この作品はいかがでしたか?
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桃「ん…ん……?」
赤「あ、やっと起きた?」
俺の膝枕で寝ていたないくんから短く声が上がる。どうやら目が覚めたらしい。
…別にやましい理由があって膝枕したんじゃない、さっきあれだけ泣いてたないくんをベンチに転がすの可哀想だなって思っただけ。
桃「りぅ…?」
赤「ん、そうだけど?寝すぎだよばか」
桃「……へへ…ごめぇん」
さっき泣いたのを覚えているのかいないのか、今は緩い笑みを浮かべている。
赤「ところで次のバス30分後なんだけど…どうする?乗ってみる?」
…何があったのか聞いてみたいけど、それを聞いたらきっとないくんは嫌がる。
俺も聞かれたら嫌だし、ないくんは俺に聞かないでいてくれてるから。
だからさっきのは俺の心にしまっておく。
桃「え、バス!?乗りたい! 乗ろ!✨」
赤「…ほんっと子供」
桃「りうらだってばぶちゃんじゃん(?) 」
赤「誰がばぶだはっ倒すぞ(( 」
桃「ふははっ笑」
そんな楽しい(?)やりとりをしていると、ないくんの視線が止まった。
赤「?ないく…」
桃「ちょっとここで待ってて!」
…そういって置いてかれた。
赤「…」(ベンチで体育座り)
全く知らない景色と駅名。あぁ、俺はほんとに逃げ出してきたんだと実感する。
赤「死んだ事になってんのかなー…俺」
まぁ、そうだとしても誰も悲しまないだろうし、帰るつもりはないから別にいい。
赤(……あの子なら、悲しんでくれたりするのかな…)
唯一”俺”を見てくれたあの子なら…悲しんでくれるかもしれない。ただ、今何処にいるのかさえ分からないけど。
赤「…また会いたいなぁ」
そう思い出に浸りかけていると首筋にひんやりとした感覚が伝わる。
赤「ひゃ、冷たっ…!?」
桃「あはは、反応良っ!」
振り向くとそこには面白そうに笑うないくんが立っていた。
赤「っあのねぇ…💢」
桃「まぁまぁ落ち着きなさいって〜」
はい、と何か渡される。
赤「?これ…アイス?」
桃「そ!今日暑いし、さっき膝枕でお世話になったみたいだし」
赤「…初めて食べる」
桃「まじ?俺も笑」
赤「まじ?」
桃「まじ。…どっから開けんの?これ」
赤「えー…ここじゃない?」
桃「あ、すごい開いた」
赤「そりゃ開けたんだから開くでしょ…」
200円ほどの自動販売機のアイス。それすら自由のなかった 俺には初めての経験だった。
そしてそれはないくんにとっても初めてらしい。
2人でなんとか封を開けた。
桃「じゃ、いただきまーす」
赤「いただきます」
ようやく開けたアイスをぱくっ、と2人同時に口に入れる。
赤「…!」
桃「っ…!」
赤組「美味しい…!」
桃「すごっ!冷たい!甘い!✨」
赤「こんな美味しいんだ…」
食べた事の無い味だった。冷たくて甘くて、口の中でとろとろ溶けて美味しい。
海の景色もアイスの味も、知らなかった事が減っていく。ないくんのお陰で知ることができた。
赤「…教えてくれてありがとね、ないくん」
桃「ん、?なんかいった?」
赤「…なんでもない!」
その時初めて…いや、久しぶりに心から笑えた気がした。
バスがくるまで後15分ほどの時間、俺たちは2人並んで初めてのアイスを味わった。
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前話のコメントで変態さんが多く見られましたが大丈夫でしょうか🙄←お前もや
さっき1時間ほどかけて作り置き作成したので尽きるまでは何本でも投稿します。
♡600↑で順番に投稿していくのでよろしくです👊🏻
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コメント
14件
あれこれ読んでなかった🙄🙄 毎度のことながら桃さんがかわよい。 アイス初めてってまじか…! 袋の開け方わかんないの可愛いかよ
タイトルみて腐腐腐…ってしてたらちがうくて恥ずかしかった😇😇 神すぎるんだよ👍👍
初めてで 赤組かぁ、、、😊😊って思いながら読んでましたね。うふふ😸😸😸