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鬼滅の刃、キメツ学園二次創作多分n番煎じ。
キメツ学園に無い設定有り。
それでも良い方はそのままスクロール〜。
*
前述した通り、鬼滅隊はキメツ学園の中等部、高等部から成り立っている。中等部に所属している炭治郎の妹、竈門禰豆子も鬼滅隊に所属していた。
「禰󠄀豆子ちゃーん、もう起きる時間だよ」
中等部二年塔里芋組の女子寮に禰󠄀豆子を起こす声が聞こえる。禰󠄀豆子は頭まで布団を被りながら、「あと五分…」と言う。声を掛けた禰󠄀豆子の友人である少女…真菰は溜息をつく。
「そう言って前遅刻したのは何処の誰ですかー? いい加減起きて、ほら顔洗ったら目覚ますから」
真菰は無理矢理布団を引き剥がす。
禰󠄀豆子は朝が苦手だ。故に毎日真菰に起こしてもらっている。対して真菰は朝は得意な方だ。それに加えて班長でもあるからか一番に起きる。
禰󠄀豆子は渋々ベッドから出て、顔を洗う。そして中等部の制服である半袖の白いシャツに黄緑の布リボン、黄土色のスカートを履く。そして下ろしたストレートの黒髪にはピンク色の髪留めをつける。
「よし、やっと様になったね。おはよう禰󠄀豆子ちゃん」
「えへへ、毎日ありがとう、おはよう真菰ちゃん」
真菰も制服に着替えており、髪には花柄の狐の面をしたヘアピンをつけている。
「じゃあ食堂行こうか」
「うん!」
中等部の食堂へ向かう。今日のメニューはトーストにコーンスープ、サラダに目玉焼きでお好みで選べるジャムがあった。禰󠄀豆子は林檎ジャム、真菰は苺ジャムをとった。
「禰󠄀豆子ちゃん、私、飲み物入れてくるけど禰󠄀豆子ちゃんは何が良い?」
「うーん、私はイチゴミルクがいいな」
「OK」
キメツ学園の食堂は中等部に限らずドリンクが豊富だ。お茶からコーヒー、野菜ジュースまで幅広くある。
禰󠄀豆子は真菰を待っている間スマホを弄っていた。メッセージアプリを開き、家族のグループメッセージを見る。すると幾つか通知が入っていた。
『おはよう、炭治郎、禰󠄀豆子、今日も学園と鬼滅隊、頑張ってね。所で夏休みはうちに帰ってくるの?』
既に炭治郎は返信していた。
『おはよう母さん。俺は夏休み家に帰るよ』
炭治郎が帰るのなら禰󠄀豆子も帰ろうと思った。学園で会うことも少なく、鬼滅隊でも中々会えない。そして久々に弟妹達の顔も見たいと思ったのだ。禰󠄀豆子もキーボードを打つ。
『おはようお母さん。私も夏休み家に帰るよ』
スタンプを添えて送信する。すると既読が一つ付き、返信が来た。
『分かったわ、体調に気をつけて頑張ってね』
それに微笑みながらスマホを閉じる。ふと横を見ると飲み物で両手が塞がっている真菰の姿があった。
「うわ! 真菰ちゃん⁉︎いつからいたの?」
「うーん、禰󠄀豆子ちゃんがメッセージ送信してる時から居たかな」
禰󠄀豆子にイチゴミルクを置き、自分はコーヒー牛乳を置く。そして内容を少し見てしまったと謝る。
「禰󠄀豆子ちゃんは夏休み家に帰るんだね」
「うん、お兄ちゃんにも会いたいし、家族の顔も見たいからね。そうだ! 真菰ちゃんも遊びに来る?」
「いいの?」
真菰は目を輝かせる。
「じゃあ錆兎も誘って行こうかな。禰󠄀豆子ちゃんの作るラスク、美味しいんだよねー」
「そんな事ないよ、お兄ちゃんが作るパンの方が絶品だよ」
そんな話をしながら朝食も食べ終え、教室へ向かう。既に教室には朝食を食べ終え、自分の机で勉強している生徒もいれば、楽しそうにお喋りしている生徒もいる。そして窓の外を眺めていた宍色の髪の少年に真菰は声を掛ける。
「おはよう、錆兎、何窓の外見て黄昏てるの?」
「! あぁ真菰か。別に黄昏てはいない」
急に声を掛けられたのでびっくりしたものの振り向いた宍色の髪に頬に傷を作った少年…錆兎は真菰と禰󠄀豆子と同じクラスで仲が良い。
「そういや今日の一限は美術だったよな?」
「そうだよー、確か校庭の絵を描くとかどうとかって宇髄先生が説明してた気がする。宇髄先生カッコいいよね」
「そうかな…? 教師として疑わしい格好してるけどね」
中等部高等部に限らず教科は同じ先生が教えている。そしてパーカーに風船ガム、左目には派手なメイクと教師として疑わしい格好をした宇髄先生は女子生徒の間ではイケメンだと騒がれており、男子生徒の間では「輩先生」と渾名がついている。
「あ、水彩絵具が必要だって言ってたよ。で美術室集合だって」
真菰は予定表を見ながら言う。そして里芋組全員に声を掛けて、自分達も美術室へ向かう。
「よぉ、今日は一限から美術とは派手だよなあ? さあお前らは水彩絵具は持ってきたか?」
「持ってきましたー!」
真菰は元気よく答える。
「よし、じゃあ適当な席に座れ。どうせすぐ自由行動だからな」
真菰と錆兎は禰󠄀豆子を挟んで座る。そして一限開始のチャイムが鳴る。
「じゃあ今日は前回の授業で予告していた通り、このキメツ学園の好きな所を絵に描いていくぞー。中等部の敷地内なら何処でもいい。ただ高等部には入るなよ。九時半になったら戻って来い。じゃあ自由行動開始!」
禰󠄀豆子はグラウンドから見た校舎を描こうと思っていた。真菰は中庭を描くというので分かれる。錆兎はクラスメイトに誘われて何処かへ行った。
絵は得意な方なので次回で色塗りに入る所迄はいきたいと思っていた。
鉛筆で下書きをして、いよいよ色塗りに入ろうかと思ったところで鎹鴉に声を掛けられる。
「現在九時二十分ダ‼︎美術室へ戻レー‼︎」
「あ、もうそんな時間? じゃあ戻らないと」
欠伸をしながら伸びをして、中等部の美術室へ戻る。其処には既に真菰と錆兎の姿があった。
「おかえり禰󠄀豆子ちゃん、絵はどんな感じ?」
「次は色塗りに入れる所まで進めれたよ。真菰ちゃんと錆兎君はどんな感じ?」
「私はね、結構いい感じに描けたと思ったの」
そう言って見せられた画板には植物豊富な中庭が写真のように再現されており、半分まで色が塗られていた。その色塗りにも陰影がはっきりしておりとても上手だった。
「わぁ〜! すごく上手だね!」
「えへへ、ありがと」
真菰ははにかむ。
「でも錆兎も結構上手だよ」
真菰はそう言い、錆兎の画板を取り上げる。
「あ、おい!」
錆兎の画板には中等部の寮だった。物が細々しているので難しそうなのだが形がしっかりしていた。まだ色は塗られていないのでモノクロだ。
「錆兎のも上手だよね!」
「うん! 凄く上手だよ。錆兎君も芸術センス結構あるのかもね!」
「揶揄うなよ」
錆兎は赤面しながら言う。
「おいおい、派手に盛り上がってる所悪いがもう授業終わるぜ?」
「あ、すみませーん」
宇髄はぷはっと笑う。
「ま、楽しそうで何よりだわ。次回も美術室集合だ! いいな! じゃあ解散!」
それと同時にチャイムが鳴る。
二限目は国語だった。
「はーい! 今日は習字です!『美しい自然』を行書で書いてみましょうね! 文字が多くて大変だと思うけどそれを利用すると簡単に書けるわよ!」
中等部高等部の国語担当はピンク色と毛先が鶯色に染まった髪を三つの三つ編みにしており、少々胸の部分が見えるような服を着ている甘露寺蜜璃だ。服は因みにこれ以上サイズが無いらしい。
習字道具を準備して、墨を入れる。
「習字は静かに心を落ち着かせる修業だからね。鬼滅隊でも一緒。焦ったらまともに標的に当てられないからね」
甘露寺はそう言って可愛らしい鈴を転がしたような笑顔を向ける。
「じゃあ! 頑張ってね!」
すると真菰が耳打ちする。真菰は隣の席なので隙あらば話しかけて来る。
「甘露寺先生って可愛いよね」
「うん、私もあんなふうに可愛くなりたい」
女子の間では服やメイクなどの勉強も教わっている。
そして半紙に十枚ほど書いた時、パンと手を叩く合図により手を止めた。
「はい! 今日は此処まで! 次回は清書だから道具は各寮で洗っておく事! 解散!」
三限が終わり、四限始まりのチャイムが鳴る。四限は歴史だった。
「今日はちょっと鬼滅隊に関する歴史をやろう! 何、閑話休題だ! ノートも要らんぞ。話を聞くだけで良い。必要な人はメモを取っても構わん!」
鬼滅隊に関する歴史ということにクラスが少しざわついた。
「では始めるぞ!」
元々、大正時代には政府非公認の人しれず鬼を狩る“鬼殺隊”という組織があったそうだ。当時の鬼は非常に凶暴で十二鬼月という強い鬼もいたそうだ。そして鬼殺隊の皆で協力して鬼の首領を倒したそうだ。
「俺が知っているのはこういう断片的な情報だがな! 政府非公認だからあまり語られていないのだろう」
そして今、我々が狩っているのは原因不明の自我無き鬼だ。稀に自我ある鬼を発見するが、誰一人として情報が吐けない。吐こうとした瞬間、身体の内側から呪い殺される。今保護している珠世と愈史郎も同じく呪い殺される個体である為、情報を提供したくてもできない状態だという。
気づいたら皆、息を呑んでいた。
「何故、一般人が鬼にされているのかは分からない。大正の時は鬼の首領が居たらしいからそいつの頸を執ったらしいが、鬼の首領がいるのか分からない。でも俺たちの任務は鬼がいる限り終わらない夜を終わらせる事だ!」
クラス全員力一杯頷く。するとチャイムが鳴る。
「む、もう終わりか! 次回はちゃんと授業するからな! 解散!」
四限が終わったので昼休憩に入る。
「禰󠄀豆子ちゃん。食堂行こー」
「うん!」
昼食のメニューは麻婆豆腐とニラレバーと中華料理だった。麻婆豆腐は辛さが選べる。二人とも三辛にした。
「うーん! 辛ーい! でも美味しい!」
辛い、美味しいの繰り返しだった。
「次は体育だったよね?」
「うん、でも今日は鬼滅隊に関する訓練やるらしいから男女混合だって」
「男女混合か。初等部以来だなぁ」
昼食を食べ終え、教室に体育着を取りに行こうとする。教室に入ると黒板に、『今日の体育は鬼滅隊を行う時の軍服を着用して行うものとする』と書かれていた。
「軍服…何か危険なことでもするのかな」
「さあ…」
取り敢えず軍服は寮にある為、寮の個室で着替える。女子と男子では軍服の作りが少し違う。男子は普通の迷彩柄の軍服だが、女子の軍服は身体のラインが目立つように作られている。なので少し可愛い軍服なのだ。
そしてグラウンドへ集合する。チャイムが鳴り、五限が開始する。
「今日は崖登りを行う。勿論命綱を使う。いつどんな時でも崖を素早く登れたり、崖から飛び降りても着地できる力を今日は身につける。ただ危険な行為でもある為怪我には十分気をつけるように。二人一組で行え」
ピッと短くホイッスルが鳴る。
「禰󠄀豆子ちゃん、一緒に組もう」
「いいよ」
軍服のベルトに命綱を取り付け、崖に足をつける。そしてゆっくり登って行く。崖が少し崩れ、土の塊が落ちて行く。禰󠄀豆子は青ざめ、少し悲鳴を上げる。
(駄目、下を見ちゃ駄目よ、余計怖く感じるから!)
と自分に言い聞かせる。無事、崖を登ると崖の下にいる冨岡や生徒が小さく見えた。
「真菰ちゃんも登ってみてー!」
「うん今行くー」
僅かな声量だったが、なんとか聞き取れた。真菰も崖を登って行く。
「全員登ったか」
冨岡はメガホンを通して生徒に呼びかけた。
「次はそこから飛び降りてみろ。トランポリンは用意してある。恐怖心を捨てることだ」
生徒達はごくりと唾を飲む。
「命綱を付けて飛び降りろ」
禰󠄀豆子は息を整え、目を瞑り、飛び降りる。すると風のゴォーという音と共に軍服の中に空気が入って行く感覚がある。そして髪が靡く。やがてボスンとトランポリンに着地する。
「上出来だ。次、飛び降りてこい」
次々と生徒も飛び降りて行く。
「全員降りたな。皆上手だった。次も鬼滅隊に関する訓練をする。なので今日と同じように軍服を着て行う。以上、解散」
チャイムが鳴り、五限が終わる。
「はあー、やっと今日も一日終わったね。今日が五限終わりでよかったよー」
「そうだね。今日は確か柱の人達が鬼滅隊に関する計画とか訓練内容とか考えたりするらしいから」
柱は体育館に集まってそれぞれに合った訓練を考えたりするらしい。禰󠄀豆子の兄・炭治郎も最近柱になったので参加している。
「うーん、新しい武器とか良いよね。今は銃とかで遠距離に長けているけどナイフみたいな近距離に長けた武器も欲しいなーって密かに思ってる」
「確かに、怪我する確率上がりそうだけどね。でもナイフも少し憧れるなー」
イレギュラーな会話で中学生が話す内容ではない。そんな話をしながら寮へ戻る。
「うーん、もう軍服にも着替えちゃってるしこのまま自由時間過ごそうかな」
「そうだね。そうしよう」
すると寮の扉が開き、錆兎が入ってくる。肩にはタオルを巻き付けている。
「おかえり錆兎、大浴場に行ってたの?」
「ああ、五限の体育で少し汗をかいてしまったからな。ベタベタして気持ち悪いからサッと洗ってきた」
そう簡潔に説明する。
そして寮のメンバーはスマホを弄ったり、軽く仮眠を取ったりと自由に過ごしていた。
―夜二十時―
「では今日も部隊活動です。頑張ってください」
高等部三年の表向き生徒会長の胡蝶しのぶは言う。隊士達は東西南北へ走る。
「今日は何か情報入るかなー」
高等部と中等部では役割が少し違う。勿論中等部も鬼は狩るが、鬼の情報についても探している。高等部は鬼狩りがメインだ。
「あ、あれは」
禰󠄀豆子が指差した先に同じ鬼滅隊の人がいることに気づく。その先には自我無き鬼が居る。
「あの子は同じクラスの時透無一郎君だよね? ほら、中等部の中で銃の扱いが誰よりも優れてるって。あまり話したことないけど」
「同じクラス…そういえば居たね! 長い髪で毛先が水色に染まってる子。あんまり感情表に出さないけどどんな感じで暗殺するのかな」
禰󠄀豆子と真菰は草陰で時透無一郎の暗殺を観察する。時透は敢えて弾を背中に貫く。鬼は短く悲鳴を上げる。時透はそのまま鬼の頸に銃口を向ける。
「ねえ、なんで君は鬼にされてるの? 背中貫いたし痛みで少し自我は取り戻したよね? 時間ないからさっさと話してくれる?」
冷たくそう言い放つ。鬼はグルルと唸り、最後の抵抗だと言わんばかりに攻撃を仕掛けようとする。だが次の瞬間鬼の頸が刎ねた。
「情報を吐かない鬼は要らないんだよ。頭が働かない鬼はさっさと死んだ方がいいよ」
ボロボロと崩れていく鬼に最後まで毒を吐く。禰󠄀豆子と真菰は口を開けて見ていた。素早い銃裁きもだけど毒吐きすぎと思っていた。
「ねえ、さっきから何見てるの? 君達も同じ鬼滅隊なんだから、指咥えて見てる暇あるならとっとと鬼の情報探せば?」
時透は最初から気づいてたらしい。やはり毒を吐く。
「あっ…ごめんね! 貴方の銃裁きが凄かったから見惚れちゃってたの! 本当にごめんなさい!」
そう言って禰󠄀豆子と真菰は立ち去る。時透は暫く禰󠄀豆子達が去っていた方向を眺めていた。だが、やがて次の鬼の場所へ赴く。
禰󠄀豆子達は山奥深くへ入って行く。すると水の源泉があり、幻想的な場所に着いた。
「綺麗…幻想的だね。お花もたくさん咲いてる」
真菰はわあーと嬉しそうな声を漏らす。真菰の言う通り花がたくさん咲いていた。
「ん? あれは…」
花の中に禰󠄀豆子が知らない花が咲いていた。
「青色の…彼岸花? 青色の花って自然界に存在するっけ?」
「いや、存在しないはず。これ、報告した方がいいんじゃない?」
真菰は隊服の胸ポケットからトランシーバーを取り出す。
「もしもし、こちらは鬼滅隊鱗滝真菰です。自然界に存在しないはずの青色の彼岸花を発見しました。しのぶさん来れますか?」
冷静に言った。するとしのぶが返答する。
『分かりました。すぐそちらに向かいます。GPSをオンにしていただけますか?』
「了解しました」
トランシーバーの機能の一つであるGPSをオンにする。するとピピピと小さく音が鳴る。電波を発信しているのだろう。
三十分くらいしただろう。しのぶがやって来る。
「良かった、やっと見つかりました。結構深い山奥だったんですね」
「ごめんなさいしのぶさん。こんな山奥まで」
「いえいえ、で、そちらが例の青い彼岸花ですね?」
しのぶが顎で指しながら言う。
「はい」
「彼岸花は毒があるので私が抜きます」
そう言ってしのぶはゴム手袋を装着し、慎重に抜く。そして咲いている分だけ確保しておく。五、六本収穫するとそれをビニール袋に入れる。
「よし、収穫完了です。今から本部へ帰って調べます。禰󠄀豆子さんと真菰さんも着いてきてくれますか? 流石に一人だと骨が折れます」
「はい! 分かりました」
本部へ持って帰り、禰󠄀豆子達もゴム手袋をして慎重に毒抜きをする。その毒の部分にも何か手がかりがあるかもしれないので捨てずに取っておく。
双眼実体顕微鏡で青い彼岸花を観察する。
「これは…」
しのぶは驚いたような声を漏らす。
「しのぶさん? どうしました?」
「これは…大発見です! この青い彼岸花こそが人が鬼化させられていた原因ですよ!」
しのぶは興奮気味に言う。
「この青い彼岸花が…やっぱり自然界に存在しない花は危険な力を持っているのかな…」
真菰はピーンと閃く。
「これ、人を鬼化させる力を持つならそれを逆手に取って鬼から人に戻す薬も出来るんじゃない?」
「あー! 確かに! やる余地はあるかもしれません!」
「まずは調べましょう。徹底的に調べてから研究に取り掛かります。あの、禰󠄀豆子さんと真菰さんにはこれからも特殊部隊のお手伝いをしてくれるとありがたいのですが…」
しのぶは申し訳なさそうにお願いしてみる。禰󠄀豆子達は断ると言う選択肢はない。
「「勿論! いいですよ!」」
二人とも全く同じことを考えており、更に同じタイミングで言ったものだから三人は笑い出す。
「どうかしましたか?」
カチャリと静かにドアが開くと白髪の女性が立っていた。
「あ、あまねさん」
あまねは表向きキメツ学園の校長を担っている。理事長である耀哉とは夫婦であり、裏向きは特殊部隊のまとめ役を担っている。
「ずいぶん賑やかだったので」
「あ、そうなんです! 禰󠄀豆子さんと真菰さんが人を鬼化させる力を持つ自然界には存在しない青い彼岸花を見つけたんですよ!」
しのぶが興奮を隠せずに説明すると、あまねはまあと口に手を当てる。
「それではそちらの研究に取り掛かってください。今は二十二時半なので零時になったらまた声を掛けますね」
「はい! お願いします」
しのぶは敬礼する。
「しのぶさん、今よろしいですか?」
ドアの影からキメツ学園、鬼滅隊に身を置くことを許可された鬼の女性…珠世がヒョコッと顔だけ覗かせる。
「? どうしましたか」
「その、この薬品の材料をどうしようかと」
しのぶはふむふむと頷く。
「それなら、今しがた禰󠄀豆子さんと真菰さんが人を鬼化させるという材料を発見してくれたので、この毒を入れてみましょう! 何事も研究です」
「人を鬼化させる材料…?」
「青い彼岸花です。あちらの台に置いてあります」
しのぶは顎でくいっと示す。青い彼岸花はテーブルライトの下に置かれており、なお一層青く輝いていた。
「青い…彼岸花…」
「何かご存知なのですか?」
珠世はこくんと頷く。禰󠄀豆子と真菰は黙って話の行先を見守っていた。
「では…知っている事だけで良いですから、話して下さい」