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不快な着信音と共に目が覚めた。
急な脳の活性に体が驚きその勢いでベットから転げ落ちた。
見た誰もが芸術点が高いと評価するであろう体制で目が冴えるのを待つ。
状況の把握に思考を割いていると段々と大きくなってくる着信音に気づき、急いで電話に出た。
「あ、やっと出たな潔!!お前まだ日本に来てねぇじゃねぇか!!いつ来んだよ!!!!」
寝起きの脳に爆音ボイスは効くなぁ。
鼓膜が破れそうなほど勢いの良い声に若干の苛立ちと微笑ましさを感じた。
「こんな朝っぱらからなんだよ…まだ三時なんだけど」
外はまだ暗闇に覆われており冷たい空気が寝起きの体に響いた。
しかし日本とドイツでは時差が生じてしまうためこっちが三時でもあっちは十一時。ギリギリお昼時と言える時間帯だ。
それにしてももうちょっと我慢して欲しかった。
「なんなんだよじゃねぇだろぉが!!明日日本代表戦あるっつってたろ!?」
「……..は?」
突然聞こえた日本代表戦と言う言葉に驚きを隠せない。
物を薙ぎ倒しながらカレンダーの前へ行き、日付を確認する。
「今日は….10日だよな。なぁ日本代表戦はもう終わってたはずだろ?日本にいたからサッカーだけじゃなく日付まで読めなくなったのか?」
「んなわけあるかボケ!!!ちげーよ最近話題になってるブルーロック!あれを潰すために上層部が日本代表の座をかけて勝負を仕掛けたんだよ」
「はぁ?え、ブルーロックってあのストライカーを育てる所ってやつ?」
「そお。お前説明会の時もいなかったから忙しいと思ってたけど流石に前日になっても来ねぇのはおかしいだろって思って電話かけたんだケド…」
「…..知らなかった」
「だよなぁ…..。大方あのマネージャーのせいだろうな」
「あー….嫌われてるしな….俺」
「とにかく早くこっちこいじゃないとまじで日本代表剥奪されるぞ」
「分かった。とりあえずそっち急いで行くから着いたら愛空の方に電話するわ」
「了解なるべく急げよ!!」
「おう!」
通話の切れたスマホをベットに投げ捨てるとパソコンから一番早い日本行きの便を予約し急いで身支度を行なった。
「取った便は七時からだから日本に着くのは明日の六時…そこから移動しても着くのは七時か八時あたり….トレーニング時間は欲しいけどそんな贅沢言ってらんねぇな」
すっかり目が冴えてしまい二度寝する気にもなれないためとりあえずロードワークを行い、クラブの方に連絡を取ってから自宅を出た。
「あ“〜着いたぁ…….」
「おかえりよっちゃん」
「ただいま母さん。ごめんこんな朝早くから迎えきてくれて」
「あらいいのよ〜それよりよっちゃんの元気そうな姿見れてよかったわ」
こんな急な帰国を笑って許してくれるなんて本当に最高の親持ったな俺…..。
今度ご飯にでも連れて行こ。
「それよりよっちゃん時間は大丈夫なの?」
「あっやべ、そうだった」
「うふふ、もうよっちゃんたら」
「そうだ、先に愛空に連絡しないと」
「車の中ですればいいわ。送ってあげる」
「まじ!?ありがと母さん!」
急ぎ車に乗車し、発進するとすぐさま愛空へ連絡を取った。
「もしもし?」
「あ、もしもし愛空?」
「潔じゃねぇか。お前着いたのか?」
「うん。今着いたとこ。これからJFUに向かうつもり」
「あ〜じゃあ行くのはJFUじゃなくて青い監獄って所行ってくれ。住所は〜〜〜だ」
「了解」
「あとなんか持ってくものってある?」
「特に特殊なものはないな。いつものだけ持ってこい」
「分かった」
「あぁそうだ言い忘れていたんだが」
「なんだ?」
「今回の日本代表戦だが糸師冴も出場するからな」
「…………は?え?は?え、糸師冴って日本の至宝の?」
「あぁその糸師冴だ」
「….一応何で?あいつこんなのに興味持つやつじゃないだろ」
「それがご興味がおありみたいで。声かけたのはこっちらしいがまさか了承するなんてな」
「….俺いらなくね?」
「何言ってんだお前ストッパーがいないと俺らが大変だろうが」
「くそ警察が…..」
「なんとでも言え。とりあえず青い監獄ついたら案内役のやつがいるらしいからその人の指示の従え」
「….はぁ、わかりましたー」
「じゃあな」
通話を終えるとルート変更を母さんに伝え俺は後部座席に座ったまま脱力した。
「ぜってぇめんどくさいことになる….」
この短時間ですでに色々なことがありすぎてクタクタになっている潔はこれから起こるであろう巨大なイベントに頭を悩ませた。