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やばいですどうしましょう
読み切り楽しすぎます
めっちゃ気楽に書けるし物語の後先のこと考えずにかけます
ということで今回も読み切りです
誤字、脱字あるかもしれません
ちょっと悲しい話です
血の表現あります
全てフィクション•妄想です
それでもいい方どうぞ
あぁ、
久しぶりの
久しぶりの外だ
なにをしよう
もう朝か
そう思い、まぶたを開ける
その途端、朝の光が目へと差し込んできた
眩しくて思わずまた目を閉じる
あぁ、
また朝が来てしまった
また上司にガミガミ言われ、同僚からいじめを受けるのか
気が進まないまま仕事へ行くための身支度を済ませる
どうして私がこんな目に遭わなければならないのだろう
いつも思っていることだ
いや、理由は分かりきっている
私に変なものが見えるからだ
幼い頃から、変なものが見えるのだ
目が一つしかない人間や、顔の大きいだるまのような人型の何か
それらは、俗に言う妖怪というものだ
他の人には見えないらしく、嘘つきだと言われ続けた。無論、今も。
でも、あいつらは危害を加えてくるわけではない
ただ、この世ならざる気配がするのだ
そのせいで仕事に集中できなくなり、書類を間違えて上司にガミガミ言われる
行きたくない
そんな事を思って、ふと時計を見た
出勤時間ギリギリだった
焦りを覚えながら靴を履き、扉を開く
いってきます
その一言が、誰もいない部屋に響いた
横断歩道を待っていた時
ふいにこの世ならざる気配がした
その気配の方へ目を向けると
今までのやつとは少し違うのがいた
あいつ、角とか生えてるだけだからかなり人間に近い見た目してるな
と、そう思った刹那
あいつと目があった
やばい
そう感じて、すぐに目を逸らした
が、すでに遅かった
横断歩道を渡った後もついてくる
何れ何処かに行くだろうと気を紛らわせて前を向く
その時だった
「おい」
予想外の出来事に、少し肩が跳ねた
気づかれていないことを願いながら無視をする
「聞け」
左肩を掴まれた
これまた予想外の出来事に
「へ」
と声が出た
これは騙せないだろう
諦めて溜息をつき、そいつの方を向く
「何」
他の人に聞こえないくらいの声量でそう素っ気なく返す
「お前、やっぱ俺のこと見えてんだな」
彼はそう返した
あまり話したくない、急いでいる
そういった趣旨のことを遠回しに伝える
「だから、何がいいたいんだよ」
こいつ、直接言わないと伝わらないな
そう感じた私は直接、包み隠さず話した
それを聞いた彼は、少し不機嫌そうな顔をして
「またな」
と言って帰っていった
またな、なんて冗談じゃない
腕時計を見れば、もうとっくに遅刻確定の時間だった
最悪だ
誰にも聞こえない程度の声で呟いた
遅い
そう言われてしまった
確かに遅刻をした私の責任なので、文句は言えない
デスクに着くと、昨日終わった書類の上にコーヒーがかかっていた
文字がふやけて一部読めなくなっている
たまたまなんかじゃない、これは故意だ
周りの人がクスクスと笑っているのが聞こえるからだ
諦めて、怒られる覚悟をしておく
実のところを言えば、上司も判っているのだ
しかし、あちらの味方についている
理由は2つだろうな
1つ目は私が気に入らないから
2つ目はイジメの主犯格が社長の息子だから
きっとそうなのだろうと考え、席に着く
その途端足にぐさり、といった痛みが走った
何かと思い見てみれば、マグカップの破片が散らばっていた
その破片が靴を貫通して刺さったのだ
コーヒーが入っていたのか、微かにコーヒーの香りがする
この中のコーヒーを書類にかけたのだろう
これも掃除しないといけないので、丁寧に一欠片づつ拾っていった
その時、シャっと指に赤い線ができた
マグカップの破片で指を切ったのだ
思わず少し声が出た
それを聞き、職場に密かな笑い声が響いた
なんとか片付けた後、自身の書類に手を付ける
私の後ろを通る人が、律儀に一度ずつ椅子を蹴って行く
お陰で集中なんてものはできない
それに、この世ならざる気配が邪魔の手助けをしている
最悪だ、と今日二度目の言葉を心の中で呟いた
残業をしていたため遅くなってしまった
月が家の影から顔を出す
その月をじっと見つめていると
ふとこの世ならざる気配がした
見上げていた家の隣の屋根に目を向ければ
朝絡んできたあいつの影がこちらに伸びていた
見なかったふりをして帰路を見据える
と、その先に彼がいた
移動速いな、なんて呑気なことを考えているうちに
彼の口が開いた
「見えてんだろこの野郎無視すんなクソが」
再会して一言目に罵声とは穏やかではない
仕方なく言葉を返す
「今疲れてるから後にして」
朝と同じく、素っ気ない言葉で突き放す
彼が言った
「じゃあ話を聞いてやるよ」
「は?」
思わずそんな声が出た
ふざけるな。コイツとずっと一緒なんて気が狂う
遠慮しておく
そう言った
朝にこいつはストレートに言わないと伝わらないと、そう学習したからだ
「遠慮するぐらいなら入れろ」
伝わらなかった。
仕方なく言い直そうとすると、彼がもう一度口を開いた
「撤回はなしだかんな」
こいつは私の心の中を読んでいるのだろうか
「おぉ、人間の部屋ってこんななんだな」
彼が言った
最悪だ。
どうしてこうなった
「で、お前は何で悩んでるんだ」
いきなり本題か
来てしまったのは仕方ないので、全てを話した
上司のこと
同僚のこと
私のこと
すべてを聞き終わった後
彼はこういった
他人の言う事など気にしなくていいと
それができないのが、この世なのだ
でも
少しだけ楽になれた気がする
帰り際、彼が言った
「なんかあったらまた相談しろよ」
「ありがとう」
彼は少し驚いたような顔をしたが
すぐに笑みへと顔を変 え、
「あぁ」
と言った
そんな生活が続いた。
会社で嫌な思いをしては
あいつに全て話す
私が話してる時だけは
黙って静かに聞いてくれる
そんな事をしているうちに
仲も深まってきた
今日もそんなことが続くのだろうと。そう思っていた
はぁ、
つかれた
「…?」
珍しいな、帰り道にあいつがいないなんて
横断歩道か
信号待ちの時間
仕切りにあたりを見回しては、この世ならざる気配がないかと探る
しかし、今日は感じなかった
いつもなら、嫌というほど感じるのに
なぜだか不安になった
あいつは何処だろうか
結局、なにもわからないまま家に帰った
ソファーに横たわり、机を見た
机の上に紙切れが置かれている
紙切れには走り書きのような字でこう書かれていた
さようなら
脳がこの文章の理解を拒んだ
脳が
これはあいつが書いたのだと叫んでいるから
あいつは何処だ
まず、あいつが離れるのはおかしいのだ
いつもしきりにくっついてきていたあいつが。
それに、走り書きのようだ
あいつを探す
私の生きる意味になった
まず、妖怪の情報を探す
あいつの特徴を入れて検索をかけた
と、一体の妖怪が検索にかかった
まがつがみ
邪悪な神様だという
あいつは、そうは見えなかった
休みが取れた日、あいつの気配を辿った
すると、一つの石に辿り着いた
いる。
この中に、あいつがいる
大昔に、大変力のある陰陽師が5人がかりで封印したまがつがみがいるそうだ
きっと。それが。
あいつだったんだろう
わたしは、その石をギュッと握りしめて
家に帰った
あいつがもう一度、目覚めるその時まで
私が死んでも、これは守り続けよう
苦しくても、辛くても
fin