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〜前回のあらすじ〜
・セクハラ被害に遭いました
・渚は処女だった
「ひやぁ…人が多いよ……」
日が沈んできたのにも関わらず、街は来た時と変わらず活気が溢れていた。
水に流されるそうめんのように、周りの人達にそのまま流されてしまいそうだ。
「山菜屋は、こっちか?やっぱり異世界なだけあって体つきがいい人多いんだなあ……俺もあんな感じになりたかったよ……」
ミルノに夕飯の買い出しを頼まれ、嫌だと駄々をこねる足を引きずり、おつかいに出かけた。
ここら辺はかなり入り組んでいて、ミルノに貰った地図を見ながらじゃないとすぐ迷子になってしまう。
「お、山菜屋発見♪こんにちは!あれ、おばさんの耳……」
「ん?ああこれかい?私は獣人系の魔物なんだよ。ここら辺じゃ珍しくないだろ?」
山菜屋のおばさんの耳には、猫のようなふわふわの耳が生えていた。
時々ピクピク動き、しっぽもゆらゆらと、おばさんに合わせて動いている。おばさん達のような動物っぽい見た目をした魔物を獣人系というらしい。
元の世界ではゲームの中だけの話だったし、思わず目が引き寄せられてしまう。
だが、ここら辺では大して珍しくないみたいだ。
ミルノやルスカーさん達が住むアスラー地区。この地区では、魔物と人間の共存のために色々な工夫がされているらしい。
でも、残念ながらアスラー地区以外は魔物のことをよく思っていない。
それにも関わらず、月に一度、数人の魔物の娘が王宮に食事会に招かれるらしい。
なんで?と思ったが、詳しいことはミルノから聞いていない。聞こうとしたが話をそらされ、家を追い出されおつかいに…とゆうわけだ。
「やっぱり見た事ないものばっかだなあ…あれは、リンゴか?結構似てるものもあるんだ」
「ここの山菜は美味しいもんばっかだからね。ゆっくり選んでいきな」
店に吊るされた肉も、カゴに入れられた果物も、そこら辺に歩く人々の格好も、全てが前の世界では見たことがない。
まあ、前の世界でもあんまり外の世界を見てこなかった訳だが……
「あの、この野菜とこの野菜、両方2つずつください」
「はいよ。あんた、 おつかいかい?小さな女の子が1人でなんて偉いねぇ」
「いや、そんな…」
中身は16歳の高校生なんだよなあ……
優しい笑顔を向けられて、何故か照れくさいと思ってしまう自分が恥ずかしい。
でも、悪い気分じゃないのは否定しない。
やっぱりこの国は優しい人が多いみたいだ。
「この辺りは、魔物に随分優しいですよね」
「そりゃあ、あのアスラー様がお許しになっているんだからね。みんな理解してくれてるんだよ。だからこうして店も立てられるんだ」
どうやらアスラーとやらはかなり人望が厚いらしい。通り過ぎて行く人々を見ればわかるが、みんな笑顔に溢れている。魔物と人間が手を取り合って暮らす場所、悪い気はしない。
なんで魔物の入国を許可したかは、誰も知らないらしいけど……
「見たところ、あんた淫魔系の子だろ?なら、暗くならないうちに早く帰った方がいいよ」
「?どうしてですか?」
聞くと、おばさんは辺りをキョロキョロ見渡し、人がいないのを確認して耳に顔を近づけてきた。
「ここら辺は、淫魔系の女の子にいやらしいことをしようとする輩が多くてね…たまに路地裏で使い捨てられた女の子が見つかってるんだよ……」
「そうなんですか…気をつけておきます」
まったく、マセたガキもいたもんだ。
明るいところには、必ず影ができる。それは、光が強ければ強いほどに、大きくなるものだ。
今の俺は、不本意だが 可愛い。襲われる危険性も視野に入れておかなければならない。
「まあ、夜じゃなくても十分に気をつけておいてね。これ以上…あの子みたいな女の子は見たくないんだ……」
おばさんは、優しく見送ってくれた。
大きく手を振り、孫を見送るおばあさんのように…だが、どこか切なそうだった。
あの子みたいな…被害者に知り合いでもいたんだろうか。あのおばさんの店は、個人的にも通うようにしよう。
「そろそろ暗くなるな…おつかいもすんだし、変なやつに狙われる前にさっさと帰ろう」
赤くなった陽の光に背中を向け、帰路を辿る。
さすがに日も沈んできたこともあり、人の数はだいぶ減ってきていた。
外に出ている人は、だいたいが似たような格好をしていた。
夕日の光に背中を押され、急かされるようにミルノ元へ帰ろうと足の動きを早めると、他のとは雰囲気の違う建物に目と足が止められた。
冒険者協会、またの名をギルド。
ファンタジー系のゲームで、耳にタコができるほど聞いた単語だ。
ゲームで見るより何千倍も味が出ていてゲーマーの血が騒ぐというもの、俺は完全に憧れを持ってしまった。
「冒険者、なってみたいなぁ……」
「おや、嬢ちゃん。もしかして冒険者になりたいのか?」
どうやら独り言が聞かれてしまったみたいで、3人組のガラの悪いおっさん達がつるんできた。
な、なんだ?こいつら、適当にあしらおう……
「ま、まあ…興味はありますけど、」
「なら、俺らについてこいよ。これでも俺らはD級冒険者なんだぜ?」
「俺らについてこれば、 わるいことはしないぜ?」
「1人じゃ危ないぞ?おじさん達についてこいよ……」
おめぇらが1番危ねぇよ!ナンパか?これがナンパと言うやつなのか!?
男どもに感じる気色悪さを押し殺し、引きつった笑顔を無理に浮かべる。
「結構です…私、おつかいから帰る途中なので……」
「え?おつかい帰りなの?じゃあおじさん達が送ってあげるよ〜……」
めんどくせぇ…いっその事走って逃げるか?
「もういいですか?あんまり遅れると怒られるんですけど……」
「なぁ、もういいんじゃねえか?早くヤりたくてしょうがねぇよ」
おい。言葉に出てるぞ、おっさん。
素っ気ない態度であしらわれたことに気分を害したのか、男の目は鋭くこちらを睨むようになっていった。
「それもそうだな…じゃあ嬢ちゃん、ちょっと来てもらおうか?」
「え?いや、そういうのはちょっと……」
「大丈夫だって!おじさんたち、結構女の子の扱いには慣れてるからさ……」
「さあ、こっちに来い!」
「っ…いった…ちょっと!」
男どもに乱暴に手を引っ張られ、路地裏に軽く投げ飛ばされてしまった。
男どもは、下心丸出しでこちらを見つめ、いやらしい笑みを浮かべている。
コレがおばさんの言っていた輩だろう。
「へへ、淫魔の女はま〇この形が整ってるからなぁ……名器揃いで玩具にちょうどいいんだよw」
「しかも、こいつ多分処女だぜ?身体もまだ小せえしな……」
やばいやばいやばいやばいやばい!!!
こいつらほんとにやばいよ!!受付のおっさんもなかなかの変態オーラがあったが、こいつらは比べもんにならん!
目の前の2人に気を取られていると、後ろから力強く手足を握りしめられ、顔を壁に押し付けられ下半身を突き出す姿勢になってしまった。
転生後の俺の体では、本気になった男どもの怪力に抗える筋力はない。
怖い。怖い怖い怖い。
怯える子犬のように震える俺を無視して、男達はゆっくりとこちらに近づいて、手を伸ばしてくる。
「ちょ、やめろ!」
「ぎゃあぎゃあ騒ぐなよ…近所迷惑だぞ?それに、可愛い顔が台無しだ……」
男は、俺の顔をいやらしく撫でている。少しずつ、少しずつたっぷり味わうように…
そしてその手は体を這い回り、次第に首筋、胸、そして、 ついに下半身まで伸びて行った。
「おお、なかなか上物だな……ん?おいおい!こいつ下着つけてねぇぞ!」
「くぅ〜!そそるなぁ〜!」
「やめろ!私は男だぞ! 」
「今になってそんな嘘通じねぇよwそれに、確かめればいい話だし…な!!」
男は俺の服をビリビリと破り捨て、月明かりに照らされた白色の肌 を舐めまわすように眺める。
無力な俺の姿に興奮したのか、男の下腹部は刺激され、不自然な膨らみができていることが服越しでもわかった。
「うひょ〜!結構いい身体してんじゃねぇか!」
「やめろ!見るな!」
「こんなの目の前にしてお預けに〜なんて、お前の親にも申し訳ねぇだろ?毛もないし、やっぱり処女だぜ!」
「じゃあ、こいつの初めては俺が頂くとするかなw」
男はそう言うと慌ただしくベルトを外し、ズボンを下ろす。勢いよく姿を現したソレは、俺の裸体を目にしたからか既に最高潮のようだった。
男のソレは、ビクビクと脈をうち、 待ちきれない。すぐに目の前のガキをめちゃくちゃにしたいと言う男の欲望が詰まりにつまり、はち切れそうな程に膨れ上がっている。
「や、やめろ!そんなもの私に向けるなよ…」
今の自分の無力感と圧倒的な力を前にした絶望感が目から溢れ、俺の頬を伝った。
やめろ、やめてくれ……
そんなことを言っても、呼び寄せるのは助けではなく男どもの性欲だけだった。
「おいおい、泣かないでくれよ…俺らが悪者みたいだろ?今から気持ちよくしてやるよ」
「むぐっ!」
男たちのがさついた手に無理やり口を抑えられ、同時に何かを口に入れられる。
その何かを飲み込んだ瞬間…身体中が熱くなり、自分の秘部がヒクヒクと何かを求めるようにうごめき始めた。
どうやら、媚薬を盛られてしまったらしい。
「じゃ、挿入るかw」
「おいおいw前戯がねぇと女にモテねぇぞ?」
「いいんだよwどうせまたヤり捨てるんだからよw」
「そうなのか?勿体ねぇ…捨てるなら俺にくれよw」
男の手が俺の肌を伝い、秘部に近づけば近づくほどに、俺の恐怖感は増していく一方だった。
自分の気持ちとは裏腹に、秘部が反応してしまう。愛液が垂れ、ガクガクと震える。
過敏に反応する俺を見て、男たちの乱暴は更に勢いを増す。
「こいつ、胸もそれなりにあるなぁ…どれw少しイタズラしてやろうw」
いやだ……だれか、助けて……!!
「女の子に乱暴するのは、関心しないな」
「あぁ?なんだてめ__」
「……え?」
俺がハッと目を開いた瞬間、バタ…という何かが倒れる音と、同時に聞くに絶えない鈍い水しぶきのような音が聞こえた。
「ひ、ひええ!!」
「やりやがったな!てめえ!」
男どもの怒号が聞こえたのを最後に、俺の腕を掴んでいた男の力が一気に緩んだ。
何が起こったのか分からず困惑していると、先程まで俺を強姦しようとしていた男どもとは違った声が聞こえた。
「大丈夫かい?お嬢さん」
目の前には、月の光に照らされた金色の鎧を纏った金髪の男が手を差し伸べ、こちらを見ている。
光を反射しているからか、全体的に金色が目立つからか、それとも、救いの手がただただ眩しく見えたのか…今の俺には分からない。
でも、今はその手が眩しかった。
「あ、あぁ……」
「もう大丈夫だ。この俺、金色の獅子王の前に強姦魔は滅び去った___」
「うあぁあぁん!」
「え!?ちょ、ちょっと?今決め台詞の途中なんだけど!?」
涙が溢れた。
さっきとは違って、絶望や恐怖からの涙ではなく、救いに喜ぶ希望と歓喜の涙が……
自分が泣かせてしまったと思ったのか、俺の泣き声が人々を呼び寄せていないか辺りを不安そうにキョロキョロ見渡している。
イケメンには似合わない素振りに少し拍子抜けしたが、そんなこと、今はどうでもいい。
「ね、ねぇ、泣き止んでくれないかい?その、誤解されちゃうかもしれないしさ……」
「ごべんなざい…お、俺……」
「うおっと…大丈夫だ。もうここには、俺らしかいないよ。だからもう安心して」
怯えながら男に抱きつく俺を、男は優しく慰めてくれた。
男が身につけている硬くて冷たい鎧も、今は暖かくて、柔らかくて、たまらなかった。
子供の女の子みたいに泣きじゃくって、顔をぐちゃぐちゃにしても今はどうでもいい。そう思えるくらいに……
「ナギサ〜!どこいっちゃったんですか?」
「ん?ミルノ?」
「あ、ゴルドー?あの、ここら辺に白い髪の女の子いなかったです……って、」
「あぁちがうんだ!!これは__」
「今まで恋人がいたことがないからって…剣士から強姦魔にジョブチェンジしたんですか……そこまで落ちるとは」
「違うよ!俺はこの子が襲われてたから__」
必死に弁解の言葉を並べるゴルドー。だが、その言葉は全てはね飛ばされてしまった。
目の辺りが暗くなり、ゴルドーのことを見下すばかりで、裸の俺に目は行かないようだ。
「問答無用!!」
ミルノがそう言うと、辺りの空気が黒く色づきミルノの足元に収束する。次第に黒い靄はバチバチと音を立て、豪雨のように怒り狂う。
「まて、やめろ!!」
「パラライズ!」
その瞬間、耳に後味を残す轟音が路地裏に鳴り響き、辺りの住民を叩き起してしまった。
俺が抱きついていたゴルドーは黒焦げになり、爆発した頭からはバチバチと残った静電気が音を立てて顔を覗かせている。
「ふぅ…ナギサ!大丈夫ですか? 」
「俺は大丈夫だけど、そっちは……」
「良かったです。野蛮な男どもにナギサの初めてを奪われなくて」
「いや、そのゴルドーって人は?」
「さ、早く帰りましょう。ご飯も早く食べたいですし」
「完全無視!?」
黒焦げになり口から煙を上げているゴルドーを無視し、ひと仕事したぜと謎の達成感に胸を張るミルノに手を引かれ、俺はそのまま家に連行されてしまった。
気づけば辺りは暗くなり、遠くなるにつれゴルドーの姿は見えにくくなって行った。
俺の見間違いかは分からないが、最後の方、ゴルドーが白目になりながらこちらにSOSのサインを送っていた気がしたが……ゴルドーは次第に路地の闇へと吸い込まれていってしまった。
「あの…俺の事も、助けてく、れ……」
これからこの国で色々なことを起こすつもりです。