「はぁ……疲れたぁ……」
出社帰り、お腹が空いていて寄ったコンビニでため息をつく。
いつも通りのルートで、おにぎり、スイーツ、飲み物、レジ横のスナック。
と、会計を済ます。
明日は……ダンス練か。
ライブも近いし、頑張らないとな。
と意気込んでいると。
『お兄さん。』
と、知らないおじさん (50代くらい)が声をかけてきた。
周りは人気がなく、お兄さんと呼ばれるのは俺くらいしか居なかった。
「えっと……僕、ですか……?」
『そうそう。 君。道に迷っちゃって、場所を案内してほしいんだけど…』
うーん、くっそ怪しい。
誘拐かなんか?
『お願いしても良いかな…?』
「えっと……僕もあんま分かんなくて…… 別の人に頼んでください。」
とりあえず足を速めてその場から逃げる。
後ろから着いてくる気配もないし大丈夫そうかな……
確認のために後ろを振り返る、と。
「わっ……ッ!?」
さっきの、おじさんに腕をつかまれ路地裏に連れて行かされた。
そして、壁に押さえつけられる。
こいつ、力強っ……
「ッ……離してください…!」
『ははっ…その顔…♡かわいいねぇ……♡』
その言葉に、ゾワッと悪寒が走り足の力が抜けてしまった。
こいつ、ほんとにやばい。気持ち悪い。
『あ、泣いちゃう?♡良いよぉ、かわいいねぇ♡』
怖い怖い怖い。
やだ。気持ち悪い。
恐怖で声も出ない。
誰か助けて。
「おじさーん?それは合意の上でですか?」
「ら……ぁ……ッ」
らんらん。
『あ”?』
「僕には、そのお兄さんはいやがってるように見えるんですが?」
その声と涙で滲んだ視界で見た人影は確かにらんらんだった。
「その辺にしとかないと、通報しちゃいますよ?」
らんらんがスマホをちらつかせ、脅すとあいつは逃げていった。
押さえつけられてた腕が解放され、地面にへたり込む。
「ら……ッ、ら、ぁ…っ」
「ないこさんっ!大丈夫ですか!?何もされてないですか!?」
らんらんがこっちに駆けてきて、ぎゅっとしてくれた。俺は何のためらいもなく抱き返す。
「ら、らぁ……ッ、こわ、かった……っ」
年下の前、後輩の前で情けなく泣く俺をらんらんは優しく撫でてくれた。
「そうですよね……怖かったですよね…、よく頑張りましたね……」
俺が落ち着くまでずっと。
「落ち着いてきましたか……?」
「ん……ッありがと、う…っ、だいじょうぶ…」
涙声で答えると、
「まだ手、震えてます。」
らんらんは震えてる手を握ってそう言った。
「家まで一緒に行きましょ?」
その言葉に俺はうなずいた。
初めて握ったらんらんの手は白くて、細くて、暖かくて。
なんだか安心した。
コメント
7件
らんないも、いーな、、
初コメ&時差コメ失礼しますm(_ _)m 2人の絡み…神すぎる…
わっ、わっ、わっ、なんていうかっ、好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!((初コメ失礼しました