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Prolog,
「じゃあ、また明日。」「うん、 “バイバイ”。」
これが雪翔と話した最後の言葉だった。自分は周りに比べてメンタルは強い方だと思っていた。だけど、彼奴が消えてから俺は_
episode_1_
午前4時31分。これでもう一度眠る事が出来れば2度寝ではなく、5度寝くらいだろうか。ここ最近、約2ヶ月くらい前から俺は今日この瞬間まで碌に眠れていない。理由は勿論、彼奴_石蔵雪翔が死んだからだった。雪翔は俺の幼馴染で保育園の年少からずっと一緒に居た唯一俺が好きになれた相手だった。周りの大人や同級生には気持ち悪がられたくなくて言ってこなかったが、正直に言うと俺はどうやらゲイと言うやつらしい。詳しい事は何も調べてないけど、テレビで偶々見たから知った。俺はそれを見ても何とも思わなかったが、どうやらこの世界でそういった類の人間は批判を受けたり社会から省かれてしまうケースが多く見られるらしい。だからといって俺は彼奴以外の事を好きになれる気はしない。まぁ、こんな分かりきった話はお終いにして俺はあともう一眠りといこう。
夢を見た。雪翔が出てくる夢を。
『ジリリリリリリリリンッジリリリリリリリリンッ』という目覚ましの音で目を覚ました。ゆっくりと未だ寝惚けている体を起こし、さっきまで見ていた夢の内容を思い出そうと目を瞑る。『ダッダッダッダッダッ』と、誰かが近づいてくる事にも気付かず。
「蒼依!!!あんた何時まで寝てるつもり!?」なんて大声を上げながら勢いよく俺の部屋の扉を開けてあの女が入って来た。
「……何。」なんて軽く口を開けば、「学校!!遅刻するわよ!!!」と、返ってきた。はぁ辛い。毎朝これだ。よく飽きないものだとつくづく思う。
此奴の名前は麻菜由衣。小学校の頃からずっと俺達の周りをうろちょろしてたお節介女。俺の同級生で2軒隣の一軒家に住んでるから中学時代はよく3人で学校に登校してた。流石に高校は別になるだろうしと甘く踏んでいた俺が馬鹿だった。この女はまさかの高校まで同じところに来やがった。雪翔は普通に楽しそうだったし嬉しそうだった。けど、俺はあまり良い気分ではなかった。何故かって言うと、多分由衣は雪翔の事が好きだったんだ。だからか知らないがこの2人はよく一緒に居た。俺はそれが許せなかった。
「はぁ、分かった。分かったから先行けよ。」「そう言ってあんた絶対学校来ないでしょ!」「…行くから。」「嘘だ!小さくても間が空いたの分かってるんだからね!?それってつまり図星だったんでしょ!?ほら早く支度しなさいよ!!」
ホントにめんどくせぇ。どうせお前に俺の人生なんて関係ねぇのに。学校だってお前一人なら絶対遅刻しねぇのに。本当に意味のわかんねぇ奴。
「ちゃんとしなさいよ、じゃないと雪翔があんたの事心配して浮かばれないでしょう?」
「……は?」
episode_1_終。