ドカァンッ
「何事だッ!?」
「な、何何ッ?!」
「よォ、武装探偵社」
勢い良く投げ飛ばされる扉に其の場に居た探偵社は混乱する。因みに乱歩さんと社長は出張中だ。
扉が吹っ飛んだ拍子に舞った煙と埃の中から現れたのは現在停戦中のポートマフィアの準幹部、中原中也。
「げ、蛞蝓じゃないか」
「誰が蛞蝓だクソ太宰!!」
「私は一言も中也が、とは言っていないよ?若しかして自覚が有るのかい?」
「チッ!」
「なんだ、今日はやけに張り合いが無いじゃない。詰まんないなぁ」
「で、ポートマフィアが何の用だ?部下も連れないで。」
太宰がルーティンの様に中也を煽り出すのを国木田が一刀両断。中也から依頼内容を聞き出し始めた。
「嗚呼、そうだった、緊急の依頼だ。ポートマフィアの情報網に潜入された痕跡が見つかった。」
「ハッカー、かい?」
「そうだ。だが足を付けねェ。ウチのハッカーじゃ手に負えない。という事で、探偵社に其のハッカーを突き止めて貰いたい。」
中也は先程とは打って変わり、真剣味を帯びた表情で話し始める。途中与謝野女医が話に突っ込むも、其の儘話が進んだ。太宰はソファに寝転がって「其の儘情報全部抜き取られて崩壊しちゃえば良いのに」と言ったが見事なまでに無視された。
それ程までに中也の表情は切羽詰まっていた。
「だが、探偵社には今そっちに詳しい奴が居ない。」
「其処に関しては大丈夫だ。アテがある。」
「アテ…?じゃあなんで此処に…」
「この依頼は探偵社の中の指名の依頼だ。」
探偵社全体がざわめく。其の中で、太宰が唯一人動揺していなかった。指名での依頼となれば勿論それは誰だ、と言う事になるが、中也は躊躇なく口を開く。
「手前だよ!太宰!!」
「えぇ~、私かい?」
「何驚いた顔してんだ!情報網に侵入者が入ったって話の所でポートマフィアが誰を御所望か分かるだろ!」
「ヤダよ、面倒くさい」
「手前が作ったシステムだ。手前で責任取れ!」
「え、真逆私が冗談で手抜きで作ったシステム使ってるの??」
「応、其の真逆だ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!!太宰さん、プログラミングとか出来るんですか?!」
「まぁ、粗方ね」
太宰が手抜きで作ったというシステムで情報を管理しているというポートマフィア。高いレベルのプログラミングを太宰が出来ると云う事実に武装探偵社の皆が驚いていた。
「仕方無いなぁ、其のハッカーを突き止めるだけだからね?」
「何云ってんだ。新しいシステム開発もに決まってるだろ!」
「では、追加料金を払い給え。私が本気で作るシステムは世界最高峰。追加料金位安いものだろう?」
トントン拍子で進んで行く話に探偵社員は誰一人としてついて行けていない。が、流石は次期社長。国木田が真っ先に復活し、会話へと混ざって行く。
「な、何を勝手に話を進めているのだ!停戦中とは言えポートマフィアは敵。そんな奴らのメリットに成る事等せんぞ!」
「ヨコハマが危険に晒される状況でもか?」
「恐らく、抜き取った情報からポートマフィアを壊滅し、ヨコハマを乗っ取るつもりだろう。」
「そうなったら、お前等も困るだろ?」
そんな事を言われて仕舞えばこちらから反論の仕様がない。そんな国木田の様子を見て、中也は無言の肯定と受け取った。
「じゃあ、太宰は少しばかり借りていくぜ!」
「だ、太宰さん!大丈夫なんですか…?」
「敦くん…心配しないで呉れ給え。私は大丈夫だ。ポートマフィアへ寝返ったりしない。」
複数の心配な要素が絡まり合った結果、敦が発した音はシンプルな心配の意であった。其の敦の複雑な心境を正確に読み取った太宰は敦の心配を拭う最適解を発する。
「太宰」
「国木田君…」
「…ちゃんと、帰って来いよ」
「そうですよ〜!」
「ちゃっちゃっと終わらせて帰ってきな!」
「待ってます!」
「嗚呼。きっと、帰ってくるさ」
探偵社員からの言葉を聞き、不敵な笑みを浮かべ太宰は中也と共に去っていった。
読んで下さりありがとうございました!
今回はまだ中太、ヤンデレ要素は皆無ですね、
唯太宰さんが優秀な回でした!
これからも御愛読お願いします!!
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