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#大人の恋
鷹槻れん

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#ハッピーエンド
美凪ましろ
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「永遠?」
海からお腹の子の名前を聞いたのかしら?
「あの・・・永遠について何の話ですか?」
「海智が居なくなった後の永遠くんの事です」
足の力が抜けてその場に崩れ落ちそうになった所を神山さんが支えてくれたおかけでとどまることができた。
「少し、長くなります。中に入れていただいてもよろしいですか?」
神山さんも回帰しているのなら永遠のことを聞ける。私の両親に預けられた永遠のその後。
「どうぞ」
神山さんは私を支えながらリビングに向かった。
永遠の話を聞けると思うと不安と期待でいっぱいになり体が少し震えているのがわかる。
「ごめんなさい、冷蔵庫にペットボトルの水が入っていますので二本ほど持ってきていただいていいですか?今、動けそうもないので」
「構いません、失礼します」
神山さんがミネラルウォーターを取りに行っている間、ゆっくりと深呼吸をしてからお腹を優しくさすった。
手に2本のミネラルウォーターを持って戻ってきた神山さんは2本ともテーブルの上に置いたので1本を神山さんの前に置いた。
「それで?」
神山さんは両手を膝に置いて深く頭を下げた。
一体それが何に対しての行動なのかわからなくてただ神山さんの頭部を見つめていた。
ゆっくり顔を上げると話を始めた。
「わたしのせいでもあったんです」
全く、話が読めない。
もともと、漠然とこのひとを好きになれずにいたが、その理由もわかるだろうか?
「まずはわたしが奥様に片想いをしていたのが発端なのかもしれないです」
「え?」
「入社したての頃、奥様を偶然見かけていわゆる一目惚れをしました。ただ、それはわたしの一方的な想いですからずっと心の底にしまってました」
ある日、奥様が広報部の石井くんに呼び出されているのを見て、何事かと話を聞いていると岸課長について糾弾されているところでした。
正直、悪いのは岸課長の筈なのにと憤りました。
そんなとき海智から「そろそろ身を固めたいと思っている。誰かいないだろうか」と相談され、奥様のことが頭に浮かんだんです。
あの頃は海智が継母とあんなこといなってるなんて思いもしなかったから、男前で財力もあり優しいアイツなら奥様が幸せになれると思っていたんです。
それが、奥様と海智を引き合わせた理由です。
でも引き合わせたことが失敗だったとこの後、後悔しました。
社長が居眠り運転で事故死をしたあと、奥様まで事故死されて、流石におかしいと思いました。
奥様が亡くなった後、海智の様子が明かにおかしくなっていった。
社長の遺言書の内容も違和感がありました。
“あの”継母が姻族関係終了届を提出したと聞いて驚いたのですが、海智となにかの取引をしたのかもしれません。ただ、海智が身の回りの整理をし始めたこと、そして永遠くんを奥様のご両親に預けに行った時に幕引きをするつもりなんだと思いました。
USBを渡され永遠くんの後見人を頼まれました。
そして、◯◯ダムに行くと言い残して姿を消しましたが、死体は見つかってないんです。
ただ、今の海智があの海智ではないのならやっぱりどこかに沈んでいるのかもしれないし、随分と後になって見つかったのかもしれません。
USBに保存されていた手記は驚く内容でした。そして、わたし自身が奥様を死に追いやる原因の一つになっていたことに衝撃と後悔に襲われました。
「永遠はどうなったんですか?」
小さい頃は両親がいない事で随分と寂しい思いをしてました。祖父母は健在でしたが子供同士というのは時に残酷ですから。
中学に上がる頃には随分と荒れてました。
両親がおらず、それでいて新宮電機の相続人でもあります。自ずと良くない大人たちが近づいて影響も出てきました。
後見人だとしてもわたしには永遠くんを止めることが難しかった。
高校には入学はしましたが、新宮電機の後継者としてはもう無理だろうと言う話が出てきて、わたしは永遠くんにあのUSBを渡しました。
永遠くんは両親の死の真相を知らなかったからそれを知って欲しいことと、永遠くんにとってお祖父様である社長が永遠くんと奥様に全てを残そうとした事を、永遠くんを愛していた人がいたことを知って欲しかった。
しかし、それから1ヶ月もした頃、ニュースで意外な人物の名前を目にしました。
三田弥生
弥生さんの旧姓です。
彼女は一人になった後、生活は苦しかったようです。その彼女が無惨な姿で河川敷に捨てられているのが見つかったというニュースでした。
永遠くんが直接手を下したわけでは無いでしょうが、関係は無いとも思えませんでした。
その頃の永遠くんはすでにその世界から抜け出せなくなってました。向こうも永遠くんは御しやすい金蔓となってました。
「あなたは後見人だったんでしょ?」
永遠くんに海智が消えたダムに行きたいと言われて二人で行きました。
わたしは永遠くんを可哀想な子供という想いから何をしても目を瞑ってきました。でもそれが大きな間違いだった。
奥様の愛情に関して、祖父である社長の想いを永遠くんの為に会社を残したいという海智の想いをもっと早く伝えるべきだった。
二人で車でダムに向かいました。
車の中で永遠くんがボソリボソリと話をはじめたんです。
「母さんは綺麗で優しい人だったんだね」
ええそうです。
「母さんは父さんと結婚しなければ幸せになれたのかな」
そうかもしれませんね、でもそうなると永遠くんはこの世に存在しなかったです。
「俺が生まれてきた理由はなんだろう」
少なくとも、お母さんもお父さんも永遠くんを愛してました。そして、祖父である社長も永遠くんが可愛いからこそ、会社を永遠くんに残すようにしたんだと思います。
「それなのに俺は会社を危険に晒してしまうところだったよね」
今からでも軌道修正しましょう。
「そんなの無理だって神山さんがよく知ってるじゃないか。今まで神山さんの言うことを聞かなくてごめん」
わたしも永遠くんをきちんと導けなくて申し訳なかったと思うよ。
途中コンビニに寄ると、花束が売られていたので一つ購入しました。
海智に手向けるつもりで。
「永遠は苦しんだのね」
車から降りて目的地まで二人で歩きました。
こんな風に、穏やかに二人で歩いたのは初めてでした。
「俺が反社との繋がりを持ってしまったせいで、会社はマズいことになってしまうんですよね。お祖父ちゃんの気持ちを踏みにじてしまった俺を排除して欲しい」
わたしにも責任は大いにあります。
一緒に責任を取りましょう。
「神山さんがはじまりなんでしょ?」
そうですね、この物語の始まりといえばそうかもしれません。
遠くにダムが見えてきてその手前の橋の上に立った。
下を見ると轟轟と川が流れている。
海智はどこにいるんだろう。
手に持った花束を川に向けて投げ入れる。
「生まれ変わったらまた母さんの元に行けるかな?そうしたら、あんな父さんじゃなくて母さんを幸せにしてくれる人が俺の父さんになってほしい」
弥生さんの死に永遠くんは関わってる?
永遠くんはニッコリと笑って、わたしの胸を勢いよく押しました。
落下していく時に永遠くんが落ちてくるのが見えましたが、わたしの記憶はここまでです。
涙が止まらない
「神山さんはいつ回帰したんですか?」
目の前に座り淡々と話をしていた神山さんがペットボトルの水を一気に飲み干すと丁寧にキャップを締めテーブルに置いた。
「奥様に一目惚れした日です」
え?
「それなら、海との見合いを無かったことにすればよかったんじゃ無いですか」
「永遠くんは新宮永遠として新宮電機を継ぐ者として導かないといけないと思いました。だから、見合いをセッティングしたのですが、そこに現れた奥様は“知らない”奥様だった」
どう言うこと?
神山さんのストーリーでは無いということ?
「わたしは永遠くんのことを見届けようと思ってましたが、その最後を見届けることができませんでした。だから、この世界のわたしたちが永遠くんが回帰するためのものなのか、前回の世界で永遠くんがずっと夢を見続けている状態なのかはわかりせん。ただ言えることは、あの世界では永遠くんを除いて全員が亡くなりましたが、この世界ではあくまでもわたしはわたしとして、奥様は奥様として生きているということです」
「永遠が望んだ世界だと言うこと?」
「永遠くんが望んだ、奥様が幸せな世界だということです」
そう言うと、神山さんは深くお辞儀してから「わたしの役目は終わりました」と言って出ていこうとした。
「まだ、終わって無いですよね?」
神山さんは驚いた表情で振り返った。
「見届けるなら、これからが本番ですよね?」
その言葉に、微笑んでから帰っていった。
あんな表情が出来るんだ。
いつも、無表情で嫌な感じを受けていた。でも、あの人なりに責任を感じて生きていたんだ。
お腹をさすりながら
「新宮永遠くん、早く出ておいで」
前回の辛い記憶を捨てて
あなたが望んだ家族の元に
コメント
1件
**リオン(@古書研究/INTP)** 神山さんが“全知の語り部”として全てを明かした回、すごく重かった…。特に「永遠くんを除いて全員が亡くなった世界」があった上で、今の世界は永遠くんが望んだ“母が幸せな世界”だという整理――これ、単なる死戻りじゃなくて“願いが作り直した世界”って構造なんだね。神山自身が最初の一目惚れの日に回帰してるのも伏線として美しい。ラストの「見届けるならこれからが本番」には震えたよ。