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あらすじ
ペット以外の家族が旅行に行くと言うことで、1人剣持刀也の家にお邪魔することになったふわっち。先住犬の晴にはアニキと慕われているが果たしてうまくやっていけるのか・・?編
「適当にくつろいでてください。」
「いやぁなんかやるっすよ自分。全然こき使ってもろて」
一人暮らしだというもちさんの家は、2LDKの広めのマンションだった。
晴が住むようになってベッドや趣味の研究などでスペースをとっているようだが、元からそこまで物でいっぱいにする性格でも無いようで部屋はどこもスッキリ整頓されていた。
「うちの犬にやらせるから大丈夫ですよ」
「おい犬使い荒いってぇ!」
案外仲良くやっているんだな、と思いつつお言葉に甘えてソファにそっと座っておく。
初日から張り切っていても始まらない。明日からまた手伝えることがないか聞いてみよう。
すんすん、部屋の匂いを嗅ぐと、他人の家の匂いがする。使っているルームフレグランスの匂いなのか、爽やかさを感じる匂い。
なんだか安心して、ソファに置いてあったクッションをいじっている内に、気づけば眠ってしまった。
「ふわっちー?そろそろご飯・・あ」
「アニキ、不安そうな顔してましたからね〜。疲れちゃったのかもですね。自分ご飯の用意しときます!」
誰かに頭を撫でられている。
犬耳の後ろをカリカリされると、気持ちよくて顔がふにゃふにゃする。
暖かい手が顔の方に下がってきたので、もっと撫でてほしくてすりすりと顔を擦り寄せた。
「ん、」
「起きた?ふわっち」
「もちさん?」
もちさんの手が顎下を撫でる。
思わずパタパタと尻尾を振る。あまり脳と連動していないから、尻尾が勝手に揺れているといったほうが正しいか。
「・・気持ちいいの?」
「うん…もっと撫でてほしいっす」
家じゃこんなに優しく撫でてくれる人はいない。旅行にはペットだからと連れて行ってもらえないが、しぃしぃとりりむはどっちかというと兄妹みたいなもので、こっちが頭を撫でてやることはあっても撫でられることはほとんどない。
撫でられるのって意外と気持ちよかったのか。帰ったら雲雀あたりにやってもらおう。
撫でる動作が止まったもちさんに痺れを切らして、グリグリともちさんのお腹に頭を擦り付ける。
寝起きのポヤポヤで撫でてもらいたい欲しかなかったが、もちさんは若干、いやかなり恥ずかしがっているようだった。
知らん知らん。ペットは欲望に忠実なんやから。
「撫でてくれへんの?もちさぁん」
「はぁ…ふわっちほんとに犬みたい」
「ふふ、今は犬やもん。かわええやろ?」
「・・・ま、否定はしないけどね」
ワシワシ、両側から頭皮をマッサージするみたいにしてもらって至福の時は終わった。
その頃には完全に目が覚めて、晴が用意していた晩御飯も3人で食べた。
「俺ってソファで寝ていいすか?」
お風呂も終わってさぁ寝るかと言うタイミングで思い至ったが、寝る場所がない。
客用の布団は晴が使っていて、買い足していないらしい。
ソファで毛布をかぶって寝るしかないかと提案すると、もちさんに反対された。
預かった以上は不自由ある暮らしをさせたくないらしい。
「甲斐…うちの犬と寝たら?」
「晴どうせ繊細やから、隣で寝たら寝れんくなるやろ。」
「う、、いやぁじゃあ僕がソファで」
「・・いいよ。僕の部屋で寝よふわっち」
後ろで晴が目が取れんじゃないかってくらいかっぴらいて驚いているが、もちさんの部屋まで手を引かれついていく。
ベッドはセミダブルで、詰めれば2人でも寝られそうだ。
「僕右側で寝るんで、ふわっちは左側使ってね」
「うぃす」
ベッドに寝転ぶと、ひんやりと冷たい。
すぐ温まりはするだろうが、思わず近くの暖に擦り寄る。
「寒いよね、ごめんね」
「あ、いや…もちさんにくっついてたらあったかいよ」
足を絡ませて、上半身もしっかり抱きついて暖をとる。
もうだいぶ温まりはしたが、いっそこのまま抱きついて寝るのも悪くない。
もちさんの顔をチラリとみるとパチリと目があった。
ふふっと笑われて頭を撫でられる。
どうやら結構もちさんと仲良くなれたらしい。
「おやすみ、ふわっち」
「もちさんも、おやすみ」
その日、夢をみた。
あったかいハリネズミのぬいぐるみを抱いて、いろんな場所に飛んで観光した。
楽しかった夢の最後に、あったかい手で撫でられてとても気持ちよかったのを覚えている。
起きたらもちさんはすでに朝食の準備でベッドからいなくなっていてさみしかったが、心はぽかぽかしてしばらくぼーっとしていた。
おい剣持って甲斐田のこと晴なんて言わなくない!?ってなってうちの犬表記になった。
実際はみんな苗字ちゃんとあるけどバーチャル東京世界のバグってわかってておままごとに付き合ってるみたいな感覚です。
間違って普通の呼び方で書いちゃってたらすみません。