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3年生が引退する前、俺は普通に問題児だったと思う。あの背中を見てきた。それでいいんだと思ってた。引退すると聞いた時、動揺した。だってまだ早すぎる。俺はまだ学びたい事だってあるし、やりたい事もあるのに…淡々と話す3年生をただ…呆然と立っている事しかできなかった。

茂庭 「次の主将…つまり俺の後釜は…二口に任せたいと思ってる。」

皆んなは頷いているが、俺は納得できなかった。だって今まで迷惑ばっかかけてきたのに…小原とか青根とか女川とか他に任せるべき人がいるだろ…!

特に納得も出来ないまま俺は主将として部を支えていく事になった。納得出来てないとはいえ、任されたという事実は変わらない。自分なりに頑張っている…つもりだった。

モブ1「二口もいいけどさ、やっぱ茂庭さんがいいよなー」

モブ2 「分かる‼︎なんか安心できるよな」

聞いてしまった。一番聞きたくなかった。頑張っても俺は、茂庭さんみたな主将は無理…だったんだ。


二口 「休憩‼︎水分取れよ〜」

部員 「うっす」

二口 「青根、俺部室に練習メニューのノート忘れたから取ってくる。急ぐけどもし間に合わなかったらここの指示頼むわ。」

青根 「コク」

俺は体育館を後にした。


その直後、

鎌先 「おーっす」

笹谷 「休憩中か」

茂庭 「あれ?二口は?」

青根 「部室に行きました。忘れ物したって。」

茂庭 「そっか」

鎌先 「たまには部室も行くか〜」

笹谷 「久しぶりだなぁ‼︎」

茂庭 「二口も気になるし…」

青根 「俺達はそろそろ練習開始なんで。」

茂庭 「了解」



部室に着いた俺は、しばらく固まってた。練習メニューをずっと眺めてる。前の部員の言葉がずっと頭でリピートされてる。

「茂庭さんがいいよな」

分かってる。そんな事…そう思うと涙が溢れてくる。後で流し台で顔を洗えば誤魔化せる。今はとにかく…泣きたい。


茂庭 「でも二口が練習が間に合わないって珍しいね。」

鎌先 「確かにな〜」

笹谷 「部室のドアちょっと空いてる。」

鎌先 「バンっ‼︎っていくよりちょっと覗いてみよーぜ‼︎」

茂庭 「なぜ‼︎」

鎌先 「何してるか気になるし!」

笹谷 「いいなぁ‼︎」

茂庭 「いいのかなぁ〜」


二口 「くっヒック…」

鎌先 「))コソ二口…泣いてね?」

茂庭 「うん…」

二口 「しっかりしなきゃ…俺は主将俺は主将茂庭さんみたいにちゃんとやんなきゃ…」

3年生 「…」

二口 「大丈夫…大丈夫ちゃんとやれる…よっしゃ‼︎」

鎌先 「やっべくる!」

茂庭 「早く隠れて!」



それで顔を洗ってから、体育館に戻った。

二口 「ごめん。遅れた」

青根 「茂庭さん達は⁇」

二口 「へ?」

青根 「二口…居ないって言ったら部室いくって」

二口 「いや?会ってない」

まさか…さっきの聞かれた?

その日茂庭さん達は部活に顔を出さなかった。


それから数日、頑張れば頑張るほど調子が悪い気がする。サーブだってアウトになるし、スパイクもアウト…焦ってしまう。こんな主将に誰が着いてくるというのか。

今日は午前までの部活、午後は体育館の点検が入る為、解散となった。3年生はなんか試験があるとかと言っていたが、午前までの部活の日には顔を出してくれなかった。でも正直いうと今は会いたくないのかもしれない。こんな姿見られてくない。

部活後は青根に帰ろうと誘われたが、部誌を書くのと、明日の練習メニューの確認したかった為、断った。ある程度終わったらほっとして、眠くなってきた。こんな所で寝ちゃいけないと思いつつも最近は色々忙しかった為、あまり睡眠を取れていなかった為、睡魔には勝てなかった。

寝てしまってから数分後、部室に誰か入ってきた。それはかつて引退した3年生だった。

茂庭 「話そうと思ったけど寝てる。」

鎌先 「まぁ疲れてるよな」

笹谷 「こうやってみると、二口も後輩だよな」

そんな事言って、茂庭はそっと自分のブレザーを二口にかけた。


夢の中でもずっとあの言葉が繰り返されてる。

「やっぱ主将は茂庭さんだよな」

「安心できるよな〜」

そんな事言われなくてもわかってる。

二口 「はぁ…やんなきゃ…主将らしく…なんなきゃ」

3年 「‼︎」

二口 「んっやべ寝てた…」

二口 「…」

最近の夢はこればかり…最悪…

茂庭 「二口?」

二口 「⁈」

なんでここに…今会いたくない…なんで…

二口 「なんでいるんですか…」

茂庭 「なんか新主将が参ってるって聞いたから」

鎌先 「様子を見にきたー」

笹谷 「^ ^」

二口 「暇ですか…別に大丈夫です…」

茂庭 「二口、今自分がどんな顔してるか分かる?」

二口 「鏡ないし、わかりませんよ…」

笹谷 「今にも泣き出しそうな顔してる」

二口 「!」

二口 「そんな…訳…」

茂庭 「俺達は確かに引退した。でもお前の先輩を引退した覚えはない。」

鎌先 「そうだぞ‼︎」

二口 「…( ; ; )」

二口 「みんな俺じゃなくて、茂庭さんがいいって思ってます。俺じゃ全然ダメなんです。茂庭さんみたいに慣れない。できない…なんで…俺なんすか…もっと適任がいたはずです。」

茂庭 「お前はよくやってる。大丈夫。少しづつ主将になっていけばいい。俺だって最近は全然ダメで、かまちやささやんにいっぱい助けてもらった。お前にも助け合える仲間がいっぱいいる。後、俺達はお前なら、この部を任せられるって思ったんだ。」

鎌先 「生意気で天邪鬼のくせにこういう時は全く頼らないでさ〜いっつも減らず口にくせに」

笹谷 「お前ならできる。だって俺らがそう思ったんだ。大丈夫」

二口 「はい…はい…‼︎グス」

三年生は俺が落ち着くまでずっと待っていてくれた。終いには泣きすぎて寝てしまって、気づいたら自分の部屋だった。携帯には3年生から連絡がきてた。

茂庭 『あまり無理せず。頑張れ‼︎』

鎌先 『いつでも頼れよ!ゆっくり休め』

笹谷 『お前はもっと頼っていい。無理すんな』

もういないあの背中。だけど今は、追いつきたい背中。だけど、とっても大きな存在。

俺は、いい先輩に恵まれたなと改めて実感した。

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