テラーノベル
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ガチャガチャと鎧のこすれあう音を鳴らしながら移動すること15分。
エクスは夜なのにビカビカと明るい建物の前にたどり着いた。
24時間営業。
肉まんセール中。
揚げ物2個以上10円引き。
カラフルなのぼりが風に遊ばれている店先で、エクスは入店を迷っていた。
(俺の世界にはない光源……ロウソクじゃないよな、なんだあれ。光る棒?あきらかに異世界転移だ__俺の格好でここに入って騒ぎにならないか?)
そう、ここにきてあきらかな異世界の証拠。
店の中で明るく存在を主張する蛍光灯や*バイトの制服*を着て働いているらしき数名の若者。
その他、客の容貌も自分の世界とは大きく異なる。
というかそもそも誰も鎧なんて着てない。
そんな中に入っていって大丈夫だろうか?
数秒ほど思案してから、エクスはくるりと来た道を戻り出した。
もといた公園まできてきょろきょろと辺りを見渡し、見つけた廃屋らしきボロい建物に近づく。
そしておもむろに__服を脱いだ。
いや、正しくは 、鎧を。
まあまあな音を立てながら脱ぎ切ると、廃屋の壁によせて鎧を置き、上から雑草を被せて隠す。
そうして黒いピッタリとした首まである長袖と白いズボン姿になると、一呼吸して走り出した。
お腹がすいたからご飯が食べたい、というシンプルな理由でダッシュし、3分ほどでコンビニに戻ったエクス。
透明度の高い扉に近づいたら勝手に開いて驚き、店内の快適な温度に驚き(外は春先のような肌寒さだった)、店内に並ぶ商品のバリエーションに驚き。
様々な驚きを経て最終的にシンプルな握り飯を手に取ってから、エクスは気がついた。
金がないのである。
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