コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そこからの1ヶ月は早かった。
毎日毎日何気ない会話をして、
毎日ふたりで笑った。
そんな楽しい日々も束の間で、
お別れの日がやってきた。
学校は休みをとって、
ゆあんくんとゆあんくんの家族と、
俺と俺の家族。一緒に空港まで行った。
「ねぇ、ほんとに行っちゃうの?」
「…うん。」
「もうずっと会えないの?ずっと遊べないの?」
この質問だけは、
何回聞いても何も答えてくれなかった。
親たちも心配そうに俺たちを見ていた。
「そろそろ飛行機の時間だよ」
と、気まずそうにゆあんくんのお母さんか声をかけた。
「お願い…ッ、行かないで 泣」
「まだ一緒に居ようよ…ッッ 泣」
人の家庭に口は出せない。
出しちゃいけない。
そんなこと、当時の俺でもわかっていた。
でも寂しかった。
離れたくなかった。
ずっと一緒が良かった。
君は、少し困ったような顔をして俺を見た。
「ゆあんくん……ッ 泣」
「また、会おうね」
そのとき、君は
俺の前で初めて泣いた。
先月見た、
優しくて、いつの間にか包み込まれてしまうような笑顔で、泣いた。
「“お願いッ 行かないで…ッ 泣”」
そう言おうとしたけど、
その言葉は心の中にしまっておいた。
これ以上何を言っても、
これ以上何を訴えかけても、
ゆあんくんにも、ゆあんくんの家族にも迷惑をかけてしまうだけだ。
そう察した。
「絶対、会おうね ッ 」
俺がそう言うと、
君は微笑んで頷き、俺の前から姿を消した。
俺は飛行機が飛んで行って見えなくなるまで
ずっとずっと見ていた。