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「…どんな欲望でも、全部飲み込んであげるから」
囁きは、皮膚のすぐ近くで落ちた。
首筋の温度が、不快なほどに上がる。だが、その熱がどちらのせいか、判別がつかない。
「だって、クラピカ。
それが――愛だから」
私は息を詰めた。
言葉は甘やかに微笑むように吐かれたが、そこには狂気が潜んでいた。
フリル。
お前の語る“愛”は、どこまでも異質だ。
それは感情の受容でも、献身でもなく――支配だ。
相手の“痛み”を受け取って溶かすことで、自分の存在意義を確かめようとする。
誰にも愛されなかった証明のように、どんな醜い感情さえも歓迎して飲み込む。
「……くだらない」
私はそれだけを絞り出し、距離を取ろうとした。
だが――
「いいよ、否定して。憎んで。拒絶して。でも……心の底で、願ってるでしょう?」
ふわりとリボンが風を切る音がする。
私の足元で、それは滑るように揺れていた。まるで、足首をすくおうとでもしているかのように。
「壊したいほど愛されたかったんでしょ、クラピカ」
頭の奥に、鋭い針を突き立てられたようだった。
私は振り返らない。振り返れば、表情に出てしまうからだ。
怒りか、軽蔑か、それとも――
思い当たりに対する恐れか。
「(……やはり、お前は)」
私は静かに言葉を落とした。
「……敵だ、フリル。
お前の存在は、人の理性を壊す」
だが。
「ふふ、それってつまり“本当のボクを見た”ってことだよね?」
背後から聞こえる声は、満足げに震えていた。
作者『すみません、実はフリルくんの性格は<ハッピーシュガーライフ>という作品の「さとうの叔母」というキャラクターを参考にしています。不快になられる方いましたら本当に申し訳ございません😭』