コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
バタン!
と、音を立て車のドアが勢い良くしまった
「忘れ物は無い?」
運転席に乗った母が席から身を乗り出すように僕の方を向いて言った
「えっと、無いかな…」
僕は一つ一つ大事なものと入れた場所を思い出しながら答えた
バタン!
と、音を立て車のドアがまた勢い良く閉まった
「ほんとに無いのか?」
と、助手席に乗った父が握った手を出しながら聞いてきた
「え、?多分ないと思うけど…」
心配になりながらも僕は答えた
すると父が握った手のひらから、僕の大事なお守りが出てきた
「あ、!!!」
僕は、びっくりして大きな声を出した
「うるさいわよ」
隣に座っている姉からデコピンをされた
「ごめん、」
僕がそう言うと被せるように母がエンジンを入れた
そして、父が僕の方にお守りを投げてきた
ぼくは、アワアワとしながらも落とすこと無くキャッチした
走り出して1時間くらいたった頃赤信号で止まった時
「あ、そう言えばさ引越しの車予定より遅れるって」
母がすごく大事なことをサラッと言った
「は!?」
父、姉、そして僕の声が車内に響いた
いや、何なら車内が揺れたのではないか、と錯覚するほどにうるさかった
「うるさいわね」
何故こんなにもこの母親は落ち着いているのだろうか
何があんなに母を落ち着かせているのだろう
何があったら落ち着かなくなるのだろう
なんて考えていると、車が急ブレーキをかけて停車した
「うわっ、!」
シートベルトをしていたものの、前に倒れそうになった
「やば、ちょー危ないじゃん」
姉が、そう言った
「だって野良猫が出て来たんだもん、仕方ないじゃん」
母が言い訳をした
「良かったな〜シートベルトしてて」
父が母の話を遮るように得意のポジティブシンキングを発揮した
「いや、そうだけどさ、!」
と、姉が言った
「良いじゃないかお姉ちゃん」
と、父が姉をなだめるように言った
「お父さん、その呼び方やめてってば!」
と、姉が反抗期特有のお父さん嫌いを発揮する
喧嘩になった時、巻き込まれたくなかった僕は
自分に僕は空気だ、と思い込ませたのも効果はなかったようで
姉の母が悪い
父の怪我をしてないんだからいい
と、言う喧嘩(?)が僕を挟んで行われ、2人に巻き込まれ、
「あんたも、危なかったと思わない!?」
と、姉
「シートベルト付けてたんだから良いよな!」
と、父
と、言うきっと無視をし続けても終わりのない問いかけが始まってしまった
事の発端の母は、自分は関係ないと、言わんばかりに平然としている
何度も思う、
何故こんなにもこの母親は落ち着いているのだろうか
何があったら落ち着かなくなるのだろう
と、
「どーでもいい」
と、母が言い姉も父も先程までバチバチだった火花を水の中に放り投げた様に静かになった
僕は思った
何故事の発端の一言で静まるのか
と、だが読書をしたかった僕には好都合の静かさだった為、僕は、思い入れのある小説を開き本の世界に入った