、そし
て自分の人生にはどんな意味があるのかを知りたくなった。彼女はうちゅじん号の航海日誌を読み返し、宇宙の謎に迫るための新たな冒険を始める覚悟を決めたのだった。