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戦火の名残が残るロスサントスの夜
餡ブレラとMOZUの兵たちは次第に銃を下ろし、街の喧騒も静まりを取り戻していく
ズズはまだウェスカーの胸の中にいた
その腕は相変わらず強く、けれど先ほどのように檻のような冷たさではなかった
「…ズズ私はお前を檻に閉じ込めることしかできないと思ってた。だが違った。こうして抱き締めるだけで……お前は私のものだ」
ズズは息を吐き、肩をすくめて笑う
「……やっと気づいたんか、遅いわ。せやけど……檻ん中より、こうして腕の中の方が、なんぼかマシやな」
ウェスカーは目を細め、その笑顔をしばし見つめる
「お前の笑顔は、私の光だ。……街で笑わせるのも、私の前で笑うのも、どちらもお前の自由でいい。ただ、最後に帰る場所はここにしろ」
ズズは黙って頷いた
やがて顔を上げ、冗談をひとつ
「……ほな、俺の“彼氏枠”は一生満席ってことやな。払い戻しナシで」
ウェスカーは珍しく声を立てて笑った
その笑いは怪物のものではなく、ただひとりの男のものだった
ズズはその胸に顔を埋め、心の中で小さくつぶやく
檻でも鎖でもない、笑いと愛で繋がる場所
ここからまた、俺の舞台は続いていくんや
ロスサントスの夜に、静かな幕が降りた
*end*
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