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リリシアが帰っていった後。 部屋の中にはカイルとエリオットのみとなった。
「なぁ、リリシアって本当に精霊なのか?」
エリオットに聞かれ、考えてみる。
美しい銀色の髪に気弱そうなエメラルドのような緑色の瞳。
尖っている耳は長く、十二歳もあるか、ないかの小柄な少女。
御伽話の中では精霊は絶対的に人間の前に出ない。
理由は諸説あるが、人間が何かをやらかしたのは間違ってなかったらしい。
「どうだろうね」
肩を竦めながら、カイルはそう言った。
「でも、姿は御伽話に出てくる精霊と似ているが…」
手を顎に置いて、考えてみると。
「まぁ、今は危害を加えなさそうだから、警戒だけしとこう」
…確かにそうかも。
僕のせいでもあるし、彼女の瞳は心配の色味しか見えなかった。
…けど、無性に彼女を見ていると、胸が高鳴るかも?
「どうした?」
胸に手を押さえていたらしく、ハッと我に返り、首を横に振る。
「何でもない、その方がいいね」
お互い顔を見合わせ、頷いた。
◇
あの日から、リリシアは毎日来るようになった。
尖っていた耳は幻影魔法で人と同じ耳となっていた。
だが、耳に触れると、人の耳ではなく、尖っている耳の感覚がして不思議な感じだ。
ふと、顔を見上げると、父さんや母さん、エリオットのお父さんとお母さんに囲まれたリリシアが居た。
父さんや母さん、おじさん、おばさんは薬草を育てているので、その手伝いをしているようだ。
カイルの視線にリリシアは気づいたようで、手を振った。
カイルもふっと微笑んで、手を振り返した。
そしたら、リリシアの頬は少し赤くなっていた。
カイルもにやけているよに口元が緩んだ。
微笑ましそうに見ている、両親とエリオットの両親に見られ、リリシアはあわあわとしていた。
カイルは軽い笑いをしながら、頬杖をついた。
…リリーの出会いからもう、二ヶ月が経つんだね。
「僕も手伝いたいな」
そう、呟くと隣にいたエリオットが苦笑いしながら、答えた。
「無理だよ」
エリオットはリリシアとカイルが思いやっているのを知っている。
…いや、雰囲気で皆分かるか。
最近ではカイルとリリシアに恋愛相談をされるので、「焦ったい」と呟いているのを聞いたと、母さんに聞いた。
リリシアが笑うたびに、この幸せな時間が永遠に続けばいいと願ってしまう。
でも、次の瞬間には、肺を握りつぶされるような痛みが襲い、現実に引き戻される。
ゴホゴホっと、咳を出した。
「大丈夫か!?」
隣にいたエリオットに背中を摩られ、心配そうに声をかけられる。
「うん、ありがとう」
手の平をみると血が出ていた。
…リリシアと会えるのは、後、一ヶ月程か。
罪悪感や切ない気持ちで押し潰される。
…早く言わないとな。