『ない君これあげる。』
_三年前、そう言ってりうらが差し出したのは綺麗な一輪の花だった。
『…これ何の花?』
『”ディアスキア”っていうの』
『綺麗だね。』
『ない君に似合うなって思ってさ、はい』
『ありがとう』
この時の俺はまだ、この花の花言葉を知らなかった。
その二週間後、りうらは病気で亡くなった。
病名は分からない。医師に聞いても”持病”と言われるだけだった。
突然の出来事に俺は何も考えられず、ただ泣き尽くす事しか出来なかった。
『なんで……っ』
『なんで何も言ってくれなかったの…っ』
りうらに持病があった事すら知らなかった。
「言ってくれれば良かったのに」「どうして」
そんな思いでいっぱいだった。
最愛の人が突然無言で逝ってしまう。
そんな悲しみに耐えられる人などそう居ないだろう。
顔を上げた時、真っ先に目に飛び込んで来たのは
笑顔で笑っているりうらの写真と一つの花瓶だった。
そして、花瓶に添えられた一輪の花を見た瞬間、ふと思った。
花には種類がたくさんあり、その一つ一つに”花言葉”がある。
『名前…何だっけ……』
花の名前を必死になって思い出す。
けれど、脳の整理が追い付かず、物事を深く考えられない。
そんな時、テレビに映し出された一面の花畑が目に入った
『……っ!』
その花畑には色々な種類の花があった。
そして__
『あ…これ……っ』
「この花は”ディアスキア”という花で_」
『ディアスキアだ……っ』
すぐに、ディアスキアの花言葉を検索した。
『こんなの……っ』
スマホを握る手が震える。
瞼から溢れ出した涙が、押さえようとしても止まらない。
『りうら……っ』
『許す…から……っ』
『戻ってきてよ……』
どれだけ泣いても、彼の名前を呼んでも
決して戻ってくることはない、
そう分かっていても、俺には二度と戻ってこない
彼の帰りを待つ事しか出来なかった。
「ディアスキア」別名「ディアスシア」の花言葉
それは__
コメント
1件
初コメ失礼しますm(_ _)m めちゃめちゃ好きです····!! 花言葉に込められた意味がよく伝わってきました·····😭😭主様天才ですね✨フォロー失礼します🙇♂️🙇♂️